MMA
インタビュー

【RIZIN】同じようで同じではない、フライ級で初めて堀口恭司と戦う扇久保博正「堀口選手はフライに落とすことによって、さらに打たれ弱くなるんじゃないかな」

2022/12/14 22:12
 大晦日『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)の「RIZIN vs. Bellator 全面対抗戦」で、RIZIN代表としてBellator代表の堀口恭司(アメリカントップチーム)と対戦する扇久保博正(パラエストラ松戸)が14日、パラエストラ柏で公開練習を行った。  フルザイズのリングを持つパラエストラ柏。そこで扇久保は、ストレッチや前転など準備運動から、バンテージを巻いてのシャドー、グローブつけて征矢貴らを相手にミット打ち、最後は同じフライ級の内田タケルを相手にグラップリングスパーリングで締めて、5人のセコンドの一人ひとりとフィストバンプをかわした。  扇久保は過去2度、堀口と対戦。2013年3月の修斗世界フェザー級(60kg)チャンピオンシップで2R リアネイキドチョークで一本負け。2018年7月の『RIZIN.11』で同じく60kg契約で判定負けと2連敗を喫している。  しかし、その間、VTJフライ級トーナメントで優勝し、UFC登竜門の「TUF24」フライ級トーナメントで準優勝となっている扇久保は、つまり、フライ級(125ポンド・56.7~57.1kg※RIZINでは57.0kg)では堀口恭司に負けていない。  もちろん堀口も2013年10月から参戦したUFCで、2014年からフライ級に転向。2015年にデメトリアス・ジョンソンとUFC世界フライ級タイトルマッチを戦うなど、フライ級でもっとも世界の頂点に近づいた日本人だ。  お互いにとって適正階級に戻して戦う、3度目の対戦は、これまでと同じようで同じではないシチュエーションとなる。果たして扇久保にとっての3年7カ月ぶりの“フライ級”戦、そして堀口恭司との3度目の戦いを、2021年バンタム級JAPANグランプリ覇者はどのようにとらえているか。本誌ではフライ級での戦いについて、主に聞いた。 [nextpage] 「打撃の堀口」vs.「タックルに行きまくる扇久保」という展開になるかは分からない ──現在のコンディションはいかがですか。 「現在のコンディションは、かなりいいですね。メチャメチャいいです」 ──今回の長めの公開練習をフルに披露した意図は? 「ファンの方もいつも1分、2分と短いと飽きてくるし、海外のオープンワークアウトはしっかり見せているので、ふざけるだけじゃなくて、しっかりとした公開“練習”を見せるべきなのかなと思いました」 ──2019年5月の「修斗世界フライ級チャンピオンシップ」での清水清隆戦以来のフライ級戦となります。食事など変えたことは? 「バンタム級でここ3年半くらい戦っていて、食事はそこまで……量は取っていましたが節制はしていたので、たとえばお米1合食べていたのを玄米にして、だいたい半分くらいの量にしています」 ──今回の扇久保選手と堀口選手の試合に加え、RIZINフライ級(57.0kg)でジョン・ドッドソン選手と所英男選手が対戦し、DEEPでもフライ級GPが開催されるなど、盛り上がっている現状をどう感じていますか。 「修斗でもフライ級で戦ってましたし、適正階級はフライ級だと思っていましたので、フライ級ということに誇りを持っています。ここにきてフライ級が少しずつ盛り上がってきている状況をほんとうに嬉しく思いますね。まだまだここから世界の軽量級の選手たちが“日本に来ればフライ級で世界一を決められるんだ”という“GO TO RIZIN”となってくれればいいと思います。  フライ級を盛り上げていく。世界で一番の舞台にする、というのが僕の現役生活最後の役目だと思っていいるので、ここがほんとうに盛り上げるためのスタートだなと思っています。だから、やる気に満ち溢れています」 ──フライ級としてのコンディションは以前と比べていかがですか。 「久しぶりのフライ級なので、バンタム級と比べると少し出力が落ちてるなと感じますけど、その分たくさん動いているので、スタミナ面ではかなり上がってきているのを感じています」 ──今回の公開練習で、内田タケル(修斗世界フライ級9位)選手が相手に入っているなど、これまでと違うスパーリングパートナーとの練習も多くなっていますか。 「そうですね。フライ級と戦うので、自分のフレームも少し小さくなりますし、怪我も怖いので。以前、バンタム級でやってたときは、バンタムの選手やフェザーの選手とスパーしていたんですけど、いまはちょっとスピードの速い選手と主にやっています」 ──ということは同じく年末に大一番(12月25日PANCRASEでフライ級王座挑戦)を迎える鶴屋怜選手とも練習をしている? 「そうですね。無茶苦茶強いです、鶴屋怜は。クリスマスの日に怜はタイトルマッチなので、そこでしっかりベルトを獲ってもらって、1週間後の僕の大一番に繋げてもらえれば嬉しいですね」 ──2019年以来のフライ級戦に向け、テスト的にも落としてはいない? 「テスト的にも落としていないですね。ずっとバンタム級でいました」 ──出量として、久しぶりのフライ級で力が出せるか、という手応えはいかがですか。 「スパーリングをやっていて、逆に力が上がってきています。身体が小さいという意味での“質量”は感じるんですけど、“出力”の方は、すごく上がってきているのを感じているので、やっぱりフライ級が合っているなぁというのは、すごく毎日感じています」 ──なるほど。お互いがバンタム級からフライ級に戻すなかで、結果的には試合当日にはバンタム級時代と同じくらいに戻るかもしれませんが、一回、前日計量でフライ級リミットに落とすことは、両者にダメージがあるということになるでしょうか。 「そうですね。水抜きを何kgするかにもよると思うんですけど、普段の節制も、かなり過酷な節制をしているので、内臓とかのダメージは多少はあると思いますね。さらに、堀口選手はちょっと打たれ弱くなっているところが最近あるので、フライに落とすことによって、さらに打たれ弱くなるんじゃないかなと僕は思っています」 ──前回の試合では、扇久保選手がフラッシュダウンも奪い、バックテイク。あるいはクラッチを組んでテイクダウンもしました。ただ、最後のターンが堀口選手になる場面が多かった。その点で今回、取り組んできたこともありますか。 「そうですね。作戦になるのであまり言えないですけど(笑)、とにかく言えるのは、前回とはまた違った展開になるんじゃないかなと思っています。“打撃の堀口vs.タックル行きまくる扇久保”という展開になるかどうかはちょっと分からないですね」 ──その展開だけではないと。 「はい、すべてを駆使して戦おうと思います」 ──3度目の堀口恭司選手と対戦するテーマは? 「僕にとって堀口選手は“勝たなければいけない相手”というか“どうしても勝ちたい相手”。彼と初めて戦ったのは9年前(2013年3月)ですかね。  この9年間で2回負けてるんですけど、ほんとうに彼にやられた悔しさを糧に頑張ってきたので、自分の人生でもいろいろあって……たとえば子供が生まれて心から嬉しいと思えた瞬間でも、我に返ると堀口選手の顔が浮かんだり、それくらい堀口選手はどうしても勝ちたい相手なので、この9年間の思いを全部ぶつけて、一本かKOで必ず勝ちます」 ──2018年7月の『RIZIN.11』でバンタム級で2度目の対戦をしたときと、今ではどの点が一番違うでしょうか。 「過去2回やっていて彼の間合いを知っているので。他のどの選手よりも凄く知っていて、どの距離で来るのか、どの位のパンチ力なのか、そういうのは分かっている。だから、今までの2回の試合とは全く別の展開になると思います」 ──「一本かKOで必ず勝ちます」というフィニッシュのイメージは? 「2回戦って(自分が)合計200発以上殴られていると思うので(苦笑)。短期で僕のラッキーパンチが当たってKOしちゃったんじゃ全然気が済まないので、フル(ラウンドで戦い)“あれ、扇久保、前と全然違う”と、(堀口の)心を折って最後にフィニッシュしたいです」 【写真】年明けはおぎちゃんビールで勝利の美酒を味わえるか。 ──日本代表として戦う思いは? 「RIZINチームで日本人は僕と武田(光司)選手なので、そこの部分は大きいですね。(日本代表として)世界の舞台を見るという点でも。堀口選手も日本人ですが、RIZINを背負って、日本を代表して戦う気持ちはすごく大きいです。“日本頑張れ”とめちゃくちゃ応援してほしいです」
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