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【PANCRASE】8秒TKO、ローキックで脛腓骨骨折の高木健太が手術へ「ニコラス・ペタス選手と一緒でした」

2023/06/05 15:06
【PANCRASE】8秒TKO、ローキックで脛腓骨骨折の高木健太が手術へ「ニコラス・ペタス選手と一緒でした」

(C)ゴング格闘技

 2023年6月4日(日)『PANCRASE 334/NEOBLOOD! 4』(ニューピアホール)のミドル級戦で、自身のローキックで右足を骨折した高木健太(ファイティスジムMSC)が手術を行うことが本誌の取材で分かった。

▼第5試合ミドル級 5分3R
〇佐藤龍汰朗(坂口道場一族)83.5kg #1位/2023年NBT同級優勝・4勝1敗
[1R 0分08秒 TKO] ※右足の骨折
×高木健太(ファイティスジムMSC)84.35kg 16勝18敗

 坂口道場一族の佐藤龍汰朗は、2023年ネオブラッドトーナメント・ミドル級優勝の21歳。

 2021年9月にプロMMAデビューし、廣野雄大にリアネイキドチョークで一本勝ち後、押忍マン洸太には1R TKO負け。その後、岩城啓祐に判定勝ちし、2023年3月の前戦では、伊藤丈皓に1R リアネイキドチョークで一本勝ちしている。

 対する高木は、2004年レスリング国体フリースタイル66kg級準優勝、2006年全日本サンボ選手権エスポワール74kg級優勝などの実績を持ち、アマチュアMMAを経て、2008年12月にプロMMAデビュー。同年10月にJ-NETWORKでキックボクシングデビューも飾っている。

 近年は2019年4月に丸山数馬に1R KO勝ちも、2019年6月に手塚裕之、10月にアレキサンダー・ラカス、2020年9月に菊入正行、2021年9月に木下憂朔に、いずれも強豪相手ながら敗れて4連敗中。今回、1年9カ月ぶりにPANCRASEマット帰還となる。

 高木がベテランの巧さを見せるか。それとも佐藤が現1位の勢いを見せつけるか。

 前日計量で佐藤は、「言いたいことは勝って言うのでマイクをください」とアピール。高木は「1年半ぶりくらいなんですけど、面白いやついないかなと思ったら、結局なかったんで久しぶりの試合になりました。明日、1Rで終わらせて電動自転車を買います」とのコメントを残していた。

 試合は、衝撃決着となった。

 1R、サウスポー構えの佐藤に、オーソの高木は右のインサイドローキック。

 佐藤が右前足を上げて、その蹴りをカットした際に「バチンッ!」と大きな音が鳴り響き、佐藤のヒザに高木の脛が直撃。高木は右足を戻すも着地時に、立てず。あらぬ方向に右足ヒザ下が折れ曲がり、足を抱えて悶絶した。

 すぐにレフェリーが試合をストップ。佐藤の8秒、TKO勝ちがコールされた。

 会場でのリプレイでは「アーッ」と悲鳴が上がり、放送席の実況も「ちょうど硬いところに入っちゃったんですね。ちょっと私も……いろんな光景を見ていますが、ちょっと見られません」とリプレイを直視できず。「とにかく早い回復を祈りたいと思います」とコメント。

 担架で運ばれる高木の姿に「危険と隣り合わせにあるということがよく分かるスポーツですけど……」と絶句した。

 解説の大沢ケンジは、「僕も以前、脛骨という太い骨を折りましたが、たぶん脛骨は行ってますね……。人生で一番、痛い痛みでしたね」と自身の経験からもそれが激痛を伴う骨折だとした。

 試合後、高木はSNSに「高木足パカーンしましたけど、生きてます。牽制のローのつもりが自分に返ってきました笑」と気丈なコメント。

 本誌の取材に「相手はサウスポーだったので、ローを牽制したつもりでしたが、振りがよすぎてフルスイングのローになってしまいました。ニコラス・ペタス選手と一緒ですね」と、2002年6月のK-1でサウスポー構えのセルゲイ・グールに右ローを蹴って脛を骨折した“青い目のサムライ”ペタスの状況と同じだったと語った。

 ペタスの蹴りの打突音も今回と同じく「バチン」という破裂音で、ペタスは足を戻した瞬間に倒れて「折れた、折れた」とすぐに異常を訴えている。

 このとき対戦相手のグールはサウスポー構えからペタスのローに左足を前にオーソにスイッチしたため、右足にインローを蹴ろうとしたペタスの目測より早い段階で相手のヒザ付近に脛が直撃。骨折に至っている。グールにとっては、相手のローに「外受け」になった形だ。

 MMAでは、2013年12月の「UFC 168」でアンデウソン・シウバがクリス・ワイドマンに蹴ったインローが今回の「高木vs.佐藤」と同じケースといえる。

 このときはサウスポー構えのアンデウソンがオーソのワイドマンに左インローをキック。ワイドマンがその前足をカットで上げたため、アンデウソンの脛がヒザに当たり、脛骨と腓骨の両方を骨折している。

 奇しくもその7年半後、ワイドマンはユライア・ホールに右アウトサイドカーフキックを狙い、ホールがヒザを外側に向けて外受け。今度はワイドマンが脛を骨折する事態に陥っている。

 ふくらはぎなど急所に当たると1発で相手を動けなくすることも可能なローキックだが、その防御によっては攻撃側もダメージを負うこともあり、さまざまな攻防にそのリスクやデメリットとメリットがあるのが格闘技だ。蹴り一つにしても、相手がどう反応するかによって、その次の攻撃に繋がる。片足を上げてチェックする場合、足を上げずに角度を変える場合、それぞれでキックボクシングであればパンチに、MMAであればテイクダウンに入る伏線になる。

 高木は「脛腓骨骨折でした。水曜日(7日)に手術になりそうです」と語っており、長期欠場を余儀なくされ、今後についても「まず日常生活に戻ってからかなと思います」と、手術後のリハビリ、まずは日常生活に支障をきたさなくなってから、復帰について考えるとした。

 勝者の佐藤はマット上で「計量のときに言ったのでマイクもらいました。ある意味ワンパンKOでしたが、高木選手、1階級上で試合を受けてくれてありがとうございました。(ミドル級で)僕の上にはチャンピオンしかいないんで、僕も横浜なんで、内藤(由良)さん12月横浜大会で、海外に行く前にやってくれないですかね」とミドル級王者の内藤に対戦をアピールしている。

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