スーチョルはアップセットを起こすかも
──次鋒戦はキム・スーチョルvs.フアン・アーチュレッタです。
「スーチョルはさ、みんなが思っているよりもずっといい選手だと思うんだよ。もちろんアーチュレッタはとても良い選手だけれど、スーチョルがアップセットを起こすと思う。彼はすごいタフなんだ。おそらく彼は己の全ての頭髪を代償にして、優れたファイターとなることができたのだ! というのは冗談だけど、とにかく彼はめちゃくちゃ強いよ。
ただ、彼の抱える問題は、ちょっとフィニッシュ力に欠けること。いつもそうじゃないとは思うんだけど、RIZINの初期に出ていた時はやり返されちゃってた。それは彼の落ち度というよりは、相手が負けないようにすると、ああいう戦い方になるんだよね、取られないだろうからって。ただまあ昔の話だ。いまはスーチョルがビッグ・アップセットできる試合だと思ってる。ただアーチュレッタもめちゃくちゃタフだけどね。打撃と組みが融合していて、決してタフなだけの選手じゃない。この試合はもう、アーチュレッタが様々なフェイントを入れてプッシュして、プッシュして、プッシュして……それでも決してスーチョルは下がらないから、アーチュレッタはイライラすることになるだろう。激闘になるね」
──そして今回はリングでサッカーキックや3点ヒザもあります。
「そうだね、ただ、それは選手によっては決して大きな問題じゃないと思ってるけど」
──最後に、先鋒戦の武田光司選手と、ガジ・ラバダノフ選手の試合はいかがでしょうか。種類の異なるレスラー対決と言えます。
「ダゲスタンのガジに勝機が多いね。いや、べつに“ダゲスタン人だから”という訳じゃないんだけれど、より、ソウゴウカクトウギができるんだよ、もともと。彼らの通常のトレーニングというものが完全にMMAに向いているんだ。若い頃からコンバットサンボをやっているし、フリースタイルレスリングも入っている。それに彼の右カーフキック、左フックは注意だ。
対して武田はグレコローマンレスリングだ。つまり相手の足よりも上で組むことが多い。もちろんダブルレッグにも行くけど、カーライルにギロチンチョークで敗れているよね。グレコの人にとって、打撃とタックルをうまく組み合わせるのと、打撃と投げ技を組み合わせるのは全く違うことだし、もちろん関節技もそう。しかし、この試合では、リングが武田に生きる場面もあるだろう。よりクラッチが組みやすく、ロープであることは相手にとってケージを使って立ちにくいからね。もちろんそれは武田にとっても、そうだ。慣れたコーナーポストの使い方も重要になる。身体が大きい武田が組みで上回ることが出来れば……初戦から興味深い試合になると思うよ」
──なるほど。さて、あなた自身の今後は?
「とにかく試合がしたい。自分の選手生命は長くないので。年齢は45歳で、脳みそは12歳(笑)、身体はあちこちにガタが来ていて200歳くらいのダメージがあるので、早く残りの選手生命で試合をしたいと思う。DEEPにはスーパーヘビー級タイトルがあるのでそれを獲りたいし、RIZINにもチャレンジしたい。そして、大晦日はRIZINに行く予定だよ!」