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インタビュー

【UFC】2年ぶり復帰戦に臨む村田夏南子、マスクも新調し「相手は“クセ強”ですが、すべてにおいて前回よりいいパフォーマンスが見せられる」=10月8日(日)ラスベガス

2023/10/05 11:10
 日本時間2023年10月8日(日)朝5時開始予定の『UFC Fight Night: Dawson vs. Green』(米国ネバダ州ラスベガス・UFC APEX)に、村田夏南子(コンバット・スポーツ・アカデミー)が参戦。MMA9勝5敗のヴァネッサ・デモプロス(ギリシャ)と戦う。  左腕の負傷等から2年4カ月ぶりのオクタゴン復帰戦となる村田は、柔道&レスリングベース。柔道でテューリンゲン国際大会優勝するなど活躍後、レスリングに転向し、世界ジュニア、アジア選手権の55kg級優勝。2016年4月の『RIZIN.1』でプロMMAデビュー後、2019年11月にInvicta FCストロー級王者に。  UFCでは、2020年11月にランダ・マルコスに判定勝ち。2021年6月に現女子ストロー級6位のヴィルナ・ジャンジローバと対戦も、1Rに腕十字を極められ、2Rに左ストレートを出した際に左ヒジを脱臼し、ドクターストップによるTKO負けとなっていた。MMA12勝2敗。  厳しい時間を乗り越えての復帰戦には、2週間前に3年ぶりの復帰戦を勝利で飾った魅津希が帯同。互いにセコンドについて、日本人UFCファイター連勝を目指す。  対戦相手のデモプロスは、アマチュアMMAでTuff-N-Uffの王者となると、2020年に、現UFCファイターのサム・ヒューズをインバーテッドの三角絞めで極めてLFA女子ストロー級王座を戴冠。  柔術黒帯で「得意技」という腕十字での3つの勝利を含む、4つの一本勝ちをマークしている。UFCでは3勝2敗と勝ち越しており、ジン・ユ・フレイにスプリット判定勝利するなど、2022年1月からオクタゴン3連勝も、2023年5月の前戦では体重超過し、117.5ポンド契約でカロリーナ・コバケビッチに判定負けしている。 「ファイターになる前はストリッパーとして働き、格闘技に出会ってからはジムで眠って、戦うために家族との時間を削り、トーナメントのために旅をした。試合の場所に行くために何度も車の中で寝た」というハングリーなデモプロスを相手に、日本の村田夏南子は、いかに復帰戦を戦うか。  2週間前の魅津希に続き、ラスベガスでファイトウィーク入りした村田夏南子に、同大会をライブ配信する「U-NEXT」がインタビューした。 [nextpage] BOSS 魅津希ちゃんの勝利に、次は自分がやらなきゃって ──久しぶりのファイトウィークです、現在の心境は? 「2年間空いていますし、試合のことを考えたら結構緊張しています。ファイトウィークが始まって、UFCでいろんな手続きをしている中で、“あ、試合が来るのかあ”って。ただ緊張はしていますが、やっぱり久しぶりの試合なので、楽しみでもあります」 ──先々週(9月24日)の『UFCファイトナイト・ラスベガス79』で魅津希選手のセコンドとして帯同していたことで、ご自身の試合に向けて気分や感覚なども整ってきたところはありますか。 「そうですね。 魅津希ちゃんのことは普段『ボス』って呼んでいるんですけど、ボスのファイトウィークに一緒にホテルに入って流れを一緒に味わったり、 試合当日も一緒にアップしたり、周りの雰囲気とかを感じることができて、空気に触れてみたことで“ああ、こんな感じだったか”と思い出すというか“自分の時もこうなんだ”というイメージはなんとなく掴みました」 ──先に試合をした魅津希選手がハンナ・ゴールディに判定勝ちしたことは、やはり大きな励みになっていますか。 「はい。私が2年4カ月ですけれど、ボスは3年ぶりという長いブランクを経てケージに戻って、そこで勝って本当に嬉しかったし、次は自分がやらなきゃっていう気持ちになりました」 魅津希 (※村田のセコンドとして自身の試合に続き帯同)繋ぎましたので! ──魅津希選手! 勝利おめでとうございます。今週はセコンドワークに期待しています。 魅津希 あ、そこは期待しないでください(笑)。 ──(笑)。では村田選手に話を戻します。その2年という時間が空いて、怪我の治療を終えてから、試合が決まっていないなかで、どんなことを意識して日々の練習に取り組んできましたか。 「“全部”ですね。レスリングも、打撃も、グラップリングも、MMAの全てを底上げをして、総合力を上げてきました」 ──よりトータルファイターを目指した練習という感じでしょうか。 「そうです!」 ──ところで、タイでの練習中に歯を折ったという経緯をSNSに投稿していましたね。かなり痛々しい様子が映っていましたが……。 「(前歯を指して)ここが差し歯になりました。上顎が折れて、歯も4本折れてしまって、神経が全部死んじゃって、そこを治療して1本差し歯になって。ずっと2カ月くらい歯の矯正のような器具をつけて固定して、口がそんなに開かないようにしたりしていました」 ──相手がヒザあてもせずにスパーリングでヒザを強打する、海外でのそういう練習中のアクシデントで復帰が遠のいてしまったことは、怪我の痛み以上に辛かったのではないかと思います。 「そうですね。試合中ならまだしも、仕方がないことだと思えるのですが(苦笑)。練習でああいうことが起きて“本当にダメなんじゃないかな”とは思ったりしました。でも、多分心は強くなりました!」 [nextpage] UFC PIでデモポロスがこっちに来て── ──敗戦もアクシデントも乗り越えた新しい姿が見られるのを楽しみにしています。では、今回対戦するバネッサ・デモポロス選手ですが、プロフィールの前職の欄に『ストリッパー』と書いてあり、ポールダンスを得意としている異色のファイターですね。どんな印象ですか? 「“クセ強” だなと思いました(笑)」 ──それは(笑)、試合動画の印象で? あるいは何かあったのですか? 「UFCのPIに行くと、 フロントデスクの担当者が対戦相手とは極力合わないように、『この時間帯は対戦する選手があっちにいるから、あっちには行かないように』というような感じで試合前の選手の動きを管理してくれているのですが、練習する場所と関係のない休憩スペースのようなところで待機していたら、対戦相手がパパッとやって来て、なんか『ハロー!』みたいな感じのことを言ってきて(笑)。こちらは“会わないようにしてる(し、UFCもそうしてくれている)のに……”と思いながら(ペコリと頭を下げて)『ハロー』って返しました(苦笑)」 ──特に絡まれたりしたわけではないなら良かったですが、びっくりしますね。 「そうですね。 ちょっと、斜め上ぐらいから握手する手が伸びて来るのを感じました(笑)」 ──斜め上から(笑)。ただ図らずも向き合ってみたことで、想像していたイメージとは違いましたか? もともと1階級上でやってきていた選手なので、たとえば、ゴツいと感じたとか、斜め上の握手に応じてみて、立ち合いも組み合いも、問題なさそうだな? とか。 「そこは実際やってみないと分からないことではありますけど、でも(相手のデータは)身長がちょっと自分よりも高く(村田154.9cm、デモポロス157.5cm)、リーチがすごい短かい(村田157.5cm、デモポロス151.1cm)、というものだったのですけれど、初めて会った時に“ちょっと、ちっちゃいな”と思ったことは印象的でした。(データで見るより)身長も小さいな、と感じて」 ──対デモポロス選手対策というのもしてきましたか? 「打撃に関しては、今回の相手もですが、あまり相手どうこうは関係なく、ボスにアドバイスをもらいながら、自分が何をするかという部分を練習してきています。あとは今回の相手は柔術が得意(黒帯)なので、そのあたりの対策はしてきています」 ──デモポロス選手が一本勝ちをしている試合は、打撃でダウンを喫して相手が上になった状態で、下からセットして逆転勝利しているものが多い印象です。LFAでは下からインバーテッドの三角絞めで極めたりも。その点も含めて、村田選手がテイクダウンしてトップを取った状態からの下からの攻めには注意していますか? 「はい! ゲームプランはしっかり考えてあります」 ──そのプランについては多くは語れない、と言う感じですか。 「はい(笑)」 ──それでは今回が再起戦ということで改めて前戦についても伺います。あれから現在はUFC女子ストロー級の6位にランクしているヴィルナ・ジャンジローバ選手を相手に、2Rで腕の負傷でTKO負けという結果になりました。あれは1Rの腕十字がかなり深く入っているように見えまい??たが、そこで痛めていたのを我慢して、2R目を戦っていた、ということなのでしょうか。 「まず1R目の結構早い段階で相手の右をもらって目が腫れて。結構ヤバいなって思いつつ、相手がガードに入れてきたところを焦りながら、パウンドを打ったりして、そこで隙ができてしまい腕を極められて。ちょっと我慢して、“まあ大丈夫かな”って思いつつ我慢をしてたんですけど、ちょっと、『バキバキバキッ!』みたいな音がしていて、“でも大丈夫かな、どうかして逃げなきゃ”と思って必死に逃げているあいだに1Rが終わって。終わったあと(ヒジを曲げて上げながら)“大丈夫かな”と思って確かめたら“大丈夫そうだな”ってなって。  で、2R目に今度は自分がパンチを出した時に、スコーンって腕が抜けちゃって。で、そこから左腕がいうことをきかなくなってガードも上がらなくて。セコンドに『ガードを上げろ!』って言われるんですけど、手がもう全然動かなくて。左腕だけ全然動かないけど、なんかやらないと思いながら、ずっと右腕一本で戦ってました。痛くはなかったんですよね。“なんで腕上がんないんだろう?”って思って。自分の腕に、自分の脳からの指令が全然伝わってない、自分の腕じゃないような感覚でした」 ──そういった試合中の怪我はもちろんですが焦り戸惑いながらも戦いを続けようとした、そういう試合を経て、それから手術も経て怪我を治して練習に取り組んでいくなかで、学んだことや成長につながったことはありますか。 「全部ですね。 だから打撃においても、レスリングももちろん、柔術も、すべてにおいて前回よりいいパフォーマンスが見せられるのではないかと思います」 ──その前戦の対戦相手であるジャンジローバは現在6位です。いまは日曜の復帰戦に集中している状況だとは思いますが、上位陣(ランカー)についてはどんなふうに見ていますか。 「それぞれ相手との相性もあると思うのですけれど、それ次第で“今勝てるかな”と思っている選手もいるし、これからどんどん自分がもっと強くなっていってから倒さなくてはいけない相手もいるとは思っています」 ──トップどころの試合は「もし戦わば」という意識で見ているのですね。 「そうですね。ここが強みなんだなとか、逆にここが弱点なんだな、そういうふうに見ています」 ──そうやって村田選手が世界の上を目指している一方で、RIZIN等に出ていた村田選手の試合を観戦して憧れていたような若手の女子選手も活躍し始めています。そういう選手と手を合わせる機会もあると思うのですが、キャリアを重ねるなかで下の世代はどんなふうに見ていますか? 「刺激ももらえますし、自分が言うことじゃないんですけど、頑張ってほしいですね。これから強い若い子が育ってくれれば、自分も練習相手も増えるし。“日本人選手は強い!”と思われるように、じゃないですけど……」 ──自分が先陣をきってそれを引っ張っていきたい、というような? 「あはは、いや。そうでもないんです(笑)。ボスの次くらいで。大きいことはそんなに言わないんです(笑)」 【写真】果たして今回の入場はマスク着用が認められるか……。(Zuffa LLC/UFC) ──我が道を行くと(笑)。では最後にひとつ、トレードマークのマスクについて。UFCでの入場時には着用していませんが、禁止されているのですか? 「今日また『ダメだ』という話になったのですが、デイナ(・ホワイト代表)さんが、『入場の時に顔が見えないとダメだ』ということを言っていたそうなのですけど、またお願いしてくれるそうです」 ──「もしかしたら?」ということで、乞うご期待ですね! 「そうですね。新しいマスクを持ってきましたので!」 ──では、その入場も含めて、村田選手の復帰戦を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。 「2年ぶりにケージに帰って来ました! 試合は3試合目で朝早いのですけど、起きれた方は是非応援よろしくお願いします!」
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