彼がパスする・しない、パスを防ぐ・防がないは関係ない。絶対にどんなポジションでも一本勝ちができる
──その金原選手は、会見で「クレベルとは誰もが避けるグラップリング勝負をしない選択肢もあるが、自分はグラップリング、柔術に自信があるので、そこで唯一対抗できるのは自分しかいないとずっと思っていたし、そのなかでクレベルがどう選択するか分からないけど、組んだなかで勝てるもので勝負していけばいいと思っています」と語っています。
さらに本誌の取材には、「クレベルと戦うには、パスガードの攻防/やりとりができないと負ける」と、そして「自分はパスガードの攻防ができる」と言っています。これまでの相手と彼の違いはそこにもあるのではないでしょうか。
「それはまあ……、自分の相手はいつもみんなそうなのですが、試合前に『〇〇ができる』と言うことができても、でも試合でできないですよね。言葉では『やる、やらない』とどうとでもみんな言えます。でもいざ実戦になるとできないです。とはいえ、できたとして問題ないです、なんであれ自分が一本勝ちできる。彼がパスしようが、テイクダウンできようが、大丈夫です。
金原選手だけに対してではなくて、みんな全員に言えることなのですが、たとえば、『(クレベルの攻撃を)1回ディフェンスできてしまえば……』とか言いますよね。でも、自分は頑張って、もっともっとできるようになっていて、絶対にどんなポジションでも一本勝ちができる(と信じている)。だから彼がパスする・しないは関係ないんです」
──少なくとも寝技の攻防で後手に回らないことで、MMAとしての動きを発揮できる。金原選手が摩嶋一整戦で見せた、あのわきを差して頭をつけての得意のパスガード、そして肩固め、あの一連の動きをどうとらえていますか。
「うーん。まず、摩嶋選手は寝技が上手ですが、コントロールだけなのかなって。いいガード、スイープではないです。柔道のサイドコントロールが色々できて上手なのですが、自分にとってはそれはあまり意味がないことです。あまりオフェンスのバリエーションはない、という感じがしました。摩嶋選手は柔術のトップ選手というよりも柔道のトップ選手というか、寝技といってもちょっとだけ違いますね。
柔術のオフェンスで言うと、当然金原選手はグラップリングが上手いので。彼は柔術の黒帯で、いっぱい試合に出ていて、柔術の極めがある。とはいえMMAの最初のMは“ミックス”だから。ちょっと違いますね。それは他もそうで、ボクシングだとか、ムエタイだとか、グラップリングが、それぞれが抜きん出てるといっても、それをミックスしてしまうと、簡単じゃないですよね」
──それは両者に言えることかと思います。クレベル選手の抜きんでた柔術を、MMAだから対処できる可能性もある。逆に“ミックス”だからクレベル選手は金原選手のガードをパスできるということですか。
「まあ……、絶対できますよ。誰が相手でも自分の寝技には自信があるから」(※後編に続く)