ケラモフ「もっと早く試合を終わらせることができた」
「見返して何度も思うけど、もっと早く試合を終わらせることができたと思う」と振り返ったケラモフ。
さいたまスーパーアリーナで行われた『超RIZIN.2』のメインイベント。試合前のコール映像には、「僕の拍手をしてくれたのは5、6人くらいだったよ」と苦笑したが、勝利の瞬間、アリーナは静まり返ることはなく、朝倉からタップを奪ったケラモフを祝福していた。
「この瞬間、嬉しすぎて言葉にならなかった。この試合が決まってからは毎日、朝も夜もずっとこの試合のことだけを考えていたんだ。すぐにアサクラのところにハグしに行ったよ。彼のことはファイターとしてリスペクトしているからね。アリガトウ」と、朝倉にも敬意を示した。
これでRIZIN4連勝。安定の強さの秘密はどこにあるのか。
アゼルバイジャンでは日本のナショナルトレーニングセンターにあたる国立のアスリートトレーニング施設で最先端の指導を受け、「2倍も3倍も用意周到に練習してきた」と語る。
RIZINは、2015年の旗揚げ以来、タイトルマッチやグランプリ出場選手に対しドーピング検査を行ってきたと公表し、9月2日には、木村“フィリップ”ミノルのドーピング検査の結果が「陽性」だったことを発表。「これまでに陽性が出ていた外国人選手はいた」としていた。
ファンの間では、その筋骨隆々の身体に、アゼルバイジャン勢にドーピングの疑いの声も挙がっていたが、これまでのRIZINのチェックではすべて陰性。
ケラモフは動画のなかで自ら、「日本のファンは僕がステロイドを使っていると思っている人たちがいるんでしょう?」と語り始めた。
「それを知ってくれ、それがステロイドだよ」と机の上を指した先には、ナッツやアーモンド、カシューナッツ、くるみ、ドライフルーツなどのおつまみが並んでいる。
「この豆(種)こそが僕のステロイドさ」と、笑顔で口にナッツを放り込むケモモフに、ムサエフも「アゼルバイジャンの料理すべてがビタミンとなりステロイドだ」と呼応した。
冗談まじりに言ったケラモフだが、実際にアゼルバイジャンではガルバンゾと呼ばれるひよこ豆や、日本から伝わった蜂屋柿などのドライフルーツ類も豊富で、ひよこ豆等には、筋肉や臓器などを構成する重要な栄養素である植物性たんぱく質や、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1などが多く含まれている。そのタンパク質の量は、豚肉や鶏肉などの肉類と同程度で、低脂肪高タンパク質の天然の食物と言える。
また、歴史的にアゼルバイジャン料理には大量の牛肉とジビエが含まれており、ラム肉ミートボールとひよこ豆、エンドウ豆、じゃがいも等のスープ「クフタ・ボズバシュ」など、豊富な栄養が含まれるマトンやラムを使った料理も多く、ムサエフの言葉は本音でもある。
「RIZINのリング上で初めてアゼルバイジャンの国歌を歌うことができてすごく嬉しかった」というケラモフは、11月4日(日本時間5日)に、今度は母国で鈴木千裕を挑戦者に迎え、RIZINフェザー級(66.0kg)の初防衛戦に臨むことが決定している。
RIZIN発足から8年、初の海外大会でのメインイベントに向け、ケラモフは現在、米国フロリダの名門キルクリフFCでファイトキャンプを積んでいる。