2023年8月5日(土)タイ・ルンピニースタジアムにて開催される『ONE Fight Night 13』のONEフェザー級キックボクシング世界タイトルマッチで、同級2位のマラット・グレゴリアン(アルメニア)を挑戦者に迎える王者チンギス・アラゾフ(ベラルーシ)が、試合前のインタビューに応じた。
アラゾフは同級キックのWGPで優勝した後、今年1月のタイトル戦で当時の王者スーパーボンをKOで下し新王者に。初防衛戦で因縁のライバルのグレゴリアンと激突する。両者は過去2度対戦しており、2013年4月の初対戦はグレゴリアンの反則のヒジ打ちでアラゾフが流血ノーコンテスト。その8カ月後の再戦ではグレゴリアンが判定勝利した。アラゾフにとっては、初防衛と同時に雪辱マッチ。果たして、どのような戦いを見せるのか。
私は私のインテリジェンスで戦う
――スーパーボンとのタイトル戦を振り返って。
「戦う前からスーパーボンのことは知っていた。彼は卓越したテクニックと独自のスタイルも持っている。彼の攻めは、60~70%がキック、そして残りの30%はボクシングだ。でも、私はこのスタイルの相手は得意だ。近い距離でインサイドに入って戦う。マラット・グリゴリアンと同じだ。(試合で)スーパーボンは大きなミスを犯したが、私はこれを見逃さなかった。私が先に動いて距離を縮めると、それは彼にとって嫌な状況だったようだ。彼の得意な相手は、彼の距離内を出入りするタイプ。彼は距離を支配するのがうまいからね。
あの試合のために、8カ月間毎日トレーニングを積んだ。毎日彼のことで頭がいっぱいだった。スーパーボンは前のグレゴリアン戦で相手の右クロスをもらうのを嫌がった。それを知っていた自分は、第1R、スーパーボンがパンチを全く出さなかったから、第2ラウンドに右クロスを出したんだ」
――ONEフェザー級キックボクシング王者になった後、生活はどう変化した?
「タイトル戦の翌朝からコーチとトレーニングし、第1Rで自分が犯したミスを検証し練習で修正した。私は毎日トレーニングを欠かさない。コーチにはいつも勝たせてくれとお願いしているよ。私は彼を信頼しているし、彼も私を信頼している。コーチとの強い信頼関係もメンタル面でのトレーニング、戦術だ。
今、私は世界で人気のあるファイターの一人だ。私はタイのクラビ島で活動しているが、多くの地元タイ人が私に敬意を示してくれる。この試合の後、YouTubeで私の様々な試合動画を見かけるようになった。この辺はとても素晴らしい変化だが、私自身はそのメンタリティは変えていない。スーパーボン戦より前から私は自分がナンバーワンだと信じていた。これからはもっと人々にそれを知ってもらいたい」
――マラット・グレゴリアン戦との3度目の対決をどう思う?
「この日を待っていたんだ。ONEから初防衛戦の対戦相手候補を3人挙げられて、私はマラットを選んだ。私たちは10年前に戦った。1度目はノーコンテスト。2戦目は負けた。その後、僕とマラットはお互い成長し名声を得た。私はトーナメントで優勝し王者となり、ONEの頂点に立った。ONEで私の階級は世界一だ」
――グレゴリアンの印象は?
「私にとってマラットはテクニシャンではない。スーパーボンと同じ、前に出るのが好きな強いファイターだ。アグレッシブだが、テクニックはない。彼の強さは距離を詰めることだ。彼はボクシングやキックを得意とするが、今では私のボクシングやキックの方が上だ。彼にはスピードとパワーがあるが、私はそこを私のインテリジェンスで戦う。勝利のために、私は前に出て戦う。
マラットのタイフン・オズカン戦(グレゴリアンが判定勝利)を観たが、彼は終始、ブロックをしながら前に出てカウンター攻撃に徹した。私は今回の試合、多くの戦術を用意した。私はこれまでKOを狙った戦術は立てない。相手のミスを見つけたら、そこを狙ってパンチを放つ。私は彼をKOできるかもしれない。しかし、私の戦術はKO狙いではなく、クレバーに戦うこと。心身ともに万全の状態だ」
――過去2戦との違いは?
「今回は全く別の試合になるよ。私もマラットもキャリアが長いからだいぶ変わったはずだ。私たちは世界最高のファイターだ。これまでスーパーボンやシッティチャイ、強敵たちと戦ってきたが昔の自分とは別人だ。10年前とは全く別のファイトになるよ。10年も昔のことだ。私の人生はここ数年で劇的に変わってきたから、10年前とは10倍も変化しただろう。同じ試合にはならない」
――この試合の次は何を目指すのか?
「プランは何もない。今はマラットとの試合に100%集中している。心身の準備はできているし、その質問はこの試合が終わってから答える。シッティチャイ戦、スーパーボン戦の時も同じだった。戦いの準備が100%できていても、神は別の計画を立てているかもしれない。我々が行っているのは本当に危険なスポーツ。だから、今はマラットに全集中している」
――日本のファンへメッセージを。
「まず日本の皆さんにコンニチハと言いたい。日本にたくさんのファンがいるからね。日本に行ったことがあるから、恋しいね。日本が大好きだからぜひまた日本で戦いたい。大好きな日本にいつか戻れたらいいね。東京がお気に入りだよ。日本にたくさんのファンがいることは分かっている。今週土曜日、マラット・グレゴリアンと戦う。この日を待ち侘びていた。準備万端だ。応援よろしくお願いします!」