「どうせ俺が勝つ」と太々しい王者・大沢(左)。挑戦者の里見は王座奪取とリベンジを誓う
2023年1月21日(土)東京・後楽園ホール『Krush.145』の対戦カード第一弾が、11月30日(水)都内にて行われた記者会見にて発表された。
Krushライト級タイトルマッチ3分3R延長1Rとして、王者・大沢文也(ザウルスプロモーション)が挑戦者に里見柚己(team NOVA)を迎えての初防衛戦を行う。
大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手。2018年9月にはKrushライト級王座に挑戦してタイトル奪取ならずも、同年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」では準優勝を果たした。2020年7月のKrushで蓮實光にKO負け、12月のK-1では瓦田脩二に延長戦で判定負けと連敗を喫したが、2021年3月の川崎真一朗戦に延長戦で勝利して脱出。2022年4月に瓦田脩二を破り、第7代王座に就くと8月のK-1ではデンサヤームに判定勝ち。戦績は29勝(3KO)19敗3分。
里見は2019年8月にベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて連敗を喫したが、2020年1月の金子大輝戦では得意の右のパンチを炸裂させてKO勝ち。7月の瓦田脩二戦で敗れ、ジムを移籍しての再起戦では堀井翼に勝利。2021年7月・9月の「第6代Krushライト級王座決定トーナメント」では川崎真一朗にKO勝ち、弘輝に判定勝ちで決勝へ進出するも瓦田脩二に敗れて戴冠ならず。今年2月の再起戦では龍華を延長Rで振り切り、8月には元スーパー・フェザー級王者の西京佑馬に判定勝ち。戦績は18勝(8KO)10敗1分。
両者は2019年6月のK-1で対戦し、大沢が判定3-0(30-29×3)で勝利を収めている。
再び王座獲得のチャンスが巡ってきた里見は「去年ライト級王座トーナメントに出て決勝で負けて締まったが、1年半ぶりに挑戦させてもらえるということで嬉しいです。大沢選手とは約4年前に対戦していて負けてしまったが、それでも挑戦を受けてくれて感謝しています。2023年は自分から始まるので、リベンジの気持ちと去年獲れなかったベルトをしっかり獲りに行きます」と、タイトル奪取とリベンジ達成で2023年のスタートを切りたいと意気込む。
迎え撃つ大沢は「里見選手とは2019年に戦かったが、その時は僕が一応勝ったけれど差がなかったと思う。僕は媚びをうるわけでもなく里見選手の評価はずっと高かった、負けたり勝ったりもあったが本当に上手い選手だなと仲間のみんなにも言っていました。そろそろ当たるかなと思っていて。失礼ながらこの間、西京佑馬と戦った時には絶対に西京選手が勝つと思っていたので、マジかと思って。試合を見直したけれどやはり上手いなと。昔から上手いなと思っていたのが試合に出ていました。頑張ります」と、里見のことを評価していたとした。
今回の対戦が決まったことに里見は「自分は素直に嬉しかったのと、3年前に負けているのもあったので負けている相手には格闘家として男としてやり返さないといけない。去年たくさんの人の期待を裏切ったと思うので、後一歩のところで落としてしまったので今回は確実に奪いに行こうと思っています」とし、大沢は「どうせ里見選手だろうなと思っていたので、やっぱりそうだよなって感じですね。またサウスポーかくらいで何もないです」と予感していたとする。
大沢はこれが初防衛戦となるが、いつもと違う感覚は聞かれると「ないです。どうせ俺が勝つし。ベルトか懸かっていたらみんな頑張るしモチベーションが上がるのは当たり前ですが、僕はベルトが懸かっていようが懸かっていまいが一緒。一試合一試合が大事な試合なので」と、いつもの試合と変わらないという。今回から所属が変わったことについては「変わってめっちゃ練習がきつい。いい練習しています」と言うと、「練習環境が変わったことで、そのうちの一つのジムに出稽古来てたよね? 里見選手が来るってなって練習サボっちゃいました」とのエピソードも。
8月の試合が辛勝になったことで「この間の試合は正直、反省も何も負けたと思っているので。前回からレベルアップしたのはスタミナです。里見選手はパワーがあるので」とスタミナを強化してきたという。
里見はK-1で2連勝だが「今年の2月に龍華選手と戦って延長判定で勝ったけれど、勝ったと思ってないですし、西京戦も判定決着になったけれど、2人とはいずれまた戦うと思うし、必ず戦いたい。勝ってるけれど判定決着だし、自分は倒さないといけないと心掛けているので。Krushのリングは壊し合いという意味でも、必ずKO決着にしないといけない。自分たちから2023年は始まるのでしっかり盛り上げないといけない」と、KO勝ちに強いこだわりを見せる。
「去年負けちゃって本当に悔しくて。自分がライト級、K-1を引っ張っていける存在になりたいと言っていたのに負けたので、それではよくない。2023年は1月にしっかり倒して勝って、またK-1の顏になれるような選手だと思ってもらえるような選手になりたいと思います」との目標を立てる。今回のタイトルマッチも「何が何でも勝つという気持ちはなくて。勝つならKOで勝ちたい、負けるならKOで負けたい。それは普通の試合でも変わらないです。最近4試合は判定で終わっているので、2023年はKO決着から始まってまた前に進みたいです」と、KO決着でなければ気が済まないとした。
大沢に対しては「上手なのは昔から試合を見て思っていました。試合で何もさせてもらえなかったし、ずっと負けたままなので、リベンジしたいと思っていました。大沢選手はベテランの選手ですが、自分も次で30戦目。ベテランの方へ来ているので、さらなるベテランと戦って勝ちたいと思います」との印象を話す。
里見の印象を大沢に聞くと「幸せな人って感じです。結婚したっすよね? 幸せな人なので。僕は幸せな人には負けられないんですよ、マジで。なぜなら僕は今年、大好きだった彼女と別れたので幸せな人には負けられない」と、かなり個人的な負けられない理由をあげ、「印象は本当に上手い選手。周りの評価は高くないと思いますが、僕の中ではめちゃめちゃ高いです。ただ、上手いと強いは違うものだと思います」とした。
堂々と判定勝ちすると宣言する大沢だが、今回は2023年一発目の大会、そしてタイトルマッチということでメインイベントになることは間違いない。そこでどんな勝ち方をするつもりかと聞かれると「2023年始まりのKrushでタイトルマッチじゃないですか。申し訳ないですが泥試合で始まりますね。僕は勝つことが一番だと思うので。里見選手はKOと言っていましたが、僕は判定決着の方が実力差の方が出ると思っているんですよ。単純にKOする力ないから言い訳ですが(笑)。自分で言いますが、僕は上手いので。里見選手も上手いので、格闘技にやっている人が見れば技術のある玄人好みの試合になると思いますね」と、堂々の泥試合宣言。
それを聞いた里見は「僕は自分のことを上手いとは思っていませんが、一日一日を大事に同じことをずっとやっているので、その積み重ねが試合に出ていると思う。一番はたくさんの人に応援してもらっているのと自分が格闘技が好きなので王者になりたいと小学生の頃から夢があるので、それが日々成長させてもらえている理由だと思っています。僕は自分が強いとも上手いとも思っていないし、一度も満足していなくて毎日頑張っています。その成果をタイトルマッチで見せられたらと思うので、たくさんの方に見てもらいたいです」と、積み重ねてきたものを試合で見てもらいたいとした。
最後に里見は「逃してしまったチャンスをまたいただいたので、絶対に倒してKrushらしい試合をしてベルトを巻いてそこから登っていく」との誓い。大沢は「1月21日のタイトルマッチは幸せな家庭を持つ里見選手と、幸せを逃がしてしまった王者の戦いなので、彼女に振られた人は僕のことを応援してください」とメッセージを送った。