キックボクシング
レポート

【NJKF】国崇が3Rにアゴ骨折と2度のダウンも4Rにヒジで大逆転TKO勝ち「現役生活も22~23年やってますけど、頑張れば何とかなるんです」

2023/05/10 20:05
【NJKF】国崇が3Rにアゴ骨折と2度のダウンも4Rにヒジで大逆転TKO勝ち「現役生活も22~23年やってますけど、頑張れば何とかなるんです」

2Rに2度ダウンを奪われた国崇だが、ヒジでダウンを奪い返した(C)拳之会

NJKF拳之会「NJKF 2023 west 2nd」
2023年4月30日(日)岡山コンベンションセンター・コンベンションホール

 拳之会主催興行としては20回目を迎える記念すべき大会で、同所では昨年10月以来半年ぶりの開催となった。プロ全9試合中、6試合がKO決着となり盛況のうちに終了。現在は年2回の開催となっている拳之会主催興行、次回は11月19日、倉敷市真備町のマービーふれあいセンターでの開催が予定されている。

▼WメインイベントII ISKA JAPAN杯 58kg契約 3分5R ※ヒジあり
〇国崇(NJKF拳之会/WKAムエタイ世界フェザー級王者)
TKO 4R 0分46秒 ※ヒジ打ちによるレフェリーストップ
×ジェイソン・トラン(AMMA/ISKA&WBCオーストラリア王者)


 今大会の目玉は「ISKA JAPAN杯」と銘打たれた国際戦。106戦目を迎え、なおも拳之会のエースに君臨する国崇が、ISKAとWBCムエタイのオーストラリア王座を保持するジェイソン・トランを迎撃する一戦だ。

 国崇は約1年前の昨年5月、光太朗ZLSに敗れて地元・岡山での無敗記録が14戦目でストップ。10月の倉敷・真備町大会でタイ人を相手に再起し、今年2月には後楽園ホールでジョニー・オリベイラと対戦。試合直前の練習で鼻を骨折し力を発揮できず判定負けを喫し、今回は地元での再起戦となった。今大会の冒頭には国崇をグランドチャンピオンに認定しているISKAから、功労賞の表彰も受けた。

 オーストラリア2冠王者のジェイソンは17戦14勝(4KO)3敗という25歳。スイッチしながら左右フックを勢いよく振り回すアグレッシブなスタイルが身上だ。


 1R、ジェイソンのスタイルがさっそく発揮される。まずはジャブで様子を見る国崇に、早い段階から左右フックを振り回し、ヒジも狙ってくる。国崇もヒジを出して応戦。右ストレートをヒットする場面も。だが終盤、ジェイソンは国崇のローを取ると左を当て、そこからラッシュへ。この試合は各ラウンドでマスト採点となるISKAルールが採用されており、このラウンドはジェイソンがポイントを先取したと思われる。

 この攻勢を受けて、2Rにはジェイソンが一気に勝負に出る。前半に左フックでダウンを奪い、さらに前進。劣勢に立った国崇は左ボディを返す場面もあったが、もつれて背中を見せた隙にパンチをもらい、さらにダウンを重ねる。ISKAルールではフリーノックダウンとはいえ万事休すかと思われたが、ここで国崇がカウンターのヒジをヒットし、ダウンを取り返す。この一撃でジェイソンの動きが鈍り、国崇は左ボディなどで追撃。


 3Rに入る際には国崇もダメージは否めない様子だったが、動きの落ちた相手に攻撃の糸口も見え、左フックでダウンを奪う。さらにローも効いている様子で、終盤には右ハイも見舞う。だがジェイソンも試合を諦めてはおらず、パンチやヒジで反撃を試み、油断はできないという空気が場内にも流れる。

 ポイントでは逆転した国崇だが、3Rに大きなダメージを負ったらしく、4Rに向かう際にはセコンドから「踏ん張れ!」との声が飛ぶ。その中、序盤に国崇がヒジをヒットするとジェイソンは左目上をカットして出血。ドクターチェックとなるが、拳之会興行にずっと関わっている医療スタッフが「今まで見た中で一番深かった」と言うほどの傷で、レフェリーはすぐに試合をストップ。国崇の大逆転TKO勝ちで試合は幕を閉じた。


 国崇は3R、ジェイソンのパンチでアゴが折れた模様で、試合後もつらそうな表情。だが勝利者インタビューで「ひと言だけ」とマイクを向けられ「アゴ割れててうまいことしゃべれないんですけど、ドランカーとかじゃないんで心配しないでください」と話すと、場内の反応に「ここ、ウケるとこですよ」とジョークまで。さらに「5月で43歳になるんですけど、ケガ続きです。現役生活も22~23年やってますけど、でも、頑張れば何とかなるんですよ。コロナとか年だとかって言う人もおるかもしれんですけど、頑張れば何とかなるんですわ」と続け、場内からは大きな拍手が起きた。


 試合後の控室でもいつになくつらそうな様子を見せていた国崇は、救急車で病院に直行。下アゴの骨が真っ二つに折れていたようで、しばらくは治療に時間がかかる見込みだ。なお、ジェイソンの傷も10針以上縫うものだったという。


 しかし106戦目で25歳の海外新鋭を迎え撃ち、劣勢に立たされながらも勝機を逃さずに攻め込み逆転勝利を果たした国崇は、改めて拳之会のエースであり、日本キック界でも希有な存在であることを実証してみせた。この試合は国崇のキャリアの中でもベストバウトと呼んでいいほどの大激闘で、大きなリスクを負いながらも最終的に仕留めてみせる姿には、場内から拍手が鳴り止まなかった。

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