ジャンルvs.ジャンルの中で彼らが気を吐いた試合を見せられるのか
それはブアカーオ、安保と軸になる選手を獲得してキックボクシング部門を再構築したいとのことなのだろうか。榊原CEOはそうではない、と断言した。
「僕らも新しいことをやってみたらいいかなと思っているんですよ、漠然と。また時が来たら言いますけれど、安保を始めK-1離脱組だけじゃなくて。THE MATCHなんか追いかけてもしょうがないからね。あんなのは何十年に1回できることなので。新しいものを自分たちで作り出していくことが必要だし、PRIDEの時もそうだけれどPRIDEの幻想を追いかけた団体は成功していないんですよ。過去を否定して新しいものをスクラップ&ビルドしていかないといけないと僕は思っていて。
その中で立ち技でもああやって発信力があって新しいチャレンジをしている人たちがいっぱいいる。そういう人たちの受け皿になれればいいし、そういう人たちとファンも巻き込んで新しいムーブメントが作り出せていくことになる、その中に城戸が言っているようなトーナメントがファンの求めているものになるのか。何かそれにワクワクドキドキするようなチャレンジを、立ち技系の選手たちと一緒に作れたらいいなと思っています」
もう一度『THE MATCH 2022』のような立ち技のドリームイベントをやりたいというのではなく、それこそ1993年に始まったK-1のように既存のキックボクシングではなく新しいものをキックボクサーたちと作っていきたいのだという。
これまで榊原CEOは「一歩踏み出す勇気が見たい」とし、立ち技選手たちのMMA挑戦を推奨していた。しかし、その考え方もRIZINのレベルアップと共に変わってきたようだ。
「芦澤選手のようにMMAをやりますというのは素晴らしい志だと思いますけれど、まあ大変なんですよ。久保(優太)にしても平本(蓮)にしても何年もかかって、今でもコンプリートな完成形のMMAの選手にはなりきれていない部分もある。そうやって考えると、芦澤がMMAファイターとしてチャレンジしていく過程をどう見せていくのかっていうのは難しいんですよ。今のバンタム級にどーんと放り込んで太刀打ち出来るわけがない。そこも含めて僕らの中でも模索はしています。だから思い切って熱のある立ち技の選手たちと新しいムーブメントを作り出す。
それは5月6日にブアカーオ、安保、城戸、あとの若い選手たちが、俺たち立ち技の選手でこんなにイキがよくてこんなに激しい試合を見せられるよと、ファンのハートをわしづかみにするようなことになれば、それがひとつの求心力になって僕らも新しいチャレンジを一緒にしようということになる。そういう意味でいうとジャンルvs.ジャンルの中でこのキックボクシング2試合で彼らが気を吐いた試合を見せられるのか。そこに注目して欲しいし、僕も注目しています」
5月6日はキックボクシング2試合が、MMAの好カードがずらりと並ぶ中で何らかの爪痕を残せるかどうかの戦いである、とした。そしてここで存在感を示してくれるはずだと榊原CEOはそこから次の展開を期待しているようだ。