どちらがトップポジションを取るかがきわめて重要になる試合
──とはいえ、その“自分の戦い方を貫く”という意味では、ヴォルカノフスキーもまさにそうですよね。
「そうなんですよ。勝ち方を知っている者同士であり、なおかつメンタルも技もフィジカルも強い心技体揃った者同士の濃厚なマッチメイクなんですよね。そして今回、自分はヴォルカノフスキーの過去の試合を“もしマカチェフが相手だったら”という視点で見直してみたんですよ。
そこで感じたのは、組むための打撃が進化したマカチェフとは逆のタイプで、本当は組み技も強いのに、組みは打撃をしっかりと使うためにしかあえて使ってないんじゃないかと思ったんです。組み技勝負でも全然できるんだけど、そこで力を使い過ぎちゃうと打撃でしっかりKOを奪いにいく自分本来の勝ちパターンに影響を与える可能性があるから、あえて寝技はそこまで深くやらないんじゃないかな、と」
――ヴォルカノフスキーは、前王者マックス・ホロウェイとの3試合で5Rをフルに打撃を打ち続けて判定で勝ってきましたけど、その打撃のスタミナを重視するために、なるべく組みの展開を避けていたんじゃないか、と。
「でも今回の相手は、確実に組みを狙ってくるマカチェフですから、その普段は開けない引き出しを全開にしてくるんじゃないかとも思うんですよね。マカチェフはグラウンドでトップポジションを取ったとき圧倒的な力を発揮する選手ですけど、逆に寝かされて下からの動きのときに一瞬後手になるシーンも過去にはあったんです。昔のことなので、今は下からも強い可能性は十分ありますけど、いずれにしても寝技に関しては、どちらがトップポジションを取るかがきわめて重要になる試合だと思います」
――勝負のいちばんの分かれ目はマカチェフがトップを取れるかどうか。
「ヴォルカノフスキーは体幹がめちゃくちゃ強いし、テイクダウンディフェンス能力も高い。だからテイクダウンの攻防がいちばん重要視すべきポイントということで、そこでしっかり力を使ってくるかもしれない。そしてテイクダウンを防ぐことで、結果的にスタンド攻防が続く長期戦になった場合、ヴォルカノフスキーが有利になっていく可能性が高い」
――ヴォルカノフスキーは4R以降めっぽう強い。対するマカチェフは5Rマッチの経験はあるけれど、その前にフィニッシュしているので5R戦い抜いた経験はないんですよね。
「だから、そのへんは未知数ですよね。ただ最初に言ったように、マカチェフは組むための打撃で相手を倒せるようにもなっているので、ヴォルカノフスキーのこれまでのデータにないタイミングや距離感での打撃を出してくる可能性もある。だからこの試合は、完璧と思われる両者がより相手の想定を上回る攻撃を出せるかっていう、ものすごく濃い試合になる。MMAファンなら絶対に見逃せない一戦だと思いますね」(取材・文/堀江ガンツ)
◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール
『生中継! UFC‐究極格闘技‐ UFC284 in オーストラリア フェザー級王者ヴォルカノフスキー、マカチェフが持つライト級王座に挑戦!』
2023年2月12日(日)豪州パース パース・アリーナ
2月12日(日)午後0:00[WOWOWライブ]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
2月15日(水)午後1:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)