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インタビュー

【RIZIN】福田龍彌、アーセンに「もっともっと戦わないとね!“やるか、やられるか”という試合を」×山本アーセン「昨日、KOで勝てる気がして打撃で勝負してみようと」

2023/09/25 22:09
 2023年9月24日(日)さいたまスーパーアリーナにて『RIZIN.44』が開催され、フライ級でDEEP GP優勝の福田龍彌(MIBURO)が、山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)に3R TKO勝ちした。 ▼第4試合 フライ級(57.0kg)5分3R〇福田龍彌(MIBURO)[3R 1分37秒 TKO] ※ドクターストップ×山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)  試合は、打撃巧者の福田に対し、序盤からアーセンがスタンドで圧力をかけていく展開。「KOで勝てる気がした」というアーセンは、福田のジャブに対し、カーフキック、左ストレートを返すなど打撃で応戦するが、得意の組みには固執せず。  ジャブを当てて、距離をコントロールした福田がペースを掴み、2Rにはアーセンのテイクダウン狙いも切って流れを掴むと、3Rにパンチを被弾したアーセンが右眉をカット。さらに左目も塞がり、ドクターチエック。試合続行不可能と判断され、3R 福田のTKO勝ちとなった。  ドクターチエックの際にアーセンは、「お願い、お願い、いま止められないんだって」と続行を懇願したが、試合はストップ。アーセンは福田にハグされ、「脳は大丈夫だって」と語り、福田もアーセンの手を挙げた。  グレコ強豪のアーセンは、伊藤裕樹戦で見せた「無限レスリング地獄」を福田相手に披露することはなく、打撃での立ち合いに挑み、福田もアーセンの単発のテイクダウンをディフェンスし、精緻なジャブ・ストレートをヒットさせて、アーセンをTKOに追い込んでいる。  両者は試合後、何を語ったか。一問一答・全文を紹介したい。 福田龍彌「喧嘩じゃないから。そういう場でそういうジャッジ下されたら仕方がない」 ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。 「楽しかったっス! ハハハ! めちゃくちゃ楽しかった!」 ──ドクターストップで試合終了となりました。それに対しては受け入れていますか。 「いや、もっとやりたかったし、最後までやらしてあげてほしかったですよ」 ──試合後、アーセン選手には何をリング上で伝えたのですか? 「不本意やと思うから。アーセンくんからしても最後までやりたかったと思うし。でもレフェリーあってのことなので『仕方ないね』という意味です」 ──対戦相手の印象は試合前にイメージしていたものと戦った後では違うところはありましたか? 「いやまあ、思ってた通り、でも気持ちはすごい思ってた以上に強かったなって思いました。やっぱり戦っていて気持ちいい男でしたね」 ──試合を終えたばかりですが今後の目標・展望を教えていただけますか。 「えっとね。あんまり減量好きじゃないんですよ、戦うの大好きだけど。バンタム級とかで、いまフライ級はDEEPでタイトル持っているんですけど、バンタムで2階級制覇狙いに行っても面白いと思っているし。フライでやるんだったら、あまり日本人とやるためにフライまで作りたくないというか。今回わかってもらったと思うのでね、現に8連勝しているので。日本を代表して海を渡って、このスキルで。それが海外の人らにどう通用するかは確かめたいっていうのはあります。時間は有限なので。そんなに若くないのは把握しているから。だから、怪我が無いんやったら、どんどん試合をしていきたいって。はい、だから外国の人と当ててもらえると嬉しいです」 ──RIZINにはテミロフ選手やドッドソン選手もいますが、やりたいと思いますか? また、指名したい外国人選手はいますか? 「じゃあ、ドッドソンさん、やりたいです」 ──招聘してほしい人などいますか? 「いや。行きたい! 行きたいなと、旅行ついでというか。そうなんです、それでいろんな試合のためだけに行くというよりかはそれを通していろいろ経験したいなという感じなので、自分のスキルで海を渡って海外で仕事しようみたいな。やっぱりそっちの方がね、僕は日本でやるよりかは、人生として考えたらいいと思う。海を渡ってみたいという気持ちがあります」 ──外国人選手の体格、フレームの違いなどを体験してみたい? 「まあ、体験してみたいのもありますし、そっちのほうが楽しそうですよね!」 ──海外に渡りたいということですが、特定の団体があるのですか? 「いや? どこでも。海渡って、どこの国でも誰と? 何kgで? いくらで? って感じで。普通にそうやって、海外から試合を受けて試合をして帰ってくるみたいな。なんかその、請負い仕事じゃないですけど。ライブ一本いくらで、みたいな試合をやってみたい、そんな感じですね」 ──どこかの団体でベルトをかけて戦いたいですか。 「それはないです。戦うのが好きなので、ベルトは好きじゃないから」 ──アーセン選手のカーフキックは──。 「そう、あれは痛かった。1発めのが一番痛かったですね。ちょっと頭から(カーフのことが)外れてたから気を引き締められたというか、あのカーフで。なんか、想定してなかったわけでもないのですけど、別に。ちょとまあまあ、気の緩みですね。そこは反省点です」 ──2R以降は右ジャブで距離を掴めてこれは勝てるという感じですか? 「距離掴んだりとかは、向かい合ったときに結構わかったかな? と思っています」 ──1R最初から? 「そうですね」 ──海外で戦いということで、アゼルバイジャン大会というのはいかがですか? 「それは条件次第で全然行きたいですよ、行ってみたいし。でも行けるんですかね? 戦争とか大丈夫なんですか? あ、終わった? そうなんですか。地デジが家で映らなくて、情報がみんなと逆行してるみたいで、すみません。お話いただいて『日の丸背負って行ってきてくれ』という感じだったら行きますよ、アゼルバイジャンでも」 ──神龍誠選手にリベンジはしたいですか? 「いや、そりゃやりたいですよ、まあでも一期一会なんでね。縁があればやるし僕はオファー断らへんから。見てもらったら分かると思いますけど。カーフも怪我なくて、『明々後日にDEEPで神龍君とやって』って言われても『いいよ!』って言いますよ」 ──アーセン選手よりもキャリアが豊富です。今回戦ったうえでアーセン選手にアドバイス、言葉を送るとしたら? 「もっともっと戦わないとね! もっと! もっとです」 ──試合を重ねないといけない? 「そうです、まあ試合というか、ああいう、“やるか、やられるか”という、そこをですね」 ──それが必要だと。 「ファイターには必要。アスリートとして必要かはわからないけど。試合前のインタビューでも言ったけれど僕は“職業=戦士”だと思っているので、戦士にはやるかやらないかが必要。ヒリヒリを体感してもらったと思うので、僕が引退するまでに僕がいるとこに上がってくるようならまたやりたい。それも縁次第。一期一会」 ──試合後アーセン選手が「まだ脳は大丈夫」と言っていた際になだめていました。あれはどういう会話を? 「その時は、うんまあ『いいけど、目とか、もっと変になっちゃうかもしれへんで?』って言いました。別に僕はいいんですよ、戦うの好きやから。止まってほしくもないし。でもレフェリー、ドクターが無理って言ったらゴネちゃうと、のちの進行とかにも影響を与えてしまうので、そうジャッジされたら、もうそれまでなんですよね。仕方ないから。それありきの競技で人前でやっているということやっているんで。そうそう、喧嘩じゃないから。喧嘩ならいつでもとなるんで。そういう場でそういうジャッジ下されたら仕方がない。僕ら2人だけで戦っているわけじゃないから。しゃーない。のちの進行のことを考えたっていう感じです」 [nextpage] 山本アーセン「カウンタータイプなんて一番なっちゃダメな選手なのに、そこで変にかっこつけようとした自分がダメだった」 山本アーセンです、クソみたいな動きしちゃってほんとすみませんでした」 ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。 「いやー、今ちょうどここ来る前に自分のダイジェストが流れて、それをちょっと見ていたんですけど、全然もっと行けばよかったですね。あんなカウンターとかバカみたいに狙うから……ほんとに、もっとちゃんと自分出して、もっとちゃんと攻めとけばよかったですね。あー……」 ──攻められなかったのは作戦があってのことなのか、相手が何かをしてきたからなのでしょうか。 「福田選手が結構ジャブで気持ちいい感じになっていたから、自分もそれをはたいて、奥手を当てるみたいな、ちょっとスパーリングでも当たってたし、ウォーミングアップでもちょっと狙えるなって自分でちょっと自信ついてて。で、ジャブを狙いすぎちゃって、ちょっと自分が、重心がちょっと後ろに一個乗っちゃってカウンタータイプの選手になっちゃって。で、自分なんて、本当はカウンタータイプの選手になっちゃダメで、一番なっちゃダメな選手なのに、そこで変にかっこつけようとした自分がダメだったっすね。  もっと最初から最後まで自分の動きして詰めて詰めて詰めてそのなかでハメれたら良かったんですけど、なんか余計なことしちゃったっすね。余計なことをして自分の良さを自分で消した、みたいな。本当に、言葉悪くてすみません、クソみたいな試合をしてしまいました。すみません!」 ──対戦相手の印象は試合前にイメージしていたものと戦った後では違うところはありましたか? 「もう一回やりたいとしか今思えないし、ただ、“今、自分ここにいるのか”ってちょっといい意味で自分の位置確認ができたから。で、自分のだめなところが今までで一番見えて、自分が何をしないといけないか今までで一番見えた試合だったので、絶対強くなれるっす。また強くなります。セコンドにめっちゃサポートしてもらって、もちろんやっていることも出たんですけど、なんか、ちゃんとチームで決めていたことを自分で無視ったところがありますね、今よく考えてみたら。まあ、次は欲とかも何もかも捨てて、自分たち、仲間たちで話したことをしっかりと最初から最後まで遂行するような選手になりたいです。自分で暴走するのは止めます」 ──打撃戦で福田選手を攻め込む場面も。打撃戦は今回の最初からのプランでしたか? 「もちろんグラウンドありきで進めるっていうのがもともとのプランだったんですけど、ちょっと自分のなかで“漬ける”試合じゃなくて、ほんと今回、自分のなかで、正直なことを言うと“KOで勝てる”気がしたんですよ、なんの根拠もないですけど、KOで勝てる気がして、ちょっと今回、立ち技でマジで行ってみようって、自分だけで決めていたところがあったんですね、チームにあんまり言わないで」 ──「KOできそう」というのはいつ頃感じたのですか? 「ずっとキャンプのなかで打撃にちょっと自信はついていたんですけど、昨日、結構自分の中で、何か分からないけどKOで勝てる気がすると思って。で、打撃でちょっと勝負してみようかなと思ったっスね。打撃を見せたかったです。自分がどこまでできるんだよ、みたいな。(相手が)ちょうどランキング1位だったり元修斗王者でどちらかっていうと打撃のほうの選手だったから“あっ! これで超魅せられる”と自分で勘違いしちゃったところがあったですね。でもやっぱり俺はね、死んでもレスラーだってことをこれから忘れないように戦っていきたい。でも打撃もこんだけあるんだよっていう、ちょっとしたメッセージにもなったと思うので、ここから相手、俺と戦うのちょっと嫌になるんじゃないですか? 分かんないけど」 ──ドクターストップで試合が終わりましたが、負傷具合は? 「あっ、ちょっと血が垂れてきた(血を拭いて)。まあ見た目はすげえボロボロだし、あの時はしっかりレフェリーの指も見えて『何本?』という質問にも全部答えて『お願いします、もう本当に大丈夫だから』と本当に脳も何も効いてなかったので。ただ、試合中でジャブがこっち(腫れていた左目)寄りになったという印象が自分の中であったんですよ。(相手)セコンドの『もう少しでこっち閉じるから』という声も聞こえて、“あ、閉じにきてるんだな”みたいな。だったら、集中的に狙うんだろうな、多分フックじゃなくて、まっすぐ集中的にここ狙うんだろうな、じゃ、はたいてストレート出してやろうというところに繋がっちゃったですね、正直。あそこを気にせないでもっと前に出ていたらよかったんですけど。はぁ……」 ──止められる直前も「問題ない」と。 「あと1分半だったので続けられました。多分やれたっス」 ──最後までやることで自分に勝てるチャンスがまだあると感じていましたか。 「効いてるって分かってたんで、何回も脳揺れるじゃないですか。人間の脳みそって絶対リセットされないんですよ。“ああ効いた!→うーん!”って、ゲームみたいにゼロにならないんですよ。ある程度どこかでダメージがあるから。だから絶対倒せると思っていたんですよ。でそこで“めっちゃ強いの当ててやる、ぶっ倒してやろう”って、カウンターファイターになっちゃったりなのかもしれないですね。だからあそこで何も変えずに、ちゃんとレスラーの味も出しながら、テイクダウンも狙いながらやっていたら、またどこかで当たって倒してたんじゃないかなと思って。  なんか、さっきもリプレイ見ていたら、効き方がどんどんどんどん大きくなっていってたんで、最後の方はヒザついてたから、多分次はしっかりぺちゃってなるんじゃないかなって思っていたのもあるっスね、まあそれは試合を見てから思ったのか。たしかにチャンスはあるんじゃねえかなと思ってたんです。倒せるチャンス、まだあるなと思って。自分はいたって顔以外健康だったので。ただ相手が足とボディと脳みそが効いているのが見えてたから、あとは、あそこもっと散らせばよかったのか、そこがヘッドハンターになってたんだ。そういうことか」 ──伊藤裕樹戦が2年半ぶりの試合になり、今回は4カ月程度でした。これくらいのペースでもっと試合を重ねていきたいですか? 「はい。絶対レベルアップできるっス。で、もう打撃は自分がどこまで大体できるというのが見えたので、次はどっちもちゃんと混ぜながら、自分のいい要素を入れながら相手をぶっ倒せるファイターになります」 ──誰にも言わずに打撃勝負を決めたことを聞いた、セコンドの中村倫也選手はいかがですか? その素振りは全くなかったですか? 「素振りはあった」 倫也 素振りはあったかもしれないですね、今日行きの車で「今日なんかすごいことが起こる気がするなー」みたいな言葉があったり。プランはレスリングをしっかり使うことだったのですけど、結果的に、練習の打撃の自信と実践の打撃の自信は全く別物なので、本当に別物なので。今回アーセンは後者を手に入れたと思ったので、結果的にすごい良かったと思っています。 「褒めすぎだから」 ──カーフもある程度効かせてパンチも当たって、結果は結果として、打撃の経験値はすごく得られたと? 「何回、倫也のカーフ蹴ったか分からない。それが勝ちに繋がらなかったことが悔しいのと、せっかく未来のホープである矢野トミーちゃんをセコンドにつけて、まさかの1回もテイクダウン行かないっていう(苦笑)。そこちょっと反省してます。マスコットキャラクターみたいになっちゃったし。トミーちゃんに前回の試合、いつもだったら『相手はここ弱いからここ一本極まるよ、この動きだったら相手嫌がるよ』ってことばっかり言われるんですけど、トミーちゃんはすげえ正直だから『前回のアーセン、これやってたからこれ逃げられたんだよ』とか俺の悪いところから指摘して、自分の悪いところを、『こことここ直せば大丈夫だから』みたいなことを言ってくれて。で、そこから結構自分のグラウンドゲームの意識が変わったっすね。  だから本当はグラウンドめっちゃ成長してるんです。見せなかったけど、本当にトミーちゃんと倫也のおかげで、グラウンドの完成度っていうものがすごい上がったんですけど、ただレスリングやってパウンド打ってヒザじゃなくて、本当にテクニックが詰まったグラウンドゲームができるようになってきてるんで、次試合決まったらしっかりそこを見せて。で、相手が疲れて嫌がったら、もうブン殴るし、相手がガード固めてんだったらグラウンドに持ってって一本極めに行くし、あの次はちょっと自分のまた違う方の成長をしっかり見せてやろうと思ってます」 ──伊藤選手とは違い、福田選手との試合ではテイクダウンが難しいという考えのなかで打撃もしっかり立ち合う必要があると考えた部分もありましたか。 「(テイクダウンを)取ろうと思ってなかったです。何回か入りにいったのも、あれは全力で取りに行っていないので。ただ単にこっち、こっちというのを思わせて、ちょっとオーバーハンド当ててやろうかなというのもあったので、あれが自分のテイクダウンじゃないので」 ──序盤に深追いしなかったのもそういうところから? 「もともとチームから『深追いだけはするな』って言われてたんで、相手ブラックホールみたいな選手だから、自分の距離感をしっかり保ちつつ、しっかり上・下を散らしてテイクダウンも入れてっていうのが元々の作戦だったから。そこはまあなんとかできたかなとか。自分の中で良しとしようかなってところで、それはすごい自分の中では初めての戦い方なんで。  あと、最後に自分のチームメイトに感謝するのと、これからチームメイトも試合あるし、矢野トミーちゃんもこれから柔術の大会バンバン出たりするし、倫也もUFCでこれから無敗のまんま上に行くし、自分の仲間のチェックもよろしくお願いします。感謝しています。また帰ってきます! 強くなって」
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