キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】重森陽太「梅野源治選手に『重森とやったら面白い』と思わせる戦いをします。今年とか来年にはやりたい」

2023/07/31 20:07
 2023年8月6日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.3』にて、元タイ国BBTVスタジアム・ライト級王者のバットマン・オー.アッチャリヤー(タイ)と対戦するKNOCK OUT-REDライト級王者・重森陽太(Eight Weapons)のインタビューが主催者を通じて届いた。  今回、2年ぶりの『KNOCK OUT』参戦となる重森は、この間にデビューから所属していた新日本キックボクシング協会を離れ、独立して『KNOCK OUT』を主戦場に選んだ。節目の一戦で重森が期しているもの、そしてその先に見据えるものとは? ──6月の後楽園ホール大会ではリング上から挨拶されて、今回独立しての初戦が『KNOCK OUT』のリングになりました。これは、今後も『KNOCK OUT』を主戦場にしていくということなんでしょうか? 「そうですね。私の希望としてはそういう気持ちです」 ──そもそも『KNOCK OUT』のチャンピオンでもあるわけですが、それでも進路としてはいろんな選択肢もあったと思います。その中で『KNOCK OUT』を選んだ理由というのは? 「もちろん今チャンピオンというところもあるんですが、『KNOCK OUT』には旧体制の時からずっと参戦していて、思い入れというのもあります。そして、国内のイベントで一番面白くなりそうなのが『KNOCK OUT』だなと思っていて。今の体制になってすごくベンチャー企業的というか、ここからグイグイ伸びてくるんだろうなという雰囲気が感じられるのがいいんですよね。すでに盛り上がりきっているところに行くのは、何となく気分的に違うなというのもあったし、ここから日本一だったり、世界規模に育っていけるようなイベントに参加させてもらえるんだったら、その方が面白いなと思いました」 ──「面白くなりそう」というだけでなく、自分の手でもっと面白くしたいという気持ちですか。 「本当にそうですね。チャンピオンとしての責任もあって、このままフワッと消えるわけにもいかないですよね。チャンピオンの1人として、しっかり盛り上げていきたいと思っています」 ──というところで、今回はタイのバットマン・オー.アッチャリヤー選手との対戦になりました。改めて、相手の映像を見て目を引いた部分というのは? 「激しく打ち合う選手という紹介の仕方をされていたり、ハイキックでKOしている映像が注目されているようなんですが、実はその部分は何とも思っていなくて、テクニックがすごくあるという部分に一番目が行きましたね。最初に触れたのがハイキックで秒殺KOの試合の動画だったんですけど、あの勝ち方には正直、何とも思わなかったんですよ。『ラッキーでよかったね』というぐらいで。でも他の試合を見ていくと、何でもできるし、試合の組み立て方もすごくうまいしで、そういうテクニックの方に注目させられました。ヒジを打つタイミングもすごくうまいので、そこは気をつけなきゃなと思っています」 ──ただ、先日のカード発表会見では、相手に対してかなり自信があるように見受けられました。 「はい、自信はあります。実績はすごい選手なんですけど、自分のなりたい姿だったりとか、目標にしているところというのはもうちょっと上になるのかなと。もちろんすごく強い選手だとは思いますが、今後、自分が世界で戦っていけるような選手になるためには、ここはしっかりクリアしないといけないんじゃないかなと自分の中で解釈して、そこまで気負わず、のびのびと試合できればと思っています」 ──では、どんな試合にしたいですか? 「たぶん、最低限ダウンは取らないと、ポイント差がつかないと思うんですよね。ディフェンスもリターンもすごくうまい選手だし、リターンに関しては自分もしっかりするように常に意識しているので、判定でボロ負けしたということもあんまりないんですよ。なので、お互いにハッキリと点を取る瞬間がないと勝てないと思っていて、今までとはちょっと違って、倒せる技を何個か用意して試合を組み立てたいと思っています」 ──それはこれまでの試合とはやはり意識が違うということですね。 「これまでは、変な話……あんまりよくないなとは思うんですけど、流せば勝てたんですよ。日本人相手なら、テクニックでは負けることはないので。差し合って、もらわなければ試合もコントロールできて勝てるんですけど、今回の相手はそういった差し合いだと、もしかしたら自分よりちょっと強いんじゃないかなと思うんですね。ですので、バッとまとめるとか、一発多く狙うとかで差をつけていかないといけないんじゃないかなと思ってます」 ──しかも試合は3Rですよね。だからあまり見ているわけにもいかないのかなと。 「そうですね。相手のレベルもあるので、いきなり突っ込んでいくことはないですけど、常に何かしら狙っていくということは意識します。いける時にガッといかないと、時間がなくなっちゃうので」 ──そのあたり、これまでの戦い方から『KNOCK OUT』仕様の戦い方に移行するという感じですか? 「それはありますね。これまでは5Rの試合が多くて、ムエタイらしく1・2Rは見て、3・4・5Rをしっかり取るという流れが身についていたんですけど、最近は3Rの試合が多くなっているので、そこには適応していかないといけないなとは意識しています」 [nextpage] 他の日本人選手にはできないような高レベルで面白い試合ができる自信がある ──この一戦は勝利した上で、会見ではその先の標的として宮田プロデューサーから梅野源治選手の名前がハッキリと出ました。そこはいかがですか? 「宮田さんもああやって言ってくださったので、今は私もやりやすいなと思っています。正直なところ、梅野選手からしたら自分とやってもそんなにおいしくはないと思うんですよ。ですので、私が国内でどんどん名前を上げていく必要もありますし、『重森陽太とやったら面白いんじゃないか』と思わせるようなことを、今後していかなきゃと思っています。そのためには『KNOCK OUT』で活躍することももちろんですし、最近ではONE Championshipも注目度が高いじゃないですか。今回のバットマン選手もONEに出場経験がある選手でもありますし、私もONEに出てインパクトを残すことができれば、梅野選手との対戦も近づいてくるんじゃないかと思うんですよね。まあ、早めにやりたいですよね。今年とか来年にはやりたいと思っているので、短時間でグッと近づけるように知名度とかも上げていきたいですね」 ──なるほど。 「あと、宮田さんはムエタイがあまり好きではないんじゃないかと思っていたんですけど、その宮田さんの口から梅野選手の名前が出てきて、ここで『KNOCK OUT』でのムエタイ路線に火をつけられるのはこの重森vs.梅野という一戦だなと思っているので、一気にそこに持っていけたら、『KNOCK OUT』のヒジあり、REDルールは私の独壇場にできるんじゃないかと思っています」 ──重森選手は2年ぶりの『KNOCK OUT』参戦になりますが、この間に代々木第二大会も成功したりと、『KNOCK OUT』を取り巻く環境もだいぶ変化しています。そこはどう捉えていますか? 「すごくいい状況だと思いますね。代々木大会が成功したのもよかったと思いますし、地上波のTOKYO MXで毎週、定期番組をやっているのもすごくいいと思います。他の団体とは違うなというところがすごくあるので、あとは選手次第ですよね。『KNOCK OUT』の運営側がすごく活動的に動いているので、選手たちがいかについていけるか。そこで引っ張っていけるような存在にならないといけないなと思っています」 ──また、重森選手が主戦場とするREDルールでは、小笠原瑛作選手がエース的な立場にいます。そこは意識しますか? 「あー、なるほど……。彼と私とは、ちょっとジャンルが違うんですよ。小笠原選手は『キックボクシング』、『打倒ムエタイ』なんですよ。動きが。奥足をローで削って、ハイキックも出して、フットワークをしっかり刻んで……みたいな。ちょっと言葉では説明しにくいんですけどね(笑)。それに対して私は、『ムエタイ』そのものをやりたいんです。ムエタイを学んだ上で、日本の試合に落とし込むということをやりたくて。だからベースはムエタイに持っていきたいんです」 ──ムエタイの面白さを伝えたいと。 「そうなんです。キレイな試合をしたいんですよね。しっかり相手の腕を蹴っていい音を鳴らして、腕を効かせたらハイキックに軌道を変えて倒す、みたいな。あとは蹴りをキャッチして返してというラリーだったり。そういうキレイな試合をする技術にこだわりを持ってるんです。そういうところで、日本人のやるムエタイを見せていければと思ってますね」 ──そう聞くと、やっぱり梅野源治戦が見たくなってきます。 「梅野選手は梅野選手で、自分に落とし込みすぎているというか……クセがありますよね。それがタイ人にとってはすごくやりにくくなってるなと、見ていて思いますけど。あれもベースはムエタイなんですけど、けっこう日本式なんですよね」 ──そうなんですか。見ていると「タイ人みたいな試合の仕方を極めてるな」と思ってしまうんですが。 「例えば、手のフェイントってタイ人はあんまり使わないんですよ。そういう部分が、梅野選手らしいムエタイなんだろうなと思っていて。ムエタイそのものからはちょっとそれているんですが、だからこそラジャダムナン王座を獲れたんですよ。私の場合は、よくも悪くもムエタイを突き詰めすぎて、タイ人からするとやりやすいんです。そういったところも自覚しているし、反省でもあるので、ちょっとずつタイ人の苦手な技なんかを研究して、取り入れていければとは思ってるんですけど。なので対戦が実現するなら、梅野選手らしいムエタイに対して、私は私らしいムエタイの形を探して、ぶつけていければ最高だなと思っています」 ──ここまでお話を伺っていると、ここから『KNOCK OUT』でというだけでなく、「重森陽太」としてのリスタートという感がありますね、やはり。 「ありますね。自分でも、今回は初参戦する気分なんです。今回の試合での評価って、すごく大きいと思うんですよね。今までは新日本キック協会に守られていた部分があったんですよね。変な試合をしても、協会でまた試合ができましたし。でも今はフリーなので、ダメな試合をしたら使われなくなりますよね。だから、本当に欲される選手になって勝ち続けないといけないですし、そういったところが姿勢として出るんじゃないかなと思ってます。引き返せないところにいますね(笑)」 ──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう? 「記者会見の時も、『K-1グループとの対抗戦と、3大タイトルマッチに挟まれていますが、どう思いますか?』という質問を受けたんですね。その時にも答えた通り、そこは全く心配していなくて。こういったタイ人との試合で『面白いな』と思わせるのは技術力とか経験の力というのが絶対に必要になってくると思うんですね。他の日本人選手にはできないような高レベルで面白い試合ができる自信があって、むしろ今回の大会の中で隠し味になるのがこの試合になるんじゃないかと思っているので、ご注目いただければ」 ──「隠し味」でいいんですか? 「(笑)。まあでも、世間から見た分かりやすさというのは対抗戦とかタイトルマッチというところだと思うんですけど、そういった要素を抜きにして『シンプルに、どの試合が一番面白かった?』という時に私の試合が挙がるような戦いをしたいと思ってます」
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