ファンが一つだけ損をすることは、この試合が3Rだということ
――来日してから、早稲田大学のレスリング部で安楽龍馬選手(U23世界選手権3位)、元U23王者でMMAファイターの河名マスト選手、須﨑優衣選手らとピュアレスリングの練習をしたのは、この試合でレスリングがキーになると思ったから?
「レスリングは、MMAファイターとしてのプラットフォームで、ドミネートする試合を出来るようにする基礎。だからレスリングの練習を続けることや、素晴らしいレスラーに囲まれている状態というのは、自分の思いどおりに行っていない時やうまく作戦が機能していないときに、いつも試合を研ぎ澄ませてくれている。自分としては、100%、自分のレスリングに頼れるし、誰もそれを止められない。レスリングの進化に合わせて、自分の試合というものを進化させ続けなくてはいけないという風に思っています。だからこそ、日本で須崎優衣さんをはじめとする、早稲田大学で練習したみんなは素晴らしいレスリングができて、現時点の世界最高峰のレスラーたちです。だから彼らとレスリングをする機会を得られえるということは夢が叶ったと言えます。そしていつか自分の子供たちを連れてきて関係を築けるようにしたいなと。そうすれば、自分たちが来日するとき、子供も日本で練習しながら、次の試合に臨めることになります」
Great way to end the day training some wrestling here in Japan 🙏 @yui0630susaki thank you for having me! pic.twitter.com/3ZBO8ZRQMc
— Juan Archuleta (@jarchmma) April 27, 2023
――井上選手は素晴らしいストライカーであると同時にサブミッションファイターでもあります。アメリカではブライアン・オルテガやアルジャメイン・スターリングとも練習していましたが、vs.サブミッションファイターの対策はどのように?
「もちろんゲームプランというのは用意しているけれど、ひとたびリングに上がって、観客たちが熱狂して、拳が飛び交い、テイクダウンがあって、というなかで状況はどんどん変わっていく。だから自分として、規律をしっかり守って、自分が練習してきたこと、自分の引き出しに入っているものを、試合になったら確実に出せるようにしなくてはならない。だからこそ、この試合が楽しみだ。FIGHT OF THE NIGHTのポテンシャルのある試合だと思ってる。自分としてはこの試合が真のタイトルマッチだと思っている。自分も相手もしっかりいい作戦を練って準備してきて、僕の名前を使って上に上がろうとする若者と、この国で自分の名前を不動にしたい者との戦いというのは素晴らしい試合になるだろう」
――日本でベルトを獲得して引退したいと聞いた。MMAファイターの最後のキャリアを日本で積みたいという思いも?
「今の状況を鑑みるに、どうあれ5年から7年くらいは戦い続けられる。そうですね、自分のキャリアを日本で終わらせるというのは、選択肢としてありえますね、それはここ日本では大きなお金が動く、儲かる試合が組まれるから。日本で、自分の認知度を確固たるものにすれば、格闘技界のかなり上の方に位置させてもらえるということがあって、そうするとすごく儲かる試合をやらせてもらえる、なんてことも起きるだろう。家族のために経済面を自由にしたいっていうのがあって、そのためにもたくさんお金を稼ぎたいんだ、そういう仕事で。だから、たとえば『ボブ・サップとやれ』って言われて、それに見合うだけの報酬がもらえるのなら、やったっていいかもしれない。繰り返しになるけれど、日本が大好きで、この国の根っこにあるものを知れば知るほど、もっと深くハマっていく感じがある。そして自分では分からないことがあったりする」
――過去にアーチュレッタ選手がBelllatorで対戦した相手と比較して、井上選手はどのレベルにいる?
「今回の井上選手は、自分が最初にパッチーと試合したときに似ているような感じがしています。若くてハングリーで速いスピードで撹乱して、こちらが崩せないようにペースを押し付けようとしてきたあの感じに。そういう風に試合に取り組んでくると思う。相手は速くくる、タイトルが欲しいからね」
――井上選手は打撃のスピードや手数の多さが特徴だと思うが、そこは厄介?
「手数が多くて速いということはこの試合が面白くなるということ。自分も手数は多いから、たくさん動きのある面白い試合になる、“アクション詰め合わせ”だよ。そして唯一、ファンが損することになるのは、5ラウンドマッチじゃないということ。3ラウウンドしかなくてトータルで15分間しかないこと。25分間楽しませてあげたいが、今回はお互いにリングでとにかくやるべきことをやって、ファンに短い時間でも楽しんでもらうようにできたら良いなと思う」
――勝利した場合、すぐにタイトルが絡む試合をしたい? それとも他の試合を挟みたい?
「榊原(信行CEO)さんが会見で言っていた通り、この試合ともう1試合のカード(朝倉海vs.元谷友貴)の勝者は、7月に開催予定のタイトルファイトに次の試合で進むことになると聞いている」