“狂気のファン”から公式マッチメーカーに──UFCがマッチメーカーとして2人目の“ジョー”を見つけた。それは『UFCマッチメイク懸賞コンテスト』の優勝者・ジョー・リーブスだった。
今夏、UFCは30周年記念イベントとして『マッチメイカー懸賞コンテスト』を実施した。その勝者には、「1日UFCマッチメイカー」として、自身が選んだ試合を1試合ブッキングできるチャンスが与えられる、と謳われていた。
公式HPに、「GP受賞者1名には、会場でダナ・ホワイト代表やその他のマッチメーカーと会うためのラスベガスへの往復旅行、UFC本部とUFCパフォーマンス・インスティテュート(P.I.)の独占ツアー、および2枚のVIPチケットに参加できるニューヨークへの航空券とホテルが与えられる」と記されていた通り、このイベントで優勝したジョー・リーブスは、最近、ラスベガスでUFCのズッファ本社、UFC APEXやP.I.を訪れた。
10月10日のUFC APEXでは、2023年最後の『コンテンダーシリーズ 2023: Week 10』(DWCS66)が行われ、5選手がUFCと契約。2023年に同シリーズだけでも46人がロースター(選手登録名簿)入りを果たした。日々、増減するUFCのロースターは現在、600人近い選手が並んでいる。
このコンテンダーシリーズ後の会見で、ダナ・ホワイト代表は「もう一つ契約を結んだ」と明かした。
「ジョーがどれほど優秀か知りたいか? ジョーは今、私たちのために働いてくれている。このクソガキは最高だ。UFCのために働きたいか? 彼は“UFCの狂人”だよ。彼はみんなと1対1で戦った。UFCのロースターで、彼が知らない選手の名前を挙げてみろ。彼はロースター全員を知っている。それでレニー(ブレッケンリッジ・UFC広報担当)が今日、私のオフィスに来て、『ああ、この子はすごい、大好きだ』とか、あれこれ絶賛していたんだ」と、ジョー・リーブスとの出会いを語っている。
そしてジョーは、すでに“仕事”をしたという。
「彼は今日、P.I.でたくさんのファイターに会ったんだけど、その中にコディ・ガーブラントがいた。彼らは話していて、ガーブラントが『いいか、君が1日マッチメーカーをやってくれるなら、俺は12月に試合がしたい』と言ったんだと思う。それでジョーが来て、12月のコーディ・ガーブラントの試合を売り込み始めて、試合を実現させたんだ」
UFCにとっては、マッチメーカーとして“2人目のジョー”の誕生だった。
2016年12月に勇退したジョー・シルバもMMAギークだった。愛猫の名前に佐藤ルミナから引用して「ルミナ」と名付けるほどの格闘技ファンだったシルバは、『ブラックベルト』の愛読者で、ありえないマッチメークを考え最強の格闘技を想像する、熱烈な格闘技ファンだった。1993年にゲームセンターで働いていた29歳のシルバは『ブラックベルト』に掲載されていたUFCの選手募集広告を見つけ、UFCに電話をかけ、偶然電話に対応したUFC幹部を豊富な格闘技の知識で驚嘆させると、スカウトを受けてUFCに入社している。
その後、引退したシルバの後を現在は、ショーン・シェルビーとミック・メイナードのペアが継いでいる。
そして、新たなジョーも、UFC本部の関係者を驚かせ、ホワイト代表からフルタイムの仕事をオファーされた。1日マッチメーカーから、2023年10月10日付でズッファ入りしたジョー・リーブスは、今後、どんなカードを実現させるか。