2023年7月17日(月・祝)東京・両国国技館『K-1 WORLD GP』にて、スーパーファイトの-69.5kg契約3分3R延長1Rで初来日のアマンシオ・パラスキフ(ルーマニア/Amansio Fight Club)と対戦する、K-1 WORLD GPウェルター級王者・野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が6日(木)神奈川の所属ジムで公開練習を行った。
1分間のミット打ちを行った野杁はほぼ蹴りのみのミット打ちを行い、ミドルキック、三日月蹴り、ローキックで快音を響かせた。
前回は2023年3月にジャバル・アスケロフを1Rわずか2分でKOして復活。「1Rでしっかり倒せましたし、力の差を見せつけるプラス練習したことが出せて倒せたのでよかったかな」と振り返る。
その後の練習に関しては「野杁と言ったら左ボディ、右ストレートだけだと思われるのが嫌だったので、どの技でも倒せるように磨きをかけてきました。誰も使ったことがない技を編み出したり、自分のレベルアップに重点を置いてやってきました」と、全ての技に強化に加えて新技を編み出したという。
その技は「ひらめきです。考えることもなく『これなら痛そうだな』とか。ちょっとした応用なんですが、ミットだったり、マスだったりでパッと思いついた時に出したらよかったなって感じです」と試合で人間を相手に使うのを楽しみにしているとする。
倒したことがない技はあるのかと聞かれると「ミドルキックくらいですかね(笑)。ハイキック、ロー、ヒザ、前蹴り、パンチ…一通りダウンはとっていると思います。今回ミドルで倒そうとは思ってないけれど、ミドルくらいですかね」と全く左ボディと右ストレートだけの選手ではないとした。
なぜ全ての技で倒せるようになりたいのかと聞かれると「どの技でも倒せるのは一番の武器。一つの技しか警戒するものがないと対策されるので、どのパターンでもどの技でも倒せるのが理想。警戒もされるので目指していますね」と、対策のしようがないようになっていきたいとする。
対戦するパラスキフに関しては「パンチャータイプという感じ。タフな選手ではある。噛み合う・噛み合わないよりも得意なタイプではあるので攻略しやすい。イメージは何通りも出来ています。倒すパターンは何パターンもあるので」と、自身の笑み。
警戒する部分は「パンチは強いと思う。71kgとかでも試合をしていると思うので一発の重さは警戒していますね」とするが、「ナメているわけでもないし、ここは前回と一緒でクリアしないといけない相手だと思っていますし、そのレベルの選手だと思っているので難なくクリアしたい」と圧勝しなければいけない相手だという認識だ。
69.5kg契約は過去一番重い体重となるが「調子は過去最高だと思いますね。67.5kgでもベルトを持っているので防衛戦が組まれればやりますが、正直きついので。身体作りもしていますし、身体もデカくなっているので過去最高に調子はいいです」とした。
70kg(スーパー・ウェルター級)と言えば、同じ大会で王者・和島大海がジョーダン・ピケオーと防衛戦を行う。予想を聞かれた野杁は「個人的に応援しているのはピケオー。1回負けていますし、その時は67.5kgで負けたので勝って欲しい気持ちもあるけれど、頑張って欲しい気持ち無しにすると判定で和島くんが勝つと思いますね。ピケオーがアビラルとやった試合を見ましたが、あの仕上がりだと和島くんが競って勝つのかなって思うので。ピケオーに勝って欲しいけれど和島くんが判定で。KOはないかなと思います」と、ピケオーに勝って欲しいが和島の勝利を予想した。
今大会にはK-1王者が6人そろい踏みとなる。その中でどんなインパクトを残したいかと聞かれると「K-1王者=KOは約束事だと思っているので。THE MATCHで野杁幻想が崩れて前回それを払拭出来たと思うので、それ以上の衝撃を与えることだと思っています。会場が凍り付くくらいのKOを見せたいですね」と、KOするのは当たり前でインパクトのあるKOシーンを演出したいとする。
70kg挑戦への試金石となる試合だが、何か試したいことがあるかと聞かれると「特にないと思いますね。前回69kgだし、0.5kgしか変わらないので、ただ、今まで出していない技を思いついたので、それがどれだけ痛いのか、人間相手に打とうかなと思っています」と、新技を試すことしかないという。
現段階で70kgでも通用する自信は「全然あります。70kgでやってないので70kgの選手にそんなに甘くないと思われるかもしれませんが、僕自身は70kgでやっても通用すると思うので」と、すでにあるとした。
ならばなぜ完全にスーパー・ウェルター級にシフトしないのか。そう聞かれると野杁は「ウェルター級のベルトを持っているので。ウェルター級のベルトを返上してあげても、僕の次に王者になれる器の選手がいないので。そうやすやすとK-1王者になられても困るので、欲しいならば僕から獲らないと」とウェルター級の席を譲るつもりがないからだとする。
「K-1に出ている選手はどの選手も顔になれると思いますが、王者になる器ではない。僕がウェルタ―級を返上して、誰かが王者になってK-1の顏になれるような選手が見当たらないので、そこにウェルターだけ穴が空いていると思われるのは嫌なので」と、ウェルター級を任せられる選手がいなければ返上する気もないとK-1王座への愛とも言える発言。
「70kgの方が海外選手も強豪を呼べますし、67.5kgは微妙な階級なので、70kgに近い方が海外の強豪を呼んでもらえると思うので戦っています。僕の相手が出来る選手がいれば王者としてやらないといけない義務もある、という感じですね」と、海外強豪と戦うために70kgでも戦うが、挑戦者がいるならばいつでもウェルター級に戻して戦うと話した。
また、海外での練習や出稽古をしているイメージがないが、それはなぜかと聞かれると「昔はタイやオランダでやってましたが、次で60戦目になるんですけれど新たに練習環境を一新する気持ちはなくて。海外でやってきた練習の経験も忘れてないし、試合でセコンドに就いてもらうのはKRESTのトレーナー3人なので信頼しているし、ここにいれば強くなると信じているので海外には行きません」と行く必要がないと答える。
練習のモットーには「昨日の自分より1ミリでも強くなる。それは昔から変わらず思っていることです。数ミリでもいいので練習が終わって強くなったと実感できるようにしたい」ということをあげた。
同じ大会に出場する後輩の与座優貴についても聞かれると、「貪欲ですね。真面目だし、気になることがあると聞いてくるので、100で来たら100以上で返さないといけない。僕の言うことが100%正解ではないですが、100以上の答えを出そうと思っています。それを優貴は活かしてくれる選手」だとし、ここ3試合のKOが出来ていないことについては「それは僕も通った道なので。僕もウェルターに上げてすぐの時には倒せず終わって歯がゆい試合が続いたので、いずれ通る道だと思うので早い段階で通ったということですね。悔しい思いをしているでしょうが、僕は良かったと思います。とんとん拍子でKOが続いて、若い選手と歯がゆい試合をすると自信がなくなるので。優貴はこれからの選手だと思うので、これからもっと強くなるために今が一番大事な時期だと思っています。優貴はスターになれる選手だと思います。まだノビシロがある」と、いい経験だとした。
そして最後には「69.5kgは初めてですが、僕らしくあっという間に終わるようにKOすることを約束します」とファンにメッセージを送った。