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2023年10月16日、RIZINが公式YouTubeチャンネルにて『RIZIN REWIND』を公開。「ヴガール・ケラモフとトフィック・ムサエフによる朝倉未来戦 振り返り解説」のなかで、ケラモフがドーピング疑惑をあらためて否定。「これが僕のステロイドさ」と、アゼルバイジャンの“天然のステロイド”を紹介した。
試合動画を前にあらためて、朝倉未来との試合を振り返ったヴガール・ケラモフ。その試合のセコンドについていたトフィック・ムサエフは、「この試合のためにチームでいくつもプランを考えていた」と明かす。
帰国してから「5回くらい見た」というケラモフは、朝倉との試合は「始まる前から激闘になると思っていた」という。
サウスポー構えの朝倉とオーソドックス構えのケラモフは喧嘩四つ。先に動いたケラモフは右インロー、左前足でのサイドキック、右前蹴りと、左右・上下に散らした蹴りから入り、自ら試合を動かしていく。
「たぶんアサクラは僕の打撃にカウンターを合わせたかったんだと思う。でもそう簡単に期待通りにはならないよ」
前手を触り合い、朝倉がわずかに前にステップした瞬間、互いの前足が当たりそうな距離で、朝倉の右前足の小指を、ケラモフが左前足の親指でわずかに踏むような形で、ケラモフは朝倉の右足をつかんで、シングルレッグに入っていた。
それは、序盤はつまさきを内側に向けていたケラモフが、一転、相手の外足──朝倉未来の右足の外に踏み込んでいたことを意味する。その位置取りは、朝倉得意の左ストレートや左のヒザ蹴り、さらに前手のフックを防ぐ、絶妙なステップとタイミングだった。
「最初からシングルレッグ(片足タックル)に行くことは決めていた。相手が前に出たり後ろに下がったり出入りしていたから、早いタックルなら絶対入ると思ったんだ」
その後の展開の詳細は、本誌既報通り。片足を持ち上げて、軸足を刈りにいくケラモフに対し、片足立ちでテイクダウンを耐える朝倉は、持ち上げられた右足がケラモフのファイトショーツに引っかかり着地できない不運もあったが、ケラモフの放し際のクリンチボクシングからのタイトなボディロックでサイドにつかれており、死に体でマットにテイクダウンされた。
「ここで足を取った瞬間に試合は決まったようなものだよ。グラウンドの展開でも勝てると思った。グラウンドの展開になると思ってなかったけど(マウントポジションになったときに)これはもう完全にいけると思った。バックを取った瞬間、すぐに極めに行った」
ケラモフ得意の真後ろにつかずともサイド気味に絞めるチョーク。中腰の朝倉に右足だけをかけて斜め後ろからチョークを極めた。このとき、右手を朝倉の左肩にかけたケラモフは、左手で朝倉の右のヒジを巧みに押し込んで右肩を内側に回させずにタイトに絞め上げている。