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インタビュー

【超RIZIN】AJと対戦するパトリッキー・ピットブル「日本はどこの国ともまるで違う」「4年前を超える試合をしたい」「僕と弟は真逆なんだ」=7月30日(日)さいたま

2023/05/30 16:05
 2023年7月30日(日)さいたまスーパーアリーナにて『超RIZIN 2 powered by U-NEXT』が二部構成で開催される。  第一部のBellatorパートはケージで行われ、「Bellatorライト級ワールドGP1回戦」として、パトリッキー・ピットブル・フレイレ(ブラジル)と、AJ・マッキー(米国)が対戦することが発表された。  パトリッキーは、2019年のRIZINライト級トーナメント準優勝者。実弟パトリシオが返上したライト級のベルトを、2021年11月の「王座決定戦」でピーター・クウィリーを2R TKOに下して腰に巻き、兄弟王者となった。しかし、2022年11月の前戦でウスマン・ヌルマゴメドフに判定負けでベルトを手放しており、GPでの王座奪還を狙う。  対する元フェザー級王者のAJは、2022年4月のフェザー級王座戦でパトリシオとの再戦で接戦も判定負け。2022年10月のスパイク・カーライル戦でライト級に転向し、判定勝ち。大晦日のRIZINとの対抗戦でもホベルト・サトシ・ソウザに判定勝ちし、2連勝中だ。  このライト級GP1回戦屈指のビッグマッチのみ、開催日時が発表されないなか、急転直下、7.30『超RIZIN.2』のなかでの実施が決定。今回のパトリッキーのインタビューは、日本でのGP開催が決まる前に行われた。  当初は、6月に米国シカゴでAJとGP1回戦を戦うプランもあったなか、パトリッキーはシカゴ開催について、「どうなるだろうね。あまり街自体は好きじゃなくて、何より寒い気候も好きじゃないし、街にドラッグがけっこうはびこっていたりするので好きじゃないんだ」と吐露。  昨年末の大晦日に弟パトリシオのセコンドとして再来日を果たしたことで刺激を受け、「とにかく日本でもう1回戦いたい、その思いが第一にある。可能ならRIZINルールでもまた試合をしてみたいとも思っているんだ」と、日本での試合を熱望していた。  パトリッキーにとって今回の日本での“真夏の格闘技の祭典”でのAJ戦は願いが叶った形だ。パトリッキーはインタビューで、弟が2度戦ったAJとの試合の勝算、さらに、大晦日のパトリシオのセコンドで感じたこと、盟友・萩原京平との練習、GPの行方などを大いに語ってくれた。 いまでも日本でのトフィック戦が一番好きな試合なんだ ──これまでパトリッキー選手は、GP出場選手として、弟のパトリシオ選手のセコンドとしても日本に来られています。日本マットにどのような印象を持たれましたか? 「とにかくファンが最高だ。いつでも本当に最高で日本のファンが大好きだ。どこの国ともまるで違う。格闘技を愛していて、ファイターにリスペクトがある。本当に最高で大好きなんだ」 ──2019年のRIZINライト級世界トーナメントでは決勝に進出しました。あの試合はパトリッキー選手にどんなどんな影響をもたらしましたか。 「ああ、いまでも、あの試合が僕の一番好きな試合なんだ」 ──ご自身が判定で敗れた試合でも、印象深いと。 「RIZINのライト級世界トーナメント決勝でトフィック(ムサエフ)と戦った。あの会場のエネルギー──1回戦でカワジリ(川尻達也)に勝って、準決勝と決勝がワンデートーナメントで、僕は準決勝でグスタボを下し、トフィックもジョニー・ケースを下して決勝に上がってきた。お互いにフルラウンド、死力を尽くして戦った、あの試合が忘れられないね」 ──さて、今回のBellatorライト級ワールドGPの初戦の相手は、AJ・マッキー選手となりました。どうなると考えていますか。 「彼がずっとこの試合を望んでいたし、僕も望んでいた。2年ほどお互いがこの試合を組んでくれることを願っていたので、ようやくその願いが2人とも叶う。素晴らしい試合になるだろう。自分にとっても大きなチャレンジになる」 ──身長170cm、リーチ180cmというパトリッキー選手に対し、AJ選手は身長178cm、リーチでも187cmと、上背とリーチを誇ります。アウトボクシングも可能なAJ選手との体格差をどのように考えていますか。 「そうだね、AJはウスマン(ヌルマゴメドフ)と同じ事をしてくるだろう。もちろん戦略はあるよ。“GO IN”だ。とにかく相手の中に入っていくこと」 ――そのウスマン・ヌルマゴメドフとの試合(2022年11月、ライト級王座戦でヌルマゴメドフが5R判定勝ち。パトリッキーが王座陥落)では、ヌルマゴメドフ選手が蹴りも使って距離を取り、パトリッキー選手が前に出てきたところにテイクダウンを奪いました。今回のAJ戦もいかに中に入っていくかがとても難しい試合になりそうです。 「たしかにウスマンは前回の試合で戦略がとても良かった。ただ、キックやパンチののパワーは全然なかったんだ。本当に距離をうまく取られた。その戦略に負けたのから、今回はその点でこちらも新たな戦略を用意しているよ」 [nextpage] ライト級でAJはあまりフィットしていない ──日本では、ホベルト・サトシ・ソウザ選手が、AJ・マッキー選手と戦い、接戦の内容でした。タイプは異なるものの、あの試合から得たヒントもありますか。 「もちろんだよ。AJにとって、直近の試合がサトシとの試合だし、何度も見返しているんだ。皆リングサイドで見てたけど、僕は部屋で静かに冷静に、AJがどのように戦うかを見ていたんだ。サトシは強い柔術を軸に、スタンドでも渡り合った。自分の試合にいいように活かせると思う」 ──そういえば、ストライカーであるパトリッキー選手も、最初の格闘技との出会いは柔術だったのですよね。 「そう。11歳で格闘技を始めた。それが柔術だった。ホイス・グレイシーが大好きで彼が柔術だけで色んな相手を負かしていくのを見るのが好きで、それがきっかけだった。素晴らしいファイターだったし、自分のアイドルだったよ」 ――弟のパトリシオ選手は、日本でのクレベル・コイケ戦でその柔術を防御に使い、クレベル選手の寝技をカットしています。そしてパトリシオ選手はAJと2度戦っている。その点は、パトリッキー選手に大きな情報をもたらすのではないですか。 「すでにいろいろなヒントをもらっているよ。2度戦い、AJの細かい動きを体感し、攻略したのを僕自身、見てきているからね」 ――AJ選手はライト級では、スパイク・カーライル戦とホベルト・サトシ・ソウザ戦の2試合を戦いました。この2試合を見る限り、AJ選手はライト級にフィットしていると感じましたか。 「全然、パフォーマンスが良くないと思っている。とにかく動くわりにはパワーが無くて、試合をフィニュシュできていない。(AJは)ライト級の中ではあまりフィットしていないように思えるね。サトシ戦では若干良くなっていたけれども、その前のカーライル戦はもう最低の動きだったなと思っている」 ──AJとの初戦、何が勝利のキーポイントになりそうですか。 「彼を常に危険な状況にすること。常に、どんなときもね」 ──オールラウンダーのAJ選手に対して、パトリッキー選手ご自身の強味はどこにあると考えていますか。 「僕の最大の強味は心の強さ。そして打撃だよ。もちろん彼はとても強い選手だ。弟(パトリシオ)との初戦で一本勝ちしているし、他のBellatorの強い選手も倒している。だけど、俺も“ピットブル”で、危険だ。だからいつでもフィニッシュさせるつもりだ」 [nextpage] 100パーセント、僕がこのトーナメントで優勝する ――ところで、2019年にパトリッキー選手が日本でRIZINルールで戦ったときは、RIZINルールがパトリッキー選手をよりアグレッシブにさせたと感じました。それに比べ、RIZINルールで行われたパトリシオvs.クレベル戦では、パトリシオ選手が非常に慎重だったように感じます。あの試合運びをセコンドとしてどのように見ていましたか。 「そうだね……パトリシオは自分とは全然違う性格で、ケージを出たらとても短気なんだ(笑)、ケージの中では全然違う人になってしまう。一方で、僕はケージの外だとすごく大人しいのに、中に入るとアグレッシブになっちゃうんだ。兄弟だけど、全然真逆なんだよね(※6.16『Bellator 297』でパトリシオは三階級制覇を目指し、復帰のセルジオ・ペティスのバンタム級王座に挑戦)。  ただ、パトリシオがあの試合で慎重になったのは、クレベルに強さがあったから。クレベルのクローズドガードと、前蹴りに苦しめられて、なかなか厳しい試合になったとは思っている。その意味でクレベルは世界でも通じるファイターだと思うよ」 ――RIZINフェザー級戦線がらみでは、パトリッキー選手は日本とブラジルの両方で萩原京平選手とも練習を行っていますね。 「キョーヘイはとても危険なストライカーで、パワーもすごく持っている。ただ、グラップリングをもっと強化しなくちゃいけないので、そこに取り組んでいる。フェルナンドとの柔術練習でも、しっかりとトレーニングに向き合っているし、グラップリングを強化することで、打撃も生きてくる。その成果はでてきているはずだ(※4月のカイル・アグォン戦で判定勝ち)」 ──なるほど。話をBellatorのライト級ワールドGPに戻しますが、世界中から強豪が参戦したGPで、ご自身の試合以外で注目している選手は? 「トフィックとシャブリーの試合だ。二人ともとてもタフな選手だから」 ──では、このGPで勝ち上がって、準決勝で対戦する相手は誰になると考えていますか。 「(迷わず)シャブリーだね。トフィックとシャブリーは、2人ともトップ選手で打撃技術も高く、いいレスラーでもある。だけど、シャブリーの試合をたくさん見返してみると、とても冷静でレスリング力も高いし、対戦相手が誰であってもいい戦略を練ってくる。一方、トフィックの試合を見るとどの試合も同じように見えるから、トフィックは簡単にはいかないだろうと思っているんだ(※シャブリーが3R TKO勝ち)」 ――なるほど。もう一つの山についてもお伺いします。誰が決勝に上がってくると予想しますか。 「ウスマンだ。とてもいいレスラーだし、打撃も上手い。戦略もすごく良くて、チェスのようにきっちりと戦略を練ってくる。準決勝の相手(ブレント・プリムス)も攻略してくると思うよ」 ――そのうえでパトリッキー選手がGPを優勝する自信はどのくらいありますか? 「100パーセント。自分で自分を信じなかったら誰が信じる? 100パーセント、僕がこのトーナメントで優勝する」 ――ところで、パトリシオ選手に続いて、再びパトリッキー選手も日本で試合をしたい、と発言されていました。それは、3年ぶりにさいたまスーパーアリーナを体感したことでそう思ったのでしょうか。 「その通りだ。とにかく日本でもう1回戦いたい、その思いが第一にある。可能ならRIZINルールでもまた試合をしてみたいとも思っているんだ」 ──では、最後に日本のファンにメッセージを。 「日本のファンのみんな、大好きだよ。日本はとても遠いけど、それでも行くのが大好きなんだ。食事も美味しいし、滞在している間、完璧な時間を過ごせる。ファンも常に最高でインスタグラムやツイッターでもいつも応援メッセージをくれるよね。それにお土産もいただいたことに感謝しています。また会えるのを楽しみにしているよ!」  2023年5月27日の会見で、パトリッキーはAJとともに緊急来日。GP1回戦をさいたまで戦うことについて、「日本に戻って来れて良かった。僕にとっては4年ぶりの試合になり、トフィック・ムサエフとの試合以来となる。ずっと日本で戦えることを楽しみにしていたし、今回、非常に危険な相手だけど、自分が4年前にしたパフォーマンスを超えるような、お客さんが熱狂するような面白い試合をしたい」と、語っている。  果たして、パトリッキーは愛する日本で、兄弟にとっての宿敵であるAJを下し、GP準決勝に駒を進めることができるか。
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