2023年8月19日(土/日本時間20日午前2時)オランダ・ロッテルダムのアホイアリーナで開催される『GLORY 87』にて、GLORY世界ライト級(-70kg)タイトルマッチで海人(TEAM F.O.D)の挑戦を受ける王者ティジャニ・ベスタティ(オランダ)がインタビューに答えた。
ベスタティは2016年からGLORYに参戦し、 ストヤン・コプリヴレンスキー、シッティチャイ・シッソンピーノン、マラット・グリゴリアンには敗れるも高い勝率で、2021年9月には王座決定戦でエルビス・ガシを破りGLORY世界ライト級王座に就いた。同王座は2022年5月にジョシュ・ジャンシーをKO、同年10月にコプリヴレンスキーにリベンジを果たし、2023年3月には同時二階級制覇を狙ったGLORY世界フェザー級王者ペットパノムルンの挑戦もKOで退け、3度目の防衛に成功している。
スイッチを多用し、左ボディ&右フック、顔面とボディに突き刺す鋭いヒザ蹴りを得意とするベスタティはスピードとバネがあり、相手のパンチをかわすのも上手い。軽快なステップとスウェーでコプリブレンスキーの強打を5Rかわし続けた。海人としては不意に突き上げてくるヒザを警戒しつつ、カーフキック&ローキックでまずは足を止める必要がありそうだ。 今大会は日本ではU-NEXTにて全試合がLIVE配信される。
海人の全てを僕は無効にする戦いが出来る
――今回、日本の海人選手とタイトルマッチを行うことになりました。日本人ファイターを挑戦者に迎えるにあたってどのようなお気持ちですか?
「海外の選手と戦えるのはとてもいいことだと思っているよ。それが日本の選手であることはなおさら嬉しく思っている。日本は格闘技の歴史がある国だし、キックボクシング発祥の地だからね」
――日本の格闘技界にはどんな印象を持っていますか?
「僕は昔からK-1を見て育ってきたんだ。ヘビー級もK-1 WORLD MAXもね。時差があるので朝早く起きて、楽しみにして見ていた記憶があるよ」
――K-1で憧れていた選手は?
「MAXのマイク・ザンビディスとシャヒッドの試合はとてもよかった。ヘビー級ならグーカン・サキとタイロン・スポーンの試合が特に印象に残っている。それとバダ・ハリがヘビー級トーナメントで決勝戦まで進出した時の試合だね。もちろんアンディ・サワー、ジョルジオ・ペトロシアンも好きだった。たくさんいるね(笑)」
――当時好きだった選手で、今のご自分のスタイルに影響を与えた選手はいますか?
「自分のファイトスタイルは他の選手と比べることは出来ない。いろいろな選手の戦い方を参考にはしているけれど、誰とも比較することは出来ないと思っているよ。小さい頃からボクシングの試合もよく見ていてモハメド・アリやフロイド・メイウェザー、キックボクシングならK-1のヘビー級やMAXを見て、いろいろな影響は受けたかもしれないけれど、自分は彼らとは違う戦い方をする選手だと思っている。いろいろ勉強はしたけれども、今までの誰のスタイルにも当てはまらない。それと、自分の戦い方は毎回違うと思っているので、この人から強い影響を受けたという部分が残っていることはないね」
――なるほど。今回対戦する海人選手の試合映像はもうご覧になっていると思いますが、どのような印象を受けましたか?
「実は、僕はいつも対戦相手のことを深く研究はしないんだ。自分はいつも自分のことを信じて戦うだけなので。もちろん1~2試合は映像を見たが、僕よりもチームのみんなが海人のことは研究しているよ。だから今持っている印象としては、テクニカルなファイターだということくらいかな」
――知っている範囲で海人選手のストロングポイントは何だと思いましたか?
「まずテクニカルであること。その中でもカーフキックが上手い。あとはとても忍耐強いファイターでもあるけれど、その全てを僕は無効にする戦いが出来ると思っているよ」
――言える範囲で構いませんが、どのような試合展開をイメージしていますか?
「僕はそういう予測は一切しない選手なんだ。早く決着がつけられるなら早く決着をつけるだろうし、ポイントを稼いで5Rフルに戦うならそうなるだろう。今までの試合でも、自分はどっちの戦い方でも出来ることを証明してきた。どうなるかは試合の流れ次第だね。ただ絶対的に言えることは、今度の土曜日は必ず自分が勝つということと、4度目の防衛を果たすということは断言できる」
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自分のテーマは“プログレッション”それをみんなに見せたい
――世界的にパンチが主体のファイトスタイルのキックボクサーが多いですが、ベスタティ選手は蹴りを多用しますね。それはなぜですか?
「自分はパンチも蹴りも両方ミックスアップするファイトスタイルだと思っているし、パンチも蹴りもたくさん使う。特に蹴りにこだわっているわけではないよ。さっきも言ったように、対戦相手によって戦い方を自由自在に変えられるので、自分の戦い方で自分がやりたいことをやる、自分の試合をやるだけなんだ。パンチが多くなるか、蹴りが多くなるか、それとも半々なのかはその時々によって変わるので、相手にとっては予測がしづらいタイプだろうなと思うよ」
――キックボクシングを始める前のバックボーンは何ですか?
「キックボクシングを始める前の格闘技のバックグラウンドはなくて、ずっとサッカーをやっていたんだ。妹が先にキックボクシングをやっていて、その練習に付き添いで行ったことが始めるきっかけになったんだ」
――自分のオリジナルスタイルを持っていると言われていましたが、理想とするスタイルはどのようなものですか?
「自分が今後どのようなファイターになるかは言葉では表せないけれども、常に自分を進化させていく、自分をより良くしていこうと思っている。毎日少しずつでも上達していき、試合毎に進化した自分を見せられるようにしたい。格闘技を始めてからずっとそういう風に進んできたと思っているし、自分のテーマは“プログレッション(進歩・前進)”なんだ。それをみんなに見せたい。だから、今週の土曜日にみんなが見るものはこれまでの自分の最高傑作になると思うし、前回ペッチ(ペットパノムルン)をKOした時よりもさらに強い自分を見せられるだろう。だから、全ての対戦相手に言いたいのは『今、戦った方がいいよ』と。なぜなら時間が経てば経つほど自分は進化して強くなるからだ。相手にとっては苦痛でしかなくなるよ」
――海人選手はこの階級で日本最強の選手ですが、日本のファンが驚くような結果が土曜日に待っているということでしょうか?
「もちろんそういう試合を見せたいと思っているし、100%そうなる試合を見せられると思っている。試合を支配して勝利にこだわって、僕が確実に勝ちに行く。彼の試合を見て強いなと思うところもあるけれど、僕から見ればそれは大したことではない。必ず僕が勝つところを日本のファンは見ることになるよ」
――海人選手に勝てば、ティジャニ・ベスタティの名は一気に日本のファンにも知られることになると思います。そうなったら近い将来、日本でも試合をしたいという気持ちはありますか?
「日本で戦えたらそれは最高だ。ずっと日本に行きたかったし、日本で戦えるとなったら光栄だ。実現したらとてもいい話しだね」
――ありがとうございます。最後に、U-NEXTでこの試合を見ることを楽しみに待っている日本のファンへメッセージをお願いします。
「いつも皆さんには感謝しています。今週の土曜日、日本では日曜日の夜中になるのかな? ぜひU-NEXTで試合を見てください。世界中のファンのみんなには本当に感謝しているし、いつもサポートしてくれてありがたいと思っています。すぐに会えるといいなと思っています。僕が唯一知っている日本語でお礼を伝えたいです。“ありがとう”」