2022年12月9日(日本時間10日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて、『Bellator 289: Stots vs. Sabatello』が開催される。
日本ではU-NEXTで生配信される同大会で、優勝賞金100万ドル(約1億3700万円)の「Bellatorバンタム級ワールドGP」準決勝2試合が行われる。
メインカードでは、現バンタム級暫定王者のラウフェオン・ストッツ(米国)とダニー・サバテーロ(米国)がGP準決勝および同級暫定王座戦(5分5R)を争うほか、もうひとつの準決勝でマゴメド・マゴメドフ(ロシア)とパッチー・ミックス(米国)が決勝進出をかけて対戦する。
【写真】ミックスは135ポンド(61.23kg)のジャストでパス。対するマゴメマゴメドフが134.4ポンド(60.96kg)のアンダーで計量をパスしている。
大晦日にRIZINとの対抗戦に臨むBellator勢を知るには必見の今大会。
前日本計量を済ませた後のモック計量では、メインで暫定ベルトを賭けて王座戦およびGP準決勝に臨むストッツは、ネックレスとブレスレットを着用して笑顔で体重計に乗り、134.4ポンド(60.96kg)の40gアンダーでパス。対するサバテーロ(米国)は、バンダナを巻いてATTのパンツで体重計に乗ると135ポンド(61.23kg)のリミット丁度でパスした。
フェイスオフでは、身長178cmのサバテーロが170cmのストッツを見下ろして、間近で互いに舌戦。身長では8cm高いサバテーロだがリーチは177cmで、184cmのストッツの方が7cm長いリーチも見えた計量となった。
ダニーは「ポジション・アーティスト」だ
計量前日の会見では、王者は挑戦者のトラッシュトークぶりとその試合スタイルを“ポジション・アーティスト”と評した。
「ダニーを理解したよ。というのも、彼は誰も嫌いなわけじゃないんだ。ただ、みんなに嫌われるのが分かっているから、まず自分から相手を嫌いになるんだ。分かる? 彼は誰かが自分のことを『嫌な奴だ』と言うことを知っているから、『いや、俺に向かってくる前にお前ら全員くたばれ』みたいな感じなんだ。
彼の試合を見ると、彼は大げさに話すし、“誰かの顔を殴る”といった話が大好きだ。『血みどろの戦いになるだろう』と言う。しかし、彼がやっていることは、“ポジション・アーティスト”であるということだ。『お前を殺してやりたい、顔をぶっ潰してやりたい』"と言っているけど、そんなことできるわけがない。だから、そんなものは何の意味もないんだ。そこに踏み込んだら自分の意思を押し通さなければならない。でもそんなことはあり得ない。
ケージの中に入れば、言いたいことは山ほどある。これまで試合前に言い合ったことがあるが、ここまではなかった。彼は“いじめっ子”のようで、彼のやり方は好きじゃないね。
過去に意見の相違があった人とは、戦うことでその相違を解決し、痛みを与えることで相手に対する感情や怒りを発散できるような気がした。だから、彼と戦えば、気持ちが楽になる。僕はその感情を楽しみにしている。このような場合、『己を律し続ける』ことをしなければならない。トラッシュトークは彼の防衛機制だ。僕はその口喧嘩を買わないし、彼のことを全く好きじゃない」
試合内容についても、ストッツはサバテーロを酷評する。
「彼はMMAのスキルレベルに関して、これまで対戦した相手の中でワースト5に入るかもしれない。
ダニーはBellatorの歴史の中で、最も一面的なファイターの一人だと思う。もちろんとても優秀な選手だ。それは、彼はレスリングが得意ということ。もうひとつ、彼が得意なのは、“レスリングだけをしたいわけではない”という見た目や幻影を作り出すことだ。彼は自分が知っていること、得意なことにたどり着くのが上手いから、勝つことが上手いんだろうね。
実際のところ、この試合に関しては、トーナメントのための幕間のようなものだと感じている。この試合が勝負になるとは思っていない。彼をボコボコにするつもりだ。僕のスキルセットとこれまでの彼の対戦相手、そして僕の対戦相手を考えると、彼が成功するとは思えないんだ。
ダニーが僕にポジションキープしようとする以外のことをするとは思えないし、僕が25分間、彼にダメージを与え続けようとすることも予想できるね。僕のキャリアの中で、最も簡単な試合準備だったよ。
彼はエキサイティングな試合をしないけど、僕は試合を盛り上げる方法を知っているし、戦い方も知っている。だから、彼が大きなダメージを受け、人々が歓声を上げ、血が飛び散るような状況に置かれても、どうすることもできない。それを止めることはできないんだ。自分を支えてくれる人を貶めるような奴はこらしめたい」と、サバテーロのMMAの実力は、幻想に支えられていると斬り捨てた。
このGPは、ストッツにとって、ナイジェリア米国人として、王者の強さが本物であることを証明する戦いでもある。ストッツは元UFC世界ウェルター級王者のカマル・ウスマンからアドバイスを受けていることも明かす。
両者は、テキサスのレスリングスクールで出会い、ナイジェリアの血を引くことで絆を深め、2015年にストッツがMMAに転向する際にも相談したという。以降、ストッツはウスマンと「1、2カ月に1回」話しているという。
「父方の家族はみんなナイジェリア人だ。僕は彼らととても仲が良い。そして、カマル・ウスマンは僕にとって兄のようなものだ。彼は僕にレスリングについて多くのことを教えてくれたし、僕のキャリアについても多くのアドバイスをくれた。ウスマンはこのスポーツのロールモデルであり、彼が僕に話すことだけでなく、僕は彼がすることを見て、そこから必要なものを得るだろう。僕の全てを代表したい」
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ストッツ戦は、人々が「何てこった、もう一度戦ったらどっちが勝ったかわからない」と思うような試合にはしたくない
対するサバテーロは、「スタッツが今これだけ注目されているのはまちがいなく俺のおかげだろ、俺は感謝されて当然」と、GPに向けてトラッシュトークで盛り上げてきた自負を語る。
一方で、試合についても大きな自信を見せる。
「ストッツに対する自分の優位性と意志を確立したい。この試合は、人々が“何てこった、もう一度戦ったらどっちが勝ったかわからない”と思うような試合にはしたくない。いや、俺はこのクソ野郎をぶっ壊したいんだ。1Rですぐに終わるような試合はしたくない。もちろん、それが実現すればハッピーだけどね。このクレイジーなスポーツでは、どんな勝利でもハッピーでなければならない。しかし、俺はドッグファイトにしたい。血みどろの戦いにしたい。彼を苦しめたい。彼を圧倒して、チャンピオンシップの後半でフィニッシュしたい。
誰であろうとフィニッシュ能力はあるけど、スキルや技術的な面で、彼が僕より優れているところはないと思う。明らかに僕のMMAグラップリングは彼よりずっと優れているけど、彼は打撃も遅い。そこを突くことができると思う。この相手にはあまり心配することはないだろう」と、組み技のみならず、ストライキングでもストッツに穴があるという。
サバテーロがストッツを評価する点もある。
「市場価値はある。というのも、彼はトラッシュトークを話すからね。Bellatorの多くのファイターたちは、トラッシュトークをしないんだ。なぜだろう? “頭をもぎ取ろう”としている相手と対戦するんだぜ。なぜ、その相手を嫌いにならないんだ? だから、俺はストッツに市場価値があると思うのは、それが良いトラッシュトークではないにしても、彼はトラッシュを話すからさ。彼はトラッシュトークが下手くそだと思うが、実際にやっている」
試合は5分5R戦。サバテーロはフルラウンドを通して勝利し、頂点を目指すようだ。
「彼は1Rで、全力で俺を倒しにくるだろう。でも、俺は頭がいいし、冷静沈着だ。ここは異国の地じゃない。彼が疲れれば、それを暴くことができるだろう。このGP優勝はバンタム級の世界最高の選手であることの証し。必ず頂点に上りつめる」。
GP準決勝で新たな王者が誕生するか、それともストッツが王座を守り、決勝に進出するか。