MMA
インタビュー

【RIZIN】山本アーセン「暗闇の中にいた。ついに小さな光を人生に見出せた。いつか恭司さんともやれる日がきたら」、伊藤「『レスリングを強化したらもっと強くなるよ』と」

2023/05/08 16:05

SNSよりと生身の愛情を受けたい人間だから『俺に伝えてくれ』

━━ツイッターの日本のトレンドで「アーセン」が1位になっていたのはご存じですか?

「いやー、試合終わらせられなくて、“サーセン!”マジ、サーセン!(笑)」

━━今2位です。

「ああっ、サーセン! 2位にしちゃってサーセン!」

━━いろんな格闘家の方が、青木(真也)選手とかも、「俺が一番愛してる」っていう風に発言されてたりしますが……。

「いや、それだったら『俺に伝えてくれ』って言っといてもらっていいですか? そんなSNSばっかりでねえ、その動画使われたり書かれても、俺はあの“こっち”(スマホを持つ仕草で)より、ちゃんと生身の愛情を受けたい人間だから、あの青木さんにもし時間あったらそれを俺に伝えて、って言っといてください」

━━今回の試合をいろいろな格闘家の方が絶賛していますが、そのことについての心境はいかがですか。

「うん、別に。とりあえず他の人の意見も何も入れずに、さっきも言ったけど、山本アーセンをこれからどんどん極わめて行きたいと思ってます。チームと一緒に」

━━勝利は1434日ぶり(※2019年6月のティム・エスクトゥルース戦以来)です。

「ワーッ! 4桁いったっすか?」

━━そう考えると、どうですか。

「良かったー! マジで良かった!! そう考えると長かったっス。本当に長かった。良かった。これからそれをどんどん短くしていきます、日にちを。良かった!びっくりした俺、今」

━━試合後のマイクにも感動したという声が多くあります。話す内容は事前に考えていたのですか。

「まあ、そうっスね。なんか、ちょっとやっぱお互いを傷つけ合うことが多いなって、正直、日本に住み始めて思ってて。たとえばグアムとか海外にいたらこう、そんなん無いんですよ。貶し合いとか。みんなこう仲良くて愛情を正直に伝えてっていうのが当たり前のカルチャーだったんですけど、日本に帰ってきたらなんかお互いをこう恨み合うようなことばっかりだったから、もうちょっと、何か、俺が言ったことで、数人でも気持ちを変えられたらいいなと思ったし、それも自分の欲しいものだったんですよ。

 勝たないとあのマイクパフォーマンスの数10秒ってもらえないじゃないですか。だからその欲しいものを奪うっていうのはちゃんと自分が伝えたいことがあるから、あの人をブッ倒して、その数10秒もらおうっていう気持ちもひとつあったんで、はい。その一語一句間違わずに言うこと決めてたわけじゃないですけど、ある程度言いたいことは“あ、これは言いたいな”っていうの決めてました」

━━試合後のマイク・パフォーマンスもモチベーションのひとつだったと。

「だって、それ勝者しか無理じゃないですか。負けた奴がマイク持てないし、持ったところで何もいいことないから、勝たないといけないなとは思っていました」

━━次戦は、お母様の山本美憂選手に合わせて大晦日を目指しますか? それとももっと早い段階でもう一戦やりたいでしょうか。

「フロウで。流れに任せます」

━━今後フライ級で戦っていくということで、フライ級のトップファイターである堀口恭司選手を意識することはありますか?

「のちのち。こんな試合内容じゃそんな言えないくらいのトップ選手だから。まあでも、聞くところによるとやっぱり伊藤選手もすごいトップファイターで、(漆間に尋ねて)トップファイターだよね? で、こう、強いよっていう人にまあ判定ですけど勝てたんで。まあこうやって地道にどんどん一段一段上に行って、で、いつか分からないけどまた戦えたらいいなと思います。また、じゃないけど、戦えたらいいなって。その時はもう俺、レベチになっていると思うので。頑張ります」

━━(海外記者からの質問)最後、とてもエモーショナルになっていましたね。あの感情的になっていた理由というのを教えていただけませんか。

「(英語で)自分は2年9カ月くらい、試合してなかったんですよね。それで、実際のところ、生きてる実感を持てずにいたんですよね。暗闇の中にいたんです。それで全く光が見えなくなっていた。それで、自分がなんで生きてるのか、分からなかった。レスリングをやっていた頃っていうのは、自分には……そうだな、競技として大会があって、世界選手権とか色々ありました。でもこの2年9カ月っていうのは本当にクソ。マジで。何も無くて。だから“なんで俺生きてるの?”みたいな。“俺、何やってんだろう?”って。

 それでこの試合がやれることになり、勝利することができて、ついに小さな光を、人生に見出せた。それで、感覚として“ああ、マジでめちゃくちゃ長い旅路だった”って。実際、始まったばかりだよ、だけどマジでクソ長い旅のようだった。だからだよ。それから(試合後に)ママの顔や、俺のチームを見たら、みんなも泣いてたんだ、だから気持ちがめちゃくちゃこみ上げてきた。やっと遂に、小さな光が差したんだ。すごく幸せに感じてる。そして、小さな光を見続けていかないと。とにかく前に進むんだ」

━━(英語)次の対戦相手は誰に?

「誰でも、RIZINが用意する相手と戦い、勝利するだけ。俺は“こいつとやりたい”とかないんだ。誰だっていい。“この人と戦うんだ、分かった、ベストを尽くして、勝ちます”、その繰り返し。それを続けていけば、最終的には恭司さんともやれる日がきたらいいんじゃないかなって」

━━試合が終わった後、山本美憂選手が涙されていましたが、何かお話はされましたか。

「すぐ泣きますからね、あの人。俺の母ちゃんすぐ泣くんでね、そんな毎回『泣きましたよ』って言われてもキリがないので。でも試合前に言ってくれて嬉しかったことは、『あんた、今回勝てば私超えられるから』と言ってもらって、『おー、やってやるよ!』みたいな感じで、そのことはすごい気合い入ったっス。でも泣いてることに関しては、すぐ泣くからね、あの人ね。だからそんな深いアレはないと思います」

━━公開練習の時に、「勝ったらみんなでパーティーしたい」と仰っていましたが、どうしますか。

「その“パーティー”は、クラブとかじゃなくて、ただラーメンとか食べたいっていうパーティーっすね」

━━今一番食べたいものは?

「今一番食べたいもの……コッテコテの家系ラーメン食いたいっスね(笑)。まじ横浜行きてえ。がっつり行きたいです、押忍」

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