2023年5月6日(土)東京・有明アリーナ『RIZIN.42』のバンタム級で、朝倉海(トライフォース赤坂)に3R2分25秒、KOで敗れた元谷友貴(フリー)が再起を誓った。
勝てばフアン・アーチュレッタが待つバンタム級王者決定戦に進むメインイベント。
試合は、四つに組む元谷の最初のテイクダウントライをスタンド戦に戻した朝倉が間合いを支配。2Rに左ボディ、さらに右ストレートで元谷にマットに手を着かせると、最終3R、朝倉が首相撲からのヒザを効かせ、コーナーに元谷を詰めたところで元谷の右に合わせて左ヒザ。元谷をKOに下した。
フィニッシュのヒザはムエタイでいう“テンカオ”。そのコーナーに詰める前に、朝倉は見事な組み手争いから、元谷の脇を開けさせて、左ヒザをレバーに効かせている。
この瞬間、身体をくの字にさせてコーナーから出た元谷に、朝倉は右人差し指を元谷に向けて“効いたでしょ”と笑顔を見せながら、左のコーナーに追い詰めている。
そこから先も事前にミット打ちした通りの動き。米国ラスベガスのシンジケートMMAで出会ったエリー・ケーリッシュコーチと直前の控え室で打ち込んでいた、左右ボディから相手の右の打ち返しを左に頭を避けての左ヒザ! 朝倉の体幹の強さも感じさせた一撃だった。
腹を押さえてマットに跪いた元谷。試合後は言葉少なに敗因を語った。
冒頭で「すごく悔しいです」と視線を落としたが、朝倉のテイクダウンディフェンスを「すごく粘り強かった」と言い、「組みでいいしのぎ方というか、なかなかいいポジション取らせてもらえなかった」と、尻は着くも押さえ込ませず立ち上がったリカバリーを称えた。
最後のムエタイの組み手をMMAの組みと混ぜた、差し合いの中の組み手も「相手が上手かった」とだけ語った元谷は、5連勝のなかでの大一番での敗戦に、「砕けたと言うより、いいところもあると思うので……でもまあ、そこを出せなかったので……少し休んで考えます」と、今後について言及を避けていた。
春日井“寒天”たけしをパートナーに、名古屋では日沖発や大﨑一貴のもとでも出稽古。トータルファイターとしてスタンドと組み・寝技を融合させて、金太郎、アラン“ヒロ”ヤマニハ、太田忍、倉本一真、ホジェリオ・ボントリンとタイプの異なる相手を下してきた元谷だが、同時に朝倉も米国修行を経て、王座奪還に向けて進化を遂げていた。
そして、試合から1週間を経て、元谷は「まだまだ諦めない。這い上がってやる」と再び、勝利を積み上げて行く決意を示している。“見えないトーナメント”のファイナル前に敗れた元谷は、再起までそう時間は必要としなさそうだ。