キックボクシング
レポート

【GAINA魂】武尊が弟分・晃貴とエキシビション「また近々いい発表ができると思う」、最後は「米子最高!」で締めくくる

2022/11/08 18:11
「Flourish presents GAINA魂」2022年11月6日(日)鳥取・米子市公会堂大ホール ▼第5試合 60kg契約 3分3R延長1R×堤島知久(米子ジム/KODOライト級7位)延長R 判定1-2 ※9-10×2、10-9○田中陸登(拳狼会/KODOライト級5位)※本戦の判定は28-30、30-30、29-29  第1回「GAINA魂」メインイベントの重責を担う両雄、入場時の表情からして共にその自覚が感じられる。煽りVTRでは、短いながら堤島が親友・晃貴との約束でプロのリングに上がり、中途半端だった自分の人生を覆すドラマが描かれた。  堤島には“ジ・オーバーターン”、田中は“疲れ知らずの恐し屋”とキャチコピーが打たれたが、果たして試合はその言葉をもろに反映する内容となった。  1R、まずはサウスポーの堤島が左ストレートの強打で先制。これを受けてオーソドックスの田中は、いきなり左右の細かなローキックに交えてコンビネーションブローを回転させて前進、打ち合いを誘う、鋭いカウンターブローや左ハイキックを繰り出す堤島。泥臭くともステップを止むことなく続けてキックとパンチをバランスよく打ち続ける田中は集中力が高い。  2R、打ち合いがヒートする様相の中、田中の前進がバッティングを呼び込み、堤島が左目尻をカットし僅かながらも流血。これに気を取られるでもなく堤島は、激しい打ち合いを挑み、応じる田中。そのガッツ溢れる試合振りは武尊のそれを思い起こさせる。左ストレートを中心に一発の強さがある堤島だが、連打が止まない相手の前進を止めるには至らず、田中のプレッシャーが強い。  3R、いきなりの左ハイキックを振るう堤島に必勝の気持ちが感じられる。それは田中も同様、いやそれ以上に呼応してラッシュ力を強める。足を止めてのハイスパートな打ち合いを厭わない二人だが、決定打はどちらにもない。意地と意地が交錯する中でゴング。  判定は、ジャッジ1名が田中を支持するも0-1でドローとなりマスト判定の延長Rへ。  開始前に不敵に笑う堤島。互いの前進がバッティングとなり堤島は傷を広げて顔を歪める。一度はドクターチェックがはいるが、そこでテンションを下げることなく堤島はラスト1分程で両手をブラリと下げてノーガードとなり田中に問答無用の打ち合いを誘う。寸分も迷わずこれに応じる田中は、終始継続してきた上下ラッシュに添加剤をくべたように加速する。センスと一発の堤島、根性と連打の田中と対照的な対決は、まったくの互角具合でジャッジ泣かせの展開。  絶対判定はスプリットとなり1-2で青コーナー・田中の勝利。ここで全試合が終了し、勝利に安堵する汗まみれの田中が残るリングに武尊や晃貴、ネット中継解説を務めた大岩龍矢、オープニングマッチのアマチュア選手を含むオールスターメンバーが集まりエンディング。ファンサービスのプレゼント抽選会など行いながら、主催者挨拶のマイクを握った富村誠司は、チケット発売と同時に札止めで集まった満員の観客と多くの協賛者、選手関係者スタッフ、そして、多大な協力を惜しまない教え子・武尊に感謝の意を表し、「このGAINA魂、来年もできるように米子ジム一丸となって頑張ります!」とイベントの継続決意を表明。  更に最後に挨拶を行った武尊も変わらぬ協力を約束すると共に「米子最高!」と恒例のシャウトで大円満の興行を締めた。 [nextpage] ▼第4試合 63kg契約 3分3R延長1R○直也(米子ジム/元西日本フェザー級王者、元WMC I-1 58kg級王者、元INNOVATIONフェザー級1位)延長R 判定3-0 ※10-8×3×ちび太(Studio-K/ACCELフェザー級5位、RKSスーパーフェザー級1位、元MA日本ライト級2位)※本戦の判定は29-29×2、30-28  RIZIN出場経験がある2冠王の直也と、近県広島のベテランファイター、ちび太。  オーソドックス同士の対戦は、左ボディブローを起点として多彩なコンビネーションを繰り出す直也と、軸の確かな右ミドルキック一本に賭けるちび太で好対照。1、2、3Rを通して飛びヒザ蹴りなど大技も織り交ぜる直也が攻め込むのに対し、ちび太が痛烈に右ミドルキックをリターンする展開が続き、本戦判定は1-0で直也有利の延長へ。  マスト判定の最終ラウンドに気迫を込める両者。直也の左脇腹は、ちび太の右ミドルキックで真っ赤に染まり、それを気にもかけずにコンビネーションの手数と回転力を上げていく直也。ラスト30秒を切ったところで至近距離から直也の右バックハンドブローが直撃。横倒しになったちび太はようやく立ち上がるもフラフラ、追撃の右飛び膝蹴りを見舞う直也。  ゴングが鳴り、明白な差をつけて劇的に直也が激戦を制した。 [nextpage] ▼鹿児島鰻 presents スペシャルエキシビションマッチ 2分2R 判定なし―武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第4代K-1スーパーフェザー級王者、初代K-1フェザー級王者、初代K-1スーパーバンタム級王者、初代Krushフェザー級王者)勝敗なし―晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第4代Krushバンタム級王者)  今年6月、キックボクシング史上最大イベント『THE MATCH』における那須川天心との伝説の一戦から初めてリングにあがる武尊。煽りVTRで「このタイミングしかなかった」と奇縁と生まれ故郷への恩返しを強調しつつ、エキシビジョンマッチながら“試合”と表現し続けてきたこの一戦。  両者共に初の地元・米子凱旋マッチとなる、まさにスペシャルなEXマッチは、果たして壮絶な内容となった。  1R、開始からカーフキックを織り交ぜた容赦ないローキックの連打を繰り出す武尊。シンガード(脛当て)越しとはいえ花相撲には必要ないえげつない攻撃に早くも本気度が見える。パンチの速度や強振具合も本番さながらで、体重差のある晃貴には気厳しい展開だが、必死に喰らいついて押される印象はない。  2R、晃貴のパンチをスリッピングアウェーの高等テクニックでかわしスピニングバックキックを見舞う武尊。ここまでは両者の笑顔が飛び交うサービス満点のエキシビションだった。が、ラスト1分、両者が申し合わせたに違いないグローブタッチを高速で交わし、火が出るような猛打を交換開始。それは武尊がK-1で数多魅せてきた名場面と遜色ない激しさ。  武尊は終始笑っているが、その印象は弟を慈しむ微笑みから“ナチュラル・ボーン・クラッシャー”の狂気的なそれに変化している。ゴング。まさに「金の取れる一戦」に大満足の拍手が会場に鳴り響いた。 ●武尊のEXマッチ後、リング上インタビュー抜粋 「あの試合(那須川戦)の1週間後には次の試合のことを考えていたんで、こうして応援してくれる皆さんがいる限りは勝った姿を見せて終わりたいです。応援してくれる皆様と一緒に勝ってまた笑いたいです。次に向けて動いていて、先日K-1との契約満了の発表をしましたが、全然ネガティブな意味の契約解除じゃなくて、格闘技界、しがらみとか団体の壁とか国の壁とかいっぱいあるんですけど、そういうのがなくなる夢のある格闘技界にしたくて、そのための契約解除だったんで、僕はK-1に出ないわけでもないし、世界の格闘技界がひとつになってもっと盛り上がるための第一歩だと思っているんで、また近々いい発表ができると思うので、待っていてもらえるとうれしいです」 ▼第3試合 73kg契約 3分3回戦(延長1ラウンド)○肉弾子(米子ジム)判定2-0 ※30-28、29-29、29-28×閻魔大三(ナックルズGYM/M-1日本ミドル級5位) ▼前田慎介引退試合 エキシビションマッチ 2分2R 判定なし―前田慎介(米子ジム/元INNOVATIONバンタム級7位、元MA日本バンタム級7位)勝敗なし―エース(ACE KICK BOXING) ▼第2試合 53.5kg契約 3分3R○拳大(米子ジム)TKO 3R 0分28秒 ※右ローキック×フジモン魂(ナックルズGYM) ▼第1試合 58kg契約 3分3R○颯大(米子ジム/KODOスーパーフェザー級5位)KO 3R 0分59秒 ※左ストレート×山口 稔(一神會館) ▼オープニングマッチ(アマチュア戦)第3試合 50kg契約 2分2R○前田琉偉(米子ジム)判定3-0 ※20-17×3×大塚一護(ナックルズGYM) ▼オープニングマッチ(アマチュア戦)第2試合 63kg契約 2分2R○尾坂剛志(米子ジム)判定3-0 ※20-19×2、20-18×吉田朋広(ナックルズGYM) ▼オープニングマッチ(アマチュア戦)第1試合 30kg契約 2分2R△ 岩本 操哉(米子ジム/グローブ空手道連盟2021小学3・4年生軽量級王者)ドロー 判定1-1 ※19-20、20-20、20-19△ 久保田天空(男塾/ネクストレベル日本25kg級王者)
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