キックボクシング
インタビュー

【REBELS】工藤“red”玲央「早くベルトを獲って『26歳でデビューしても、チャンピオンになれるんだぞ』と胸を張りたい」

2019/07/31 22:07

TEPPEN GYMに移籍して進化「天心は年下だけど憧れだし、毎日刺激を受けてます」

 工藤とTEPPEN GYMの関係は古い。現在のようなジムが出来る前の、松戸の体育館を借りて練習していた頃からである。

「天心がプロデビューした頃(2014年)に『地元で格闘サークルをやってる』と聞いて『俺、地元なのに知らねえよ』ってなって。試合会場で(那須川)会長に会って『地元なんで、練習したいのでお願いできますか』って」

 練習日と場所を聞き、住んでいた高田馬場から地元の松戸市へ。体育館に行くとTEAM TEPPENのメンバーがいた。

「15、16人いて、ジュニアの選手たちの中に稲石(竜弥)がいたんです(笑)。稲石とは付き合いが長くて、仲いいんですよ。

 始めは子供たちも『何、この人?』って感じだけど『関係ねえ』と思って。マススパーをやったら(寺山)日葵にボコボコにされて、天心には何も出来なかったです(苦笑)。『テクニックがちげえ。何、このサークル?』って思って、それから出稽古に行くようになったんです」

 TEPPENでの出稽古で学んだことを、ファイヤージムに取り入れたこともあった。

「ファイヤージムでクラスを持って指導してたんですけど、TEPPENでやったことを取り入れたらファイヤーさんが気にくわなそうな目でにらんでたんですよ(苦笑)。ずっとやってたら定着しましたけど」

 TEPPEN GYMが松戸市小金原に常設のジムをオープンしたのが2016年11月。天心の活躍が全国に知れ渡るにつれて会員が急増し、2018年2月には現在の新松戸駅近くに移転し、タイ人トレーナーが常駐する充実した環境となった。

 工藤は2017年10月にファイヤージムからTEPPEN GYMに移籍。体育館時代、小金原時代、現在の新松戸と、TEPPEN GYMの変遷を知る一人である。

「『(小金原に)小さなジムを出す』という話は聞いてましたし、オープンの初日からいました。所属になってからは目の前のたこ焼き屋のおっちゃんと仲良くなって、みんなに広めてあげたり(笑)。

 TEPPENで練習するようになって『視野』が広がりましたね。それまでは攻撃を貰っても我慢して打ち返す、昔のスタイルだったのを、ちょっとずつ貰わないようにして、自分の距離で戦えるように変えていって。まだ完成じゃないですけどね。それが出来てれば今頃はチャンピオンになってるんで(苦笑)」


左から那須川会長、工藤、トレーナーのジョー・テッペンジム(栗秋祥梧と対戦する元ランカー)。「工藤は最近本当に強くなってる。やるべきことはちゃんとやる選手だから期待してるよ」(那須川会長)

 TEPPEN GYMには、那須川天心を筆頭に、ベテランからジュニアまで「世界のトップ」を見据えて連日切磋琢磨している。その環境が工藤のやる気を一層刺激する。

「やっぱ毎日『いいもの』を隣で見れるんで、勉強になるんですよ。僕、TEPPENで週2回指導もしているんですけど、小さい頃からキックをやってきた高校生の動きから『こういうテクニックもあるな』と見て覚えたり。プロが僕ひとりだったファイヤージムではなかったことですね」

 そして、何よりもキック界のトップランナー、那須川天心が隣にいることが工藤の意識を大きく変えた。

「そばに天心がいると、刺激になるし、勉強になるし、尊敬もしてます。年齢は違うし、年下に憧れるなんてなかったっすけど、憧れですね。ああいうスタイルになりたいわけじゃないけど『もっと強くなりたい』って思いますよ。

 天心は、練習に対する姿勢も違います。たまに僕が練習にぬるくなると、すかさず天心に注意されるんですよ。『全然気持ちが入ってないから、そんなんじゃ勝てないですよ!』って」

 REBELSでの過去2戦、工藤は激しい打ち合いで会場を湧かせた。特に、今年2月「パンクラス・レベルス・リング1」でのJIRO(創心會)戦は、昼の部の盛り上がりに火を付ける好勝負を展開して、存在感を発揮。だが、その代償として怪我を負い、医師からは「しばらく練習は休んだ方がいい」と告げられた。

「それで、仕事が終わって家にいたら天心から連絡が来て『もう練習した方がいいっすよ。怪我したところは使えなくても違うことが出来るじゃないっすか』ってガーっと言われて(苦笑)。そうだな、と思って練習を再開して、やれることをやってきました。言われなくなったら終わりなんで」

 今回は半年ぶりの復帰戦だが、ブランクの期間も(天心の叱咤激励もあって)練習は怠っておらず、工藤は自信を持って臨む。

「今まで出来なかった動きがあって、ずっと練習してきて3週間前に突然出来るようになってたんですよ(笑)。僕は鈍感なんで、自分では分からなかったんですけど、会長に『最近いいね』と言われて、天心にも『最近動きいいですね。前と全然違いますよ』って。それで初めて『変わってきたんだな』って気づいて、自分でもしっくりと来るんです。

 『REBELS.62』の記者会見(7月13日)で『REBELSでの前回、前々回の試合よりもかなりレベルが上がってて、かなり強くなってる』と言ったのはそういうことです」


 工藤には、明確な目標がある。

「ベルトが欲しいです。ベルトを巻いたら『ちゃんと言ったことを守ったぞ』って、みんなに胸を張れるじゃないですか。

 昔、職人として現場仕事をしながら『俺はプロになる』ってずっと言ってたんですよ。でも親に『あんたはプロになんかなれない』って言われて、それで喧嘩になったりしてたんです。同じ年齢の子たちは結婚したり、正社員になってボーナスを貰ってるのに『あんたはどうするの?』って。でも26歳でプロになった時『それはすごい』っていわれて。

 途中で遊んだ時期もあったんです(苦笑)。週1だけ練習に行ったり。だから時間も掛かったけど、諦めたら終わりなんで。26歳っていうプロとしてのスタートが遅かった人間でも、頑張ったらチャンピオンになれる。そういうことを悩んでいる人にも言えると思うし、そういう気持ちを会長はサポートしてくれるんで」

 対戦相手のMr.ハガは、WMC日本バンタム級3位。今回がプロ30戦目で、キャリアでは負けているが、特に気にも留めていない、という。

「相手(Mr.ハガ)はなんか注目されてるじゃないですか(※記者会見での独特の喋りとたたずまいが話題になった)。そんなもん関係ないですよ。相手は誰でも、右でも左でもいいっす。打ち合っても打ち合わなくても自信あるし、僕はやることは決まってるんで。倒して勝って、ベルト獲りをアピールするだけなんで。ぜひ8月10日、後楽園ホールで僕が倒して勝つところを見てください」

 熱い「ファイヤー魂」と、頂点を目指して切磋琢磨するTEPPENイズムで、工藤“red”玲央は、バンタム級チャンピオンを目指して疾走する。

プロフィール
工藤“red”玲央(くどう・れっど・れお)
所  属:TEPPEN GYM
生年月日:1987年5月8日生まれ、32歳
出  身:大阪府豊中市 身長:163cm
戦  績:2013年12月デビュー。19戦7勝(4KO)7敗5分
J-NETWORKバンタム級4位

「REBELS.62」
2019年8月10日(土)東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始17:15

▼第9試合 バンタム級 3分3R(延長なし)REBELS-MUAYTHAIルール
工藤“red”玲央(TEPPEN GYM)
Mr.ハガ(ONE‘S GOAL)

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