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【PANCRASE】初代・アトム級女王決定トーナメント最後の1人はV.V Mei「負けたらそこで引退しようと思っています」

2023/10/02 17:10
 2023年12月24日(日)神奈川・横浜武道館で開催のパンクラス30周年記念大会2『PANCRASE 340』にて、「初代・アトム級女王決定4人トーナメント」一回戦が行われる。 【写真】(左から)SARAMI、沙弥子、ファン 9月11日に行われた記者会見では同級1位ジェニー・ファン(台湾素AACC)、同級2位・沙弥子(リバーサルジム横浜グランドスラム)、第2代修斗女子世界スーパーアトム級王者SARAMI(パンクラスイズム横浜)の3名が発表され、残る1名に関しては「海外にオファーをしています。PANCRASEの初代を決めるトーナメントだったら、ぜひ出たいという候補がマネージャーから来てはいますが、もしこの3人に割って入る日本人選手が誰か出るというのなら、残り一枠、誰が入るかを検討したいと思います」とされていた。  その最後の1名が10月2日(月)都内にて行われた記者会見で発表された。  最後の枠に入ったのはV.V Mei(フリー)。玄制流武徳会空手を学び、柔術を経て2007年3月に『スマックガール』でプロデビュー。2010年2月に辻結花を破り、VALKYRIEフェザー級王座に就いた。2015年5月にはトーナメントを制して第3代DEEP JEWELSフェザー級王座(現アトム級)に就き二冠王に。  2016年5月からは『ONE』に参戦し、ONE世界女子アトム級王座を懸けてアンジェラ・リーと2度にわたる激闘を演じた。前戦は2023年4月の『RIZIN』にて浅倉カンナに判定で敗れている。また、シュートボクシングの『Girls S-cup』では2度準優勝を収めた。40歳。  会見では坂本靖本部長より「最後の1名はアメリカと韓国の選手をぼんやりと考えていたが、前回の会見後から数日してMei選手のマネージャーさんから連絡があり、残り一枠は空いていますかとの問い合わせがあった。外国人で予定していますけれどといったん保留にさせていただいていたが、その際に聞いたMei選手のトーナメントになぜ参戦するのか、という理由を聞いてとても重いなと考え、3日後くらいにマネージャーさんにお願いしますと伝えさせていただきました」との説明。  詳細を求められたVは「最初にトーナメントの3名が発表されて、その発表があってからPANCRASEに参戦させていただいた当時のことを思い出しまして。11年前くらいだと思いますがWINDY智美選手と試合をさせていただいた時に、まだ男子のカードの中に女子が入ってくることがない時代で。PANCRASEで初めての女子の試合をメインにしていただいたことを思い出したんです。  最初発表された時に私の名前が上にあったので、第1試合かなと本気で思っていたらメインですと言われて。それはWINDY選手がPANCRASEの選手として頑張っていたのもありますが、PANCRASEが女子を本当に見て評価して男子の試合の中に組み込んだというのは他の大会ではないことでした。そういったことが脳裏に思い浮かんできまして、しかもあれが東日本大震災のすぐ後だったんですよね。どのジムも練習が出来ないこと多くて閉まっていて。その中でPANCRASEの大会は開催されると信じて練習を続けていた状況でした。  そこで大会を延期する団体もありましたがPANCRASEは開催されて。当時はみんなが一生懸命生きていたと思いますが、選手も自分が出来ることを精一杯やるしかないという想いで日々を過ごしていたと思います。でも選手は戦って元気やパワーを届けるのが選手が一番できることで。それをPANCRASEがあの時にそういう場を与えてくれたのが素晴らしいなと思っていました。  そういったことを思い出して、長い年月が経って女子がフィーチャーされるようになって他の団体にもいい選手がいっぱい出てきています。その中で私もいろいろなところで試合をさせていただいている中で、今回のアトム級トーナメントが発表されたので、ぜひ参加させていただいて、PANCRASEから始まっていろいろなところで学んできたことを出したいと思ってお願いしました」と、出場を志願した理由を話した。  さらに「もちろんこのトーナメントも絶対にベルトを優勝して獲るとの想いで戦います。ベルトを獲ったら防衛し続けられる限りは防衛します。ただ、負けたらそこで引退しようと思っています。(負けたらというのは1回戦で負けても?)そうですね。それくらい自分にプレッシャーを懸けて、必ず勝たないともう戦い続けられないという気持ちで臨みたいと思います」と、“負けたら引退”を懸ける覚悟であることを伝えた。 [nextpage] 女子の試合でこれ以上のものはないだろうというのを残したい  他の3名については「SARAMI選手とジェニー選手は対戦したことがあります。沙弥子選手はまだないですね。みんなそれぞれ勢いがある選手。コンスタントに試合をしていて、対戦経験がある選手も前回とは全く違った技術とかいろいろ培っていると思うので、誰と対戦しても楽しみだなと思いました」とする。それぞれの印象については次のように語った。「ジェニー選手とはONEで2回やりまして(2017年6月にVがリアネイキドチョークで一本勝ち、2019年10月にVが判定勝ち)。一生懸命なんですね、常に。どんどん最初よりも技術が上がっていて、本当に常に一生懸命なファイトをする選手で見ていて気持ちがいいと思っています。SARAMI選手(2015年5月、VがTKO勝ち)もかなり格闘技歴が長くていろいろな団体で顔を合わせて練習も一緒になります。彼女の強さは分かっているし、負けん気とかも肌を合わせて知っています。もう一回対戦しても面白いなと思っています。沙弥子選手は試合を見て身体が強そうという感じ。誰が来ても、今まで強い選手と対戦する時に自分が引き上げられることがありましたが、相手によりけりじゃなくて自分もいい試合が出来るようにならなければと思っています」  PANCRASEのベルトに対しては「歴史のある団体のベルトを巻くのは凄いことだと思います。これだけ長く大会が続くのはそれなりに素晴らしいものがあるから。運営する人々の想い、参加する選手の想い、絶対にちゃんとしたものでないと続かないので、歴史があり信頼あるベルトを巻きたいと思います」との想い。  3人の中で意識する選手はいるかとの質問には「全員同じくらい。誰が来ても女子の試合でこれ以上のものはないだろうというのを残したい」と答える。  では、現時点でその「女子の試合でこれ以上のものはない」と思う試合は何かと問われると、「アンジェラ・リーvs.山口芽生の1戦目と2戦目です」と、2016年5月6日と2018年5月18日にONEで行った自身の試合をあげた。 (C)ONE Championship「あの2試合を超えたいですね。アンジェラが引退したから、というのは気にはしていません。いろいろな試合がありますが、自分の試合を見るのってあまり好きじゃないんです。満足いかないところがあって自分に対してイラつくというか、見たくないと思うことが多い。でも、あの試合は自分でも見られると思いますし、いい評価をしていただいているので。  例えば技術が粗かったりとかそういうところがあっても、お互いのハートのぶつかり合いがあったと思う。あそこまでお互いが気持ちを出している試合を他では見たことがない気がします。相性もありますが、相手が誰であっても自分がそこまで出し切りたいなというのが一つの目標なので、今回はそこまでやり切りたいと思います」  そのアンジェラが若くして引退を決めたことについて聞かれると「人それぞれ続けるか続けないかは個人の自由なので、本人の気持ちを尊重しているので、辞めるってなったのはそれはそれでいいんじゃないかと思いますね。何があったかは分からないけれども、続けて欲しいってファンは思うかもしれないですが、団体を背負ってあそこまでやってきたのは凄いプレッシャーだったと思います。立場が違う中で背負って来た葛藤は凄いものがあったと思う。アンジェラがいい待遇を受けて家族で一緒になってやっていて羨ましいと思うことはないこともなかったですが、その裏には葛藤があって、向こうはMeiはいいなってもしかしたら思っていたかもしれないし。ひとつの時代をお互い生きて来て、今思うといろいろあったんだろうな、お疲れ様という気持ちです。私は自分のやりたいことをやった方がいいよと思います」と答えた。 [nextpage] お客さんは上手いだけを見たいわけではない (C)ONE Championship 引退を懸けるとはいえ「体力は意外とあるんですね。そういったものはビックリするほど衰えることはなくて」と、肉体や年齢的な理由で限界を感じたわけではないという。「終わりを決めないでダラダラやるのは好きじゃないと思って。長く続ける選手もいらっしゃいますけれど、それは個人の自由。自分としては期間を決めてチャレンジしていく方が自分を引き上げられると思いますね」と、最高の自分を引き出すために引退を懸けるのだと説明した。  いつから引退のことを考え始めたのかと聞かれると「ハッキリいつかは覚えてないけれど、ずっと海外でやっていた時期が長くて。いい想いもあれば苦しかったこともあり、そういったことを乗り越えながら戦っていたけれども、きついことの方がはるかに多くて。そういったことを続けるよりも有終の美を飾ってパッと辞めた方が自分を大事に出来ると思ったからですね」とする。  ちょうど前日には、『RIZIN』でプロ3戦目の万智(67ジム)とプロ4戦目の渡辺彩華(AACC)がレベルの高い試合をした。そういう勢いのある若い選手たちにどんなものを見せられるかとの質問には、次のように答えた。 (C)RIZIN FF「いまD.J Meiとして…遠い親戚の設定ですけれど(笑)。リングアナとしていろいろな大会を特等席で、目の前で激闘を繰り広げられているのを毎週のように見させてもらっているんですけれど、若い選手がどんどん上手くなっているんですね。でも、お客さんは上手いだけを見たいわけではない。粗くてもヘタクソでもガムシャラになって行くのを見たいんだよってことを伝えたい。何でフィニッシュ出来るのに行かないんだろうって試合もたくさんあるんですよ。  そういうことに何で行かないのって言っても、自分がそういう試合を見せていないと言えないと思いまして、引退してもいつの時代でも若手の子を励ませられる、もっとガムシャラに行っていいんだよって、経験が付いてきたらもっと技術で行っていいんじゃないって自信を持って言えるように、ちゃんとそれを自分でも精一杯やり切って終わりたいと思って。  あとは、若手の選手って練習だけしている子とかたくさんいるんですよ。私とか同じ時代を過ごしてきた選手は、格闘技が好きだから働きながら練習していました。環境だけ考えたら私たちをあっという間に抜かないといけない。それは当たり前。いいパフォーマンスをしていて凄いねじゃなくて、それを当たり前にしないといけない。40のおばさんが出ていても仕方がないんですよ。あっという間に超えていかないと日本の格闘技は凄いものにはならない。でも、そこで踏ん張って自分より頑張っている先輩たちは見ていて刺激になるし、感動します。自分は最後にいいものを残して精一杯尽くすって感じですね」  今回のトーナメントでVが見せたいもの。それは「やっぱり若い頃のガムシャラな気持ちとか、その当時の何が何でも勝つとか、そういう気持ちをもう1回思い出してやりたい。試合運びとか大事にすることもありますが、技術の面でフィニッシュを狙いに行く姿勢、途中でスタミナが切れてもいいと思って全てを出し切って、そういったものが見ている人たちの心を動かすと思うので、ガムシャラにフィニッシュを狙いに行くのを見せたいですね」とした。  そして最後に「こういった歴史のある団体で最後を迎えられるのは感慨深いですし、それしかないですね。もちろん様々な団体でベルトを獲るのは素晴らしいことですが、歴史の一番長いところで、そういう団体のベルトの方が重みがあると思うので、現役が終わってからも大事に出来ると思っています。とにかくベルトを獲って終わりたい。ガムシャラに全てを出し切ってベルトを獲りに行くので見てください」と意気込みを語った。  トーナメントは2024年3月に決勝=王者決定戦が行われる。トーナメント組み合わせは来週にも発表される予定だ。
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