キックボクシング
インタビュー

【NO KICK NO LIFE】49歳現役・大月晴明「死ぬまでやりますよ。自分は戦いが趣味であり、趣味に命を懸ける」

2023/07/06 21:07
 2023年7月9日(日)東京・豊洲PIT『NO KICK NO LIFE』にて、63kg契約3分5Rで“激闘男”勝次(藤本ジム)と対戦する“爆腕”大月晴明(NEXT LEVEL渋谷)のインタビューが主催者を通じて届いた。  大月は1999年10月デビューの大ベテラン。これまでWPKC世界ムエタイライト級王座、第3代Krushスーパー・フェザー級王座、全日本ライト級王座、ISKAムエタイ・インター コンチネンタル・スーパーライト級王座などを獲得し、戦績は43勝(30KO)14敗。“爆腕”と呼ばれる強打を武器に、14連続KO勝ちを飾ったこともある。2022年11月、『Krush』で東本央貴に延長R判定で敗れて以来の試合に臨む。49歳。 ――2022年11月26日、Krushでの東本央貴戦以来、約9カ月ぶりの試合が決まりました。 「いつもと変わらない感じで一生懸命練習やってます」 ――ここ数年は1年に1試合のペースになっていますが、どういうタイミングで試合を決めているんですか? 「仕事を優先し、試合の声を掛けてもらった時のタイミングで決めています。今年は7月終わったらもう1試合やろうかなと思っています」 ――以前はやりたい選手がいたら主催者に希望を言って試合が決まっていましたが、今もそのような流れで試合を決めているのでしょうか。 「そうですね。自分を熱くさせてくれるようなやりたい選手がいたら、『この人とこんな戦いができたら面白いんじゃないかな』と考えたりして、練習に対するモチベーションを上げています」 ――今回、試合に向けて一番強化されているところはどういったところでしょうか? 「今回、ルールがヒジありでKrushとはルールがちょっと違うので、対応できるような練習をしています。ヒジ打ちありはずっとやってなく、5R制になったことでスタミナも付けるような練習をしています」 ――2019年8月18日の丹羽圭介戦以来のヒジありルールになりますが、手応えはどうでしょう? 「怖いですね……。斬られて止められると、一番つまらない試合になるじゃないですか。俺からするとそうなんですよ(笑)。ヒジで斬って勝つという美学のある選手もいますけど、面白くないでしょ? そんな勝ち方をして嬉しいのか? っていつも思ってしまいます。でも、かわすよりも、ヒジ打ちを当てる方が自分は得意かもしれないですね。ヒジ打ちの練習はしていて、ケンカになった時にヒジ打ちは凄く有効なんです。だから、斬りに来られたら、逆に斬り返してやりますよ! ちゃんと書いておいてください(笑)。三枚におろしてやりますよって」 ――今でもケンカされてるんですか!? 「いや……全然、盛り上げようと思って言っただけです(笑)。本当はそんなの全然ないですけど、ちゃんと書いておいてください。『斬り刻んでやるっ』って大月が言ってたって(笑)」 ――書いておきます(笑)。対戦する勝次選手にはどういった印象がありますか? 「高倉健みたいな感じですよね。渋い人じゃないですか? 今度は高倉健と試合するんだなと思っていました(笑)」 ――試合の印象はないんですか?(笑) 「結構激しい試合する人だなと思います。うまく噛み合ったら激しい試合になるのかなと思います。試合は本当にやってみないと分からないです。その時の調子もあるし、気分もあるし、自分はいつも盛り上げる試合をしようと意識しているので、激しい試合になるんじゃないですかね」 ――勝次選手もやりたい相手でした? 「自分が望んだ相手ではなく、面識もないですけど、いい試合をしてるし打ち合っていて気持ちのある選手だなと」 ――熱い試合をすることでも有名です。 「そうですね。その時にならないと分からないけど、今は色んな展開を想像しながら楽しんでいます。でも、怖いですけどね。勝次選手と試合をした森井さんから話を聞いたところ、硬いパンチを持っていると。一発で意識を飛ばされちゃうと、そこで勝負は終わっちゃうので5Rフルに楽しむつもりでやろうかなと思っているので、そういう練習をしています。勝次選手と前口選手との試合は面白かったんですけど、ああいう試合を作ろうと思っても作れるわけじゃないけど、派手に打ち合えば今回も盛り上がる試合ができるのかなと思います」 ――年齢を重ねて今も伸びている部分はどういうところがありますか? 「やはり精神面じゃないですか。この歳でも呼んでもらえやらせてもらえて感謝の気持ちもあるし、練習できつくて止めようと思っても、もうちょっとやってもオーバーワークにならないしやろうかなと続けたり、精神面での粘り強さは伸びてるかもしれないです。家で漫画を読むぐらいならあと、30分くらいストレッチ、補強の練習やシャドーで確認をするようになってますね。あと、後輩や仲間に気づいたものがあったらお互いに言い合って共有できることが増えましたね。 ――技術やテクニック面に関してはどうですか? 「技術やテクニックはどんどん更新されていきます。自分の引き出しはある方ですけど、基本的に昔みたいな瞬発力が落ちてきた分、どういう風に相手に当てるかを考え、それを記録に残して考えるようにしてますね。仲間や後輩には『お前よりも運動能力がある強いやつは腐るほどいるよ。だから考えないと差を埋められない。そうすることで強いやつには試合で勝てることができる』と言いながらも、自分に言い聞かせています」 ――10年前の自分よりも今の自分の方が強いという自信はありますか? 「10年前よりも落ちているものもありますし、10年前にはなかったスキルが今はあります。プロとしてチケットを売ってお金をもらっているから、お客様を盛り上げる意味でも盛り上がっていないと思ったら、派手に打ち合いに行って倒れる覚悟は昔よりあるかもしれないですね」 ――今年で50歳ということですが、あと何年やりますか? 「死ぬまでやりますよ(笑)。自分は戦いが趣味であり、本気でやっている人にとってはそんな理由でやるなよと思われるかもしれませんが、趣味に命を懸け、どうせ10何年後には寿命で死んでしまうので、その時までにやれるだけやり続けようかなと思っています。ジムの会員さんでも来なくなる人はいますけど、好きだったら週に1回でもやれると思うし、試合をやるためだけにキックボクシングをやっているわけではないんです。健康のためにやってもいいし、年輩の方でも楽しんでやられていて、それでいいんじゃないかなと思います。人それぞれなので分からないですけど、だから自分はずっと辞めないです。練習を続けるし、試合のために練習しているわけじゃないです」 ――『NO KICK NO LIFE』は引退する選手のラストステージとしても話題になっている大会でもありますが、大月選手はそこは関係ないですね。 「1つのけじめをつけるのに、引退というのはいいのかは分からないですけど、一生やればいいじゃんって思うんですよね。別に試合をやらなくなっても、ジムで教えたり、マスボクシングとかスパーリングを怪我しない程度にやればいいんじゃないかなと思います。次にやりたいことがあるから辞めるというのであれば、それはそれでいいと思うんですけど、40、50になっても運動したほうが健康にいいじゃないですか。怪我しない程度に防具を付けて、ちゃんとやると、この競技は凄くいい運動になると思うんですよ」 ――最後に会場に来てくれたメッセージをお願いします。 「試合に向けて若いやつとハアハア言いながら殴り合いしましたけど、試合の時は自分の全てを出し切って戦うので、温かい目で応援してください」
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