大和の必殺左フックが出る前に得意の右ストレートで仕留めるとした林(C)K-1
2023年3月12日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館『K-1 WORLD GP 2023 JAPAN ~K’FESTA.6~』のメインイベントにて、K-1 WORLD GPスーパー・ライト級タイトルマッチ3分3R延長1Rで王者・大和哲也(大和ジム)に挑戦する林健太(FLY SKY GYM)が公開練習を行った。
シャドーボクシング後に、2分間のミット打ちを披露した林だが、残り数十秒のところでミット打ちをストップし、公開練習を終了させた。試合を10日前に控えたこの日、疲れはかなりのピークに達しており「基本的にフライスカイジムとボクシングジムか、フライスカイジムとフィジカルトレーニングの2部練のどちらかなんですが、今日は午前中にジムで練習して、夕方に町田でフィジカルトレーニング、夜にまたジムで練習していて、早く帰ってお風呂に入って寝たいです」と告白。林はいつもネタを仕込んだ公開練習を披露してきたが「疲れが溜まっていますし、ネタを考えるのも大変なのが一番の要因です」とネタを仕込む余裕がないほど練習に集中しているという。
昨年は3戦し、4月『K'FESTA.5』では元Krushスーパー・ライト級王者・鈴木勇人に敗れたものの、9月のK-1横浜アリーナ大会では小嶋瑠久にKO勝ちし、12月のK-1大阪大会では不可思との1年越しのリマッチに勝利し、今回のタイトルマッチにつないだ。
「最初にタイトルマッチの話を聞いた時は『おっ、来たな』と。そうそうタイトルに挑戦するチャンスは巡ってくるものではないので掴み取らなアカンですね。2022年初戦では負けましたが、自分のファイトスタイルで気づけた部分があったので、あの負けをいい意味で捉えています。負けなしで終わるのが1番いいのですが、僕が強くなるための負けだったと思っています」と鈴木戦で得たものは大きかったと話す。
「2019年3月にライト級のベルトを獲った時、他のチャンピオンと比べられることが多く『チャンピオンの中で一番林が弱い』と言われていて。技術的にも僕は上手ではないので、どうにか巧くなろうと意識し過ぎて、自分の良いところが消えてたんです。それを鈴木戦で負けて気づくことができて、今は凄くいい感覚です。ライト級のベルトを獲ってからの3年間のトレーニング+自分の今の戦い方がいい感覚で出来れば、何があっても負けることはありません」
一方の大和は一時期3連敗を喫していたが、昨年4月に山崎秀晃をKOしてスーパー・ライト級王座を獲得。9月には佐々木大蔵を下して王座防衛するなど完全復活を遂げた。林も「率直なイメージでいえば、昔めちゃくちゃ強くてちょっとピークを過ぎたんじゃないかなと思っていたのですが、秀さん(=山崎秀晃)、大蔵君(=佐々木大蔵)に勝っていて強いんやなと。二人に勝つには厳しいのかなと思っていたら勝っていたので本物やなと思いますね」と大和の充実ぶりを感じている。
大和と言えば一撃必殺の左フックが代名詞。対戦カード発表会見では林も「右手はずっとこめかみにくっつけておきます」と、自らの得意技=右ストレートを封印して、ガードに徹底させると話していた。しかし、この日は「大和選手はパンチの返しも巧いけど、合わせるのも巧い。なかなか右手は出しづらい感覚でしたが、相手が攻撃しにくいポジションを練習しているのでもう何も怖くはない」と断言。「会見ではこめかみに右手を付けてガードしておくと言ってましたが、大和選手が左フックを打つ前に右を叩きこんで仕留めます」と右ストレート解禁を予告する。
さらに「さっきも話した通り、今はいい感覚を持っています。僕のイメージでは一撃で倒すよりも、ちょっとしんどいと思わせる、自分から倒れようかなと思うぐらい痛めつける・しんどい想いをさせるイメージなので、このファイトスタイルを貫くことができたら、まず負けることはないやろと思います」と自信を見せた。
7大タイトルマッチやK-1×RISE対抗戦など豪華カードが並ぶ中、大和vs林の一戦はメインイベントに組まれた。多くの期待やプレッシャーがかかる状況だが、林自身は大和に勝つことにフォーカスしている。
「周りからは『もっと気合いを入れて頑張れ!』と言われるかもしれませんが、そんな余計なことを考えている余裕はないですね。僕は、ライト級でチャンピオンになった時も何も考えず、戦うことに集中できていました。リングに入ってからも相手のことしか見えないぐらい何も考えず、勝つことしか考えてなく、あの感覚になるように、今は余計なことを考えないようにしています。他の試合も気にならないですけど、自分だけは見ている人が興奮するような試合をすることを心掛けているので、他のチャンピオンや他の試合のことを考えられません」
大和に勝てば武尊、卜部功也、野杁正明に次ぐ2階級制覇王者となる。格闘家としても更なる飛躍につながるが「アカンです、そういうことを今考えていたら、今はとにかく勝つことだけに集中して、それ以外を考えないようにしようと自分に言い聞かせています。ライト級のチャンピオンになってからなかなかいい結果を残せていない時期もありましたが、応援し続けている人に良い姿を見せられるように準備します」と林。大和哲也に勝つこと、それにすべてをかけて代々木第一のリングに立つ。