「冷蔵庫」みたいなアルテイガを止めること
――今回の『超RIZIN.2』での試合に向けては、どんな練習環境でしたか。
「MMAの練習と打撃の練習を中心にやってて、グラップリングとか寝技だけの時間はいつも通りという感じです。打撃は前回同様に、ARROWS GYMで矢口(哲雄)先生のところに、だいたい週3くらいで行かせてもらって。ほかはFIGHTER'S FLOWのチームで、ほぼ毎日練習してという感じです」
――ご自身のなかで打撃の手ごたえも得てきているのではないですか。
「手応えはかなり練習ではあるんですけど、なかなかやっぱり試合で出せないと実力じゃないので、まだまだというところですかね。早く試合で使いたいんですけどね」
――今回の対戦相手のヴィタ・アルテイガの打撃という面では、どうとらえていますか。
「やっぱりグイグイ出てくるので、ちょっとやりにくいかなとは思うんですけど、逆に自分のほうがリーチが全然長いので、それを活かして、相手が入ってきたところを止めるような打撃はいろいろ矢口先生と練習はしてきましたね」
――「グイグイ前に」という通り、以前は階級上の選手でしたし、上半身が大きいですね。
「冷蔵庫みたいな、この(ジムにある)自動販売機みたいな体型してますね(笑)。非常にタフなファイターでスタミナとガッツがある。相手をどんどん削っていくファイトスタイルなのかなと思います」
──その圧力は、これまで互いに対戦した相手との試合から、どう見て取れていますか。
「身長が小さい(163cm)けど横がけっこう大きい。たしかに共通の対戦相手がけっこういっぱいいて、3人くらいいるのかな。(デニス)キールホルツと(イリマレイ)マクファーレンと、あとアレハンドラ・ララともやっていて。ララにはけっこう苦戦していましたね、長いリーチを生かされて。いまとは異なるところはあるものの、あの試合は参考にしましたね。どれだけ相手の前に出るところを止めるか、調子に乗らせないようにしたいです」
――冷蔵庫は……勢いづけたくはないですね。
「そう。冷蔵庫が突進してくると、やっぱそういう選手ってどんどん調子が上がってきちゃうので、前に出させないのって、打撃だけじゃないじゃないですか。相手が振ってくるならそこに組みつくこともできるし、タックルも合わせられる。
寝かせてしまえば、そういう荒削りなところも消せるので、どんな人が来ても大丈夫です。やっぱり相手は組まれたくないと思っているだろうから、そこもうまく利用して。今まで試合で駆け引きをあんまりちゃんとできていないので、そういうのも今回できたらなとは思っています」
――駆け引きといえば、前回のマクファーレン戦の判定は非常に厳しいジャッジだなと感じました。投げてコントロールした部分があまり評価されていないとしたら、あの試合の教訓から、今後、どんな試合をと考えましたか。
「教訓はめちゃくちゃありましたね。まずはポイント的な部分で、どこを意識しなきゃいけないのかということ。打撃の面だと、もらったりしたときに全然効いてなかったんですよ。だから、効いていないからそのまま組みに行っちゃえと思ってしまったところもあって……。
でもそれって自分の主観でしかなくて、審判から見たら、効いてると見えている。そう見えないようにする必要がありますし、たとえばグラウンドでももっとパウンドを打って、ダメージを印象付けないといけないとか。そういう部分がすごく勉強になって、一本を取りたいという気持ちと同時に、ポイントによるゲームメイクもしっかり考えてやらないといけないと思いました」
――ジャッジにもアピールできるように、誰が見ても攻勢に見えるような形が必要だと。
「たとえば押さえ込んで、サブミッションに行くにしても、しっかりと押さえ込んでパウンドを入れてから行くとか。そのパウンドも、小さいパウンドじゃなくて、大きいパウンドを打つ──最近練習でも、『ただ押さえ込んでいたらマイナスだと思え』とか言われてやってるんです」
──押さえ込むだけならマイナスとは厳しい練習ですね。その先に極めがあるだけに……。
「逃してもいいからパウンドを打ったりしろとか言われます」
――強いパウンドを打つために振りかぶるとスペースが空いて立たれてしまう。それでも練習からそれくらいの意識付けをやっているということですね。
「はい。でも、試合になるとなかなか簡単にはできないかもしれないんですけど」