【UFC】打撃のフィジエフ、クレベルを下したグラップラーのガムロとの対戦に向け「自分のハートを見せる準備ができている。日本のファイターのように恐れを知らずに戦う」

　2023年9月23日（日本時間24日）、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Fiziev vs. Gamrot』（U-NEXT配信）が開催されている。 　メインイベントでは、ライト級（5分5R）で、ラファエル・フィジエフ（アゼルバイジャン）と、マテウス・ガムロ（ポーランド）が激突。 　フィジエフはカザフスタン出身・キルギス育ち・アゼルバイジャン国籍。タイ・プーケットのタイガー・ムエタイに所属し、今回のガムロ戦に向け、キルクリフFCでトレーニングを積んで来た。 “アタマン”のニックネームを持つフィジエフは、11歳から始めたムエタイで国際IFMAムエタイトーナメント優勝。ヨドパヤック・シッソンピーノンにKO勝利の戦績も持ち、コンバット・サンボと近接格闘術の全国王者でもある。 　2015年からMMAにも出場し、ムエタイとの二刀流で戦っていたが、2017年以降はMMAに専念。2019年にUFCデビューを果たした。初戦こそ、マゴメド・ムスタファエフの右スピニングバックキックに初回KO負けで初黒星も、以降は6連勝。テイクダウンディフェンス率も92％と高い防御力を誇る。 　2022年9月には元ライト級王者のハファエル・ドス・アンジョスと5Rに左フックを当ててKO勝ち。続く2023年3月には当時3位のジャスティン・ゲイジーと対戦し、序盤は得意の蹴りを当てたものの、後半に失速。ジャブで制され、3R判定0-2で敗れている。 　今回の対戦相手ガムロは、ポーランド出身のグラップラー。 　10歳の頃に始めたレスリングではポーランドのジュニアナショナルチーム入りし、ユース選手権でメダル獲得。2012年にMMAデビューし、2014年にはアブダビコンバットの欧州選手権（77kg級）で優勝。2019年のADCC世界大会にも出場を決め、3位入賞したゲイリー・トノンに敗れている。 　2018年12月には、KSWフェザー級王座決定戦でクレベル・コイケに5R 判定勝ちでライト級に続いてフェザー級の王座獲得にも成功、KSW二階級制覇を達成している。 　2020年10月からUFCに参戦。オクタゴンデビュー戦こそグラム・クタテラーゼにスプリット判定で敗れたものの、その後、4連勝。2022に年10月に6位のベニール・ダリューシュに判定負けも、2023年3月にジェイリン・ターナーとの緊急対戦でテイクダウンを決めてスプリット判定勝利。再起を遂げている。 キルクリフFCでテイクダウンディフェンスを強化してきた 　ワールドクラスのグラップラーのガムロとの対戦を迎えるフィジエフは、本誌の取材に、「フロリダのキルクリフFCでヘンリー・フーフトについて練習してきた。日本からも佐藤天や木下憂朔も来ている。とてもいい奴らだよね」と、ファイトキャンプの手ごたえを語る。 　さらに、「今回はレスラー・グラップラーをどう止めるかが課題になる。自分はこれまでずっとテイクダウンディフェンスを練習してきた。13歳とか14歳とかの頃からMMAのルールで戦ってきて、テイクダウンディフェンスを強化したからこそ、スタンドで戦えるようなったんだ。それが自分の戦い方だから。だから今回のキリクリフでもそこを重点的にやってきたよ。 　ジムにはたくさんのいいレスラーがいるんだよ。例えばベラトールのシドニー・アウトローとか、フリースタイルレスリングでチャンピオンだった選手も」と、ガムロの組みの対策のために、プーケットには行かず、キルクリフFCで合宿を積んだことを明かしている。 　また3月の前戦ゲイジー戦を「前回の試合はクレイジーだったから。自分の戦略が完全に頭から抜けてしまった。会場の歓声がすごくて、自分が攻撃を出すたびに、キックを出すたびに、叫び声とかが聞こえてきて、自分も“もっと！ もっと！”って舞い上がってしまった。それで戦略の事を完全に忘れてしまって反省しているんだ」と、序盤に効果的だった打撃、特に蹴り技が出ずにジャブを被弾したことを反省。 「今回は、キックもパンチも準備はできているし、自分の出せるものは全て出せる準備をしている。自分のハートを見せる準備ができているよ。日本のファイターのように恐れ知らずで常に前に向かっていく。自分にとっては全ての試合がとても重要で、全ての試合に勝つ事が大事だけど、特に今回の試合は自分の今後のタイトル戦線に関わって来るし、トップ5の選手との試合にも関わってくるので、いい機会になると思っている」と、王座挑戦に向け、負けられない試合になると語った。 　最後にフィジエフは、「日本の桜庭和志、佐藤天、彼らを見てきた。いつか、あなた達の国を訪れたいと思っている。そして実際に日本の空気を吸って、日本の文化を体験したい。日本の文化はとても好きだからね。日本食は自分の大好物のひとつだし、実際に日本に訪れて自分の目で色々見てみたいなと思っているよ。アリガトゴザイマス。どうか僕の試合を見て応援してください」とメッセージを贈った。