五明「未来さんと同じスタートラインに立つ」
父が指導していた日本空手松濤連盟から全日本空手道連盟の試合でも結果を残してきた五明。MMAではプロMMA14戦の神田に対し、五明はプロMMA3戦。しかし、そこに至るまでに数々のコンペティション、そしてDEEPでもフューチャーキング・トーナメントで優勝するなど、アマチュアで7勝1敗の経験を積んでいる。
今回の「暫定王座戦」の抜擢に、「期待されているなと。その期待に応えてこれからもっと上に上がっていきたいなという気持ちになりました。暫定王座戦に選んでもらえたことを光栄に感じますし、神田選手が対戦相手と聞いて、前回タイトルマッチを経験している選手で、自分はここが勝負どころだなと。相手のことを認めた上で必ず勝つという気持ちです」と、落ち着いた口調で語る。
MMAデビュー戦で佐藤勇駿に2R判定勝ち。 デオ・レバナ、TATSUMIはいずれも1Rに仕留めているため、3Rは五明にとって未知の領域となるが、「自信はあります。いくら中堅どころと戦っても中堅層のままなので、やはりトップに行くならトップどころと戦うしかない。そう考えたときに神田選手はちょうどいいんじゃないかと感じました。自分にとってはベストタイミングで戦わせてただけます。運がいいですね」と、連勝のタイミングで掴んだことを「運」とととも「ちょうどいい」とも表現する強心臓ぶりも見せた。
計量のマイクでは、あえて「毎日、朝倉未来さんと練習してきました」と口にした。
「僕がこの試合が決まって、未来さんも(牛久絢太郎戦が)決まって、お互いスイッチが入って、タイミングよく練習を付き合っていただいたので名前を出させてもらったのと、ここで勝って、必ず同じ舞台に、未来さんと同じスタートラインに立つぞ、という思いからです」と、その想いを語る。
朝倉が今春のRIZINで対戦する牛久は、前述の通り1年2カ月前に神田と3Rを戦っている。研究肌の朝倉が牛久を通して神田の動きも確認しているのは想像に難くなく、五明に聞くと、すでにアドバイスをもらっているという。
「未来さんの分析力は凄いです。牛久選手と神田選手の試合を見た上で対策を練ってくれていたので、すごく自信がありますね」
攻撃と守備が一体化した空手の間合いのコントロールが五明のMMAに生きる。前戦では、近い間合いでラッシュしながら、相手を打ち合いに引き出してフィニッシュしている。
「遠い相手はもちろん、近場も自信がありますので全然できますし、相手を分析・研究して、相手によって変えられる力もあるので、いろいろな動きを見せられると思います」
その近場では、神田もヒジ・ヒザを得意とするが、「やっぱり相手のヒジ・ヒザはいいなと思いますが、逆にほかが……そこさえ気をつければ別に大丈夫じゃないかなと」と想定済みだという。
危険なのは、それがレスリングと首相撲を融合させたMMAの際のなかで繰り出されることだが、「組んでも大丈夫です。練習でもレスラーや腰の強い方々と組んでいるので、『全局面で圧倒する』と言った通りに戦います」と自信を見せる。
その練習パートナーとは、「トライフォース赤坂の先輩たち、未来さん、海さん、(白川)陸斗さん、パーソナルで津田(勝憲)さんの指導、出稽古や赤坂でBRAVEの方たち、ALLIANCEでは堀江(圭功)選手とも組ませていただいているので、試合前の選手も多いし、みんな“格闘技で生きてる人”なんで、容赦なく組んでくれるので、僕としてはありがたいです」と、充実した練習環境と多彩な相手とのタフな練習で、準備は出来ている、とした。
2度目の王座戦となる神田に対し、五明は4戦目での戴冠を狙う。
「1回勝負でその1回で勝つのがタイトルマッチ。いい展開の予想は圧倒して勝つ、悪い予想はドロドロで判定で勝つ。良くも悪くも両方想定していますが、どちらになっても勝つことには問題ないです」と、短期決戦でも死闘でも、勝つのは自分とした。
ともに27歳。フェザー級のベルトを巻くのは神田コウヤか、五明宏人か。