2023年8月31日から9月2日(日本時間)、米国ラスベガスのコンベンションセンターにて国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)ワールドマスター2023が開催され、同時開催の「柔術コン」で“ブラックパンサー”ベイノアが「準優勝」に輝いた。
「ワールドマスター」では、元UFC世界フライ級王者で、現ONE世界同級王者のデメトリアス・ジョンソン(米国)が「マスター2茶帯フェザー級」で優勝するなど、柔術を専業としていない格闘家も出場するなか、日本からも俳優の岡田准一、玉木宏が2回戦進出、芸人のガリットチュウ福島善成が「マスター4青帯ライト級」で優勝を果たしている。
世界中から1万人を超える柔術競技者やファンが集うこのイベントでは「ワールドマスター」とともに「柔術コン」(JIU-JITSU CON)も開催され、そこに第2代RISEウェルター級王者で、RIZINでもMMAを戦う“ブラックパンサー”ベイノアが、柔術衣を着た部門、柔術衣無しのノーギの両部門に参戦した。
現在、米国サンノゼのアメリカンキックボクシングアカデミー(AKA)で、MMAの長期修行中のベイノアは、コーチ陣に勧められ、今回の柔術大会エントリーを決めている。このAKAは、29勝無敗のまま引退した元UFC世界ライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフらダゲスタン勢が集う名門ジム。キック出身のハビア・メンデス率いる同ジムでベイノアは、組み技の猛者たちと日々、トレーニングに励んできた。
「柔術コン」では、先に柔術衣を着た「アダルト青帯ミドル級」カテゴリーに出場したベイノアは、なんと5試合を戦い、4勝して準優勝に。
続けて9月2日には、「ノーギ・アダルト青帯ミドル級」にも挑戦。3回戦に進出しているが、実は、初戦は相手が来なくて不戦勝。二回戦も相手が来なくて不戦勝。ようやく得意のノーギ部門に出場したものの、3回戦まで試合をすることなくマットに立った。
そしてノーギの初戦では、勢いよくシングルレッグ(片足タックル)に入ったベイノアは左足での小外がけを合わせて見事にテイクダウンを奪うが、相手の左脇に突っ込んだ頭をノーアームのギロチンチョークに取られ、相手に右足で跳ね上げられて対角に飛べず。右足で背中にふたをされて動けないまま絞められ、そのまま失神一本負けを喫した。
試合後、日本ブラジリアン柔術連盟執行役員で石井道場・石井基善代表と、その場面を振り返り、「落とされました……シングルレッグ行ってそのまま首抱えられて、ノーギの試合開始1分くらいで死にました……」と説明したベイノア。
前日の柔術衣ありの準優勝を賞賛されたばかりだが、翌日のノーギでは、1戦1敗。しかも失神一本負けに、「いらないオチ、ですね……」とつぶやいている。
とはいえ、2部門に連続出場したベイノアは、充実のトレーニングを行っているようで、今回の挑戦について、「いま練習しているAKAで、コーチから、『経験のために柔術の試合に積極的に出るように』と言われており、今大会に関しては自分の空手の師匠である相見秀樹(極真会館 東京城北支部)氏も、同時開催のワールドマスターに日本から出場しに来るということもあり、自分も申し込みました」と説明。
道衣ありで準優勝、ノーギでは勝利を挙げることが出来なかった結果については、「トーナメントで試合をたくさん経験でき、良い部分も悪い部分も発見できたので、今後のMMAグラップリングに今回の反省を生かして行きたいと思います。また、来年はギ、ノーギ共にチャンピオンとなれるよう、それも一つの目標に、また頑張ります!」と、新たなモチベーションになったという。
再びAKAに戻り、MMAのトレーニングに励むベイノアは、次戦でどんな進化を見せるか、注目だ。