2024年11月23日(土)、2019年上海大会以来、5年ぶりの中国開催となる『UFC Fight Night: Yan vs. Figueiredo』(マカオ ギャラクシー・アリーナ)の前日計量が22日、同地にて行われ、メインとコメイン、『ROAD TO UFC 2024』決勝出場選手らが計量をパスした。
大会を配信するU-NEXTの動画では、計量前日コメントとして両者が意気込みを語っている。
▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5Rピョートル・ヤン(ロシア)17勝5敗(UFC 9勝4敗)135.5lbs/61.46kgデイブソン・フィゲイレード(ブラジル)24勝3敗(UFC13勝3敗)※UFC3連勝中 135lbs/61.23kg
(C)U-NEXT
元UFC世界バンタム級王者ヤンは、135.5lbs(61.46kg)でパス。元UFC世界フライ級王者のフィゲイレードは135lbs(61.23kg)でパス。
ヤンは、2020年7月にジョゼ・アルドに5R TKO勝ちで王座獲得。初防衛戦でアルジャメイン・スターリングにまさかのグラウンドヒザによる反則負けで王座陥落したが、コーリー・サンドヘイゲンに判定勝ちで暫定王座を獲得し、統一戦でスターリングと再戦しスプリット判定負け。続くショーン・オマリー戦では、攻勢となるもスプリット判定負け。2試合連続で惜敗した。
2023年3月の現王者メラブ・ドバリシビリとの試合では、カーフキックを効かせられ、テイクダウンで下になり判定3-0負け。しかし、2024年3月のソン・ヤドン戦ではレスリングの進化を見せて判定勝ちで再起を遂げている。31歳。
5分5Rのメインイベントに向け、ヤンは「キャンプは全てプラン通り、うまく運んだ。常に自分のレスリングスキルを向上させることは課題で、その点でソン・ヤドン戦はちょうどよかった。自分の技術が上がっていることを見せられたから」と、ヤドンから後半にテイクダウンを奪って勝利した成果を語る。
(C)Zuffa LLC/UFC
今回の対戦相手のフィゲイレードは、9つのKO・TKO勝ちに加え、9つの一本勝ちも誇るが、「(フィゲイレードの極めは)常人ならば脅威なのだろうが、自分はそれには該当しない。グラウンドでのディフェンス技術に自信を持っているし、何が起きても問題ないように準備してきてる。フィゲイレードはタフなオールラウンダーだけれど、どちらが優れているかは試合を見れば一目瞭然だ。彼がフライ級だった頃のことは追いかけてなくて、バンタム級に来てからの試合を見るようにしていた。研究するにはそれで十分だし。とりわけ危険ということもない」と自信。
さらに、「すべてのラウンドにおいてドミネートするつもり。KOは特別でもちろんその機会を狙うけど、あまり追い求めようとしてチャンスを逃してはいけない。その機会を引き寄せるような試合運びをしたい。全てのラウンドを支配し、全局面で圧倒する自分の姿がもう見えているし、自分がフィニッシュするということも視野に入ってる。私には打撃があるし、組みもできる。普通に考えてMMAファイターとして優れている」とMMAトータルで勝っているとした。
3連勝中の元フライ級王者を倒し、次は「もちろんこの試合に勝ったら次はタイトルマッチがしたいし、それはメラブへのリベンジを果たしたいということでもある。ウマル(ヌルマゴメドフ)との試合は決まったわけじゃなくて、ただそうやって言い合ってるだけだから、どうなるか見ていよう。(メラブ戦への自信は)もちろん、しっかり自分がどこを修正すればいいか見極めて取り組んできたから絶対にやり返すし、自分が再び頂点に立つ準備はもうできている」と、2023年3月に判定負けした現王者がターゲットだと語った。
また、日本のファンに向け「実はずっと日本に行こうと妻と画策してて、日本は美しく特に桜の季節なら最高だろうなと常に話題にあげている場所なんだ。もし日本でUFCが開催されたらもちろん出たいと思う」と、2025年に噂されているUFC日本大会出場にも名乗りを挙げている。
[nextpage]
フィゲイレード「ヤンの動画をつぶさに見て研究した」
(C)U-NEXT
対するフィゲイレードは、アレッシャンドリ・パントージャに判定勝ち後、ティム・エリオットにギロチンチョークで一本勝ち、ジョセフ・ベナビデスとの王座決定戦で2R TKOも体重超過で王座獲得ならず。再戦で1R リアネイキドチョーク(RNC)で一本勝ち。ベルトを巻いた。その後アレックス・ペレスもギロチンで極めて5連勝も、ブランドン・モレノとの初戦でドロー。そこからUFC史上最多となる同一カード4連続タイトル戦で1勝2敗と負け越した。
2023年12月にバンタム級転向でロブ・フォントに判定勝ち、2024年4月にコーディ・ガーブラントにRNCで一本勝ち。 2024年8月の前戦でマルロン・ヴェラにも判定勝ちで3連勝中だ。36歳。
計量前日のU-NEXTのインタビューでフィゲイレードは、「200%仕上がってる。あとは計量をちゃんとクリアし、しっかり作戦を反芻して、対ピョートル・ヤンに集中する。まず今回ヤツを倒してから帰って、デイナからのメラブとのタイトルマッチの契約の連絡を待つだけだ。(フライ級から上げて連勝で)速さも、パワーも、これまでで最高、俺史上最高の俺をみんなは見られるよ」と、こちらもコンディションは万全の様子。
(C)Zuffa LLC/UFC
ヤンとの試合に向け、「およそ2カ月間、毎週、少なくとも2週間に1回はピョートル・ヤンの動画をつぶさに見て研究して彼の試合運びをマッピングして勝利のための結論を導き出したというのと、この試合のためにたくさんのストライカー、キックボクサーたちと練習した。ヤンをKOするための作戦を練り上げてきた。もちろんストライキングは重要だ、だけど打撃戦だけをするためにってことじゃない。自分がいいポジション取りをするために必要なんだ。彼のミスを誘導したりしてね。ピョートル・ヤンは優れたストライカーで細かくスイッチを多用する。自分とサイズが合っているというか、小柄でリーチが短い。弱点が多いというのかな、俺にとって突きやすい」と、研究と打撃強化の末に、攻略方法を掴んでいるという。
ヤンは前戦でアップしたレスリング力を見せているが、「どうあれ彼の強みはやっぱり打撃だと思う、テイクダウンが上手くなったといっても、ポジションどりに時間がかかるというか、遅い。それで、前戦はソン・ヤドンのほうが打撃面で上回ってたと思うし、向こうは組まれても対処出来ていた。たしかにテイクダウンは見せたけど、ストライキングという強みがあってこそだ。そこでソン・ヤドンが自滅したというか、ガス欠を起こした結果だと思ってる」と、ヤンの進化よりも、ヤドンのスタミナや試合運びに問題があったとした。
その上で「自分はもちろんスタミナは問題ない。オクタゴンでしっかり自分の力を発揮できるし、ポジションをしっかり取れるし全てのラウンドで自分が圧倒する。(両者が5Rマッチ経験が豊富だが)彼はしんどい試合をたくさん経験してるし、タフな試合に持ち込める選手だけど、俺がオクタゴンでやるべきことをちゃんとやればおそらく3R以内に彼を仕留められる」とフィニッシュを予告。
さらにヤンの極め力について「彼は柔術についてはよく分かってないだろうから、その点で自分が有利なのは確かだけど、彼が素晴らしいストライカーであればこそ彼と打ち合う準備をしてきたし彼をKOだってできる。彼が俺を誘ってくるのは分かるし、自分としてはいつものように自分のポジションを保ちながらたくさん動き回って賢く距離をとって、彼の強みを無効化していき、(攻めあぐねた)ヤンがアグレッシブに前に出て来るところをカウンターでとらえてる様子が浮かぶ」と、ヤンの攻撃をシャットダウンし、得意のカウンターのテイクダウン、打撃を決めるとした。
この試合を越えて、目指すのはヤン同様に王者ドバリシビリとのタイトルマッチだ。
「見ている人には、俺が次のタイトル挑戦者に相応しいと証明できると思う。ウマルだとラマダンの時期に入って難しくなるからUFCとしても誰かとメラブの試合を組みたいだろう、そのときに、俺はいつでもできるしUFCとしても集客できるカードであってほしいだろうから、みんながメラブと戦うところをみたい相手といったら俺こそ相応しいだろう。準備万端だよ。連絡が来るのを待つだけ」と、いつでもスタンバイだと語る。
MMA29戦目で、12月18日には37歳を迎えるが、「自分のルーツを忘れることはない」と言う。「自分はどこから来て何をどう築いたかを忘れることはない。だからといって、後ろは振り返らないよ。常に前を向き、より良くしていくことを目指しているのだから、勝ち続けていることで家族も豊かになっていける。自分はヴァンダレイ・シウバやミノタウロ(アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ)に憧れてMMAを始めた人間で、日本のMMAで育ったから当然、日本の舞台で戦ってみたいと夢見ているし、とても素敵な国だろうと思っていて行ってみたいという夢もある。日本大会があったら? レッツゴー! 準備できてる。(それがタイトルマッチだったら)クソ最高だよな!」と、自身の原点である日本での試合を望んだ。