何度もタイへ渡り、強豪たちとスパーリングを重ねてきたぱんちゃん。その成果を発揮することが出来るか(C)ぱんちゃん璃奈
2023年9月16日(土)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』にて、チャッキー(台湾/Power Punch)と復帰2戦目を行う元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級&アトム級王者ぱんちゃん璃奈(フリー)。
4月の復帰戦でワン・チンロン(台湾)に判定2-0で勝利し、戦績を14勝(2KO)無敗としたぱんちゃんはその後何度もタイへ渡り、現地のジムを渡り歩いて武者修行を続けている。脚もだいぶ回復したという今回は、練習の成果を出したいと意気込む。そんな彼女が最も見せたいものとは?
試合のセンスを上げられるようにしたい
(C)KNOCK OUT
──今回、復帰2戦目になりますが、現在の脚の状況はどんな感じですか?
「徐々によくなりました。前回はまだ蹴れなかったんですけど、1カ月ごとに、徐々に徐々に蹴れるようになってきて、今は全然大丈夫です」
──では、まだ100%ではない?
「ヒザの状況的に100%になるということはないと思うんですけど、それに近いところまでは治ってきたんじゃないかと思います。あと、今までは出せる攻撃が少なかったんですよ。左ミドルと前蹴りのみという感じで。でも前回の試合から右ミドルが出せるようになって、ヒザ蹴り、顔面前蹴りなどもできるようになってきました」
──確かに出していましたね。
「手術の後、治ってくるまでは背伸びができなかったんですよ。それが回復してきてハイキックとかも可能になって、左足を軸にした攻撃もできるようになってきました。練習していても『やっとできるようになってきたなあ』という感じで、今は楽しいです」
──今回は台湾のチャッキー選手との試合になりました。相手の印象は?
「1カ月前のボクシングの映像は見たんですけど、キックの試合映像は見てないんですよ。見た限りでは、フックのイメージしかなくて、あとはあんまり印象がないです」
──そんな中で試合へのモチベーションは?
「メチャクチャ楽しみですよ。5カ月空いたのと、前回1年ぶりの復帰だったんですけど、1年間蹴れてない中でのGOという試合だったので、本当にダメな試合をしたなあという感じがあって。やっとちゃんと練習ができた上でリングに立てるということがすごく楽しみです。どこまで動けるのかなというのが。だから、相手どうこうというのはないですね。リングに立てることがうれしいので」
──今は練習スケジュールはどんな感じなんですか?
「今はウィラサクレック・フェアテックスジムに週3回行っていて、大阪の正道会館で週2回、パーソナルで見てもらっています。あとは良太郎さんのTEAM AKATSUKIが週1回と、フィジカルが週2回という感じですね」
──相変わらずハードワークですね。
「いえ、以前に比べたらあえて練習してないんです」
──そうなんですか?
「以前は週13回練習とかでやり過ぎだったので。今は2部練の日も週に2回ぐらいにしています。3部練もなしで、今は週9回ぐらいですね。その方がパフォーマンスもよくて、動けますね。以前は練習中に動けなくて、だからケガばっかりしていたというのもあるんですよね。一つひとつのパフォーマンスが出なくて、ただ量をこなしていた感じで。そこはフリーになって自分で決められるのが、一番の利点なのかなと。プロは毎日決まった長時間の練習じゃないですか。でも今は『今日は疲れてるから軽めにしよう』という感じで決められるのがいいですね。私にはこのスタイルが合ってます」
(C)KNOCK OUT
──なるほど。大阪でのパーソナルはどうですか?
「石井館長に紹介してもらって、湊谷秀文トレーナーのところでやってるんですけど、今まで本当に何も知らなかったんだなって思います(笑)。今までは『もっと強く打って』とか『もっと力を抜いて打って』と言われても、やり方が分からなかったんですよ。そのやり方とか、どこに力を入れるとか、どこを動かすとか全部言葉で教えてくれるので、『あ、こういう感じなんだ』っていうのが初めて分かったんです。今までは『力を抜いて』とか『前重心で』とか言われても、あんまり分からなかったんですよ。それを具体的に『どうやったらこうなるのか』というところから教えてもらって、打撃の打ち方、蹴り方を根本的に変えてもらった感じがします」
──そうなんですね。では、その成果を今回の試合で見せると。
「見せられなかったら、それは全て私のセンスがないというだけだと思います(笑)。トレーナーからは『右ストレートと顔面前蹴りが当たったら必ず倒せる』と言われているので、それで倒せなかったら本当に私のセンスがないだけということになりますね。試合のセンスがないなって、自分で思うので」
──そうですか?
「いつも思いますね。練習はいっぱいしてきたので、試合のセンスを上げられるようにしたいと思ってます」
──それがこの試合の一番のテーマ?
「そうですね。先週までタイに行ってたんですけど、世界のトップ選手たちとスパーをいっぱいして、本当にトップの選手がどのレベルにあるかというのが分かったんですね。もちろん試合は大事なんですけど、練習してきた相手ほどではないので、しっかりいい勝ち方をしなきゃなと思ってます。タイで練習した選手たちから『動画待ってるよ』って言われたので(笑)」
──試合が終わってもドキドキしそうですね(笑)。
『「こうやって、こうやってね、映像で確認するから」って言われてて(笑)。タイのみんなにいい動画を送れるような試合をしたいですね」
──最終的に、どういう試合をしてどう勝ちたいと思っていますか?
「やっぱり、ダウンは取りたいです。いつも同じことを言ってますけどね。自分の試合に対する考え方はずっと同じで、『倒したい』ということが一番なので、今回も目標は『勝つこと』じゃないです」
──今回の大会はTOKYO MXで生中継もあり、王座決定戦など注目カードが並んでいます。その中で考えることは?
「今回も女子の試合はこの1試合だけなので『男子に比べて女子は…』とならないようにしたいです。男女の差を感じさせないようにしたいですね。どうしても男子の試合の間に挟まっていたら比べられちゃうので。他のみんなみたいな派手な試合ができるように、ちょっとでも追いつけたらと」
──『KNOCK OUT』の女子部門はぱんちゃん選手ただ一人という状態ですからね。
「もっと来てほしいですけどね。強さを見せられていないので、もっと強くなれば……『いろいろやらかしたけど、実力はあるな』って思われるようになりたいなって思います。前回の試合も、今のままじゃ強さも中途半端だなって思ってます」
──そういう認識をひっくり返したい?
「周りが認めてくれても、自分が認められなければ意味がないし、逆に周りから『こいつ、弱いな』と思われてても、自分で強いと思えればそれでいいんですよ。自分とトレーナーさん、それから一緒に練習してる人たちから『あんた、さすがだわ! 強いわ!』って言ってもらえる試合をしたいです」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「『ケガする前より強くなったな』と思ってもらえるような試合をしたいですね。前回の試合だと、『ケガの前の方が強かったな』となってたと思うので。実際に言われてるし、自分でもそう思うんですよね。『だいぶ強くなったな』と思ってもらえる試合をしようと思うので、そこに注目してください」