2022年11月6日(日)愛知県名古屋市のドルフィンズアリーナにて『RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA』が開催された。
全試合終了後、榊原信行CEOが総括会見し、メインイベントを戦った平本蓮と弥益ドミネーター聡志の今後、ベストバウトともいえる元谷友貴と倉本一真のフルラウンド、SARAMIや鈴木千裕の奮闘、そして、会場で生観戦した朝倉海の復帰を含む、大晦日のプランについて語った。
あらためて地上波でのテレビ中継がないことを明らかにした榊原CEOは「すでに発表しているカード(Bellatorとの5対5対抗戦)以外に、たぶん10試合強の試合が追加される」と語った。
ドクターチェックの上、マッチメークを考えるが、また年明けにケージを使った大会がある、そのタイミングで平本と相談できればいい
──大会を終えた率直な感想、総括をお願いします。
「上3試合、4つと言ってもいいかな。MMA総合格闘技の魅力が詰まってバラエティに富んだ試合展開でしたし、緊張感あり、RIZINの世界観、振れ幅の広さをご堪能いただける試合内容だったなと。試合をしてくれた選手たち、関係者に御礼を言いたいです」
──どんな試合が印象に残りましたか。
「メインでは、平本選手が怪我をしていたのも事実ですし、彼も最後の最後まで穴を開けないために努力してくれたこと、弥益選手も、怪我で思うように体重を落とせない平本選手の状況を理解してくれて、70kgというキャッチウェイトで成立させてくれた2人の選手に感謝をしたいです。
鈴木千裕選手も摩嶋(一聖)選手の怪我を受けて9月25日からスクランブル発進でしたが、気付いてみれば、平本蓮も24歳、鈴木千裕も23歳と、まだ弱冠20代前半の2人の若者が、ハイライトの大会になったことは、次の世代が確実に台頭してきているということを感じさせました。
アンダーカードでも、SARAMI選手が身長差も、不運なバッティングもあったなかで最後の最後まで勝つことへの執念が切れることなかった。紅一点のなかで素晴らしい試合でした。ドルフィンズアリーナでの大会は波乱万丈あり、タダでは終わらないい、この先も愛知県体育館も新設されるので、RIZINにとっていまの会場では最後の大会になるかもしれませんが、非常に中身の濃い素晴らしい試合だったと思います」
──平本選手が試合後の会見で、この試合でまた怪我をしたことと、次の試合もケージで戦いたいと言っていました。今後の展望は?
「1週間前の日曜日にも話をしまして、本人は出場する強い気持ちを持ちながらも、少しづつ完治に向けている状況で、試合をすればまた悪化するという葛藤もあったと思いますが、今回試合をすることを選んで、怪我が悪化している状況もあると思うので、しっかりドクターチェックをして、いずれにしても無理して、体調が整わない選手の背中を押して、大晦日に出てもらいたいという気持ちは全くないので、平本選手も鈴木千裕選手もそうですが、出たい気持ちは持ってくれていると思いますが、まずはドクターチェックの上、マッチメークをどうするかは考えたい。
いずれにしても大晦日はリングでケージにはならないので、そこは平本選手の希望には添えないので、また年明けにケージを使った大会も何大会かあると思うので、そのタイミングで相談できればいいかなと思います」
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元谷、弥益、SARAMI──判定決着を通り越して、しっかり生き様を見せた試合には最高の評価を与えたい
──KOや一本ばかりが重視され、そうでない場合に選手たちも気にしてしまうことがありますが、上の試合が判定が続いたなかで、榊原代表は「いい試合だった」と評価された。そのなかで元谷友貴選手が、あんないい試合をしているのに「こんな試合をしてしまって」と言っていて、そういう元谷選手に何か一言あれば。
「終わったあと、倉本選手とも話しをしましたが、やっぱりプロとして、ルールミーティングでも勝ちにこだわることもそうですが、負ける勇気を持って、最後の最後まで一本を取りにいってくれ、とプロモーターとしての思いを伝えるので、どうしても選手たちにもそういう『判定=悪』というものがあるやもしれないです。今回、倉本選手にも労も労いましたし、元谷選手もほんとうに素晴らしい試合でした。KO・一本でなくても判定であれだけ最後まで観客も飽きさせずに、折れないハートに感動したと思います。判定決着を通り越して、しっかり生き様を見せた試合には最高の評価を与えたいと思うので、今度、元谷選手に会ったら言っておきます」
──平本選手は今回もメインを託されましたが、前回からの評価は?
「前回は同じ立ち技からの転向という鈴木博昭選手が相手だったので、打撃の攻防以外のいま積極的にアップデート中のグラウンドの展開を見たかったのですが、今日の弥益選手を相手にしたときの戦い方、タクティクスでいえば──観ている人たちも同じ感覚だと思うが──その部分で全然、納得が(いく内容だった)。しっかり(MMAに)対応できる、レベルアップしているので、今回は十分メインの仕事を果たしてくれたんじゃないかと思います」
──メインイベンターになることで選手の成長をうながす部分もある?
「あると思いますね。今回の平本選手も弥益選手もそうだし、メインを託されることを意気に感じる、責任を感じる部分もあるし、当然、メインイベンターとしてどんな試合をファンが求めているかも、大きく選手たちにも届くので、それ(期待)に応えようということで押されてレベルアップし、意識も変わるのが、平本選手を見ても感じますね」
──今回も含め、平本選手のメインでの起用率を考えると、体重変更の件も含め、弥益選手がのまざるを得なかった状況かと思います。弥益選手の今後のチャンスについては?
「もちろんですね。ただ、弥益選手の思い──ほかの選手のように、格闘技だけで生業を立てようというスタイルじゃなくて、格闘技を常に愛していて、完全な仕事にしたくないという、ちょっと変わった関わり方を選んでいる選手でもあるので、仕事は仕事でしながら、常に格闘技は愛しているもの、大切なものでキラキラしてものであってほしい、というなかで、弥益選手も対戦相手はいろいろ選ぶというか、我々からのオファーを何でもかんでもやります、という状況ではきっとないと思います。本人もこれからの選手生命も含め、そんな試合数をべらぼうにやっていくというわけでもないと思うので、今回もいろいろ平本選手の怪我の都合もあるなか、メインとしての役割も果たしてくれていますので、復帰のタイミングや相手も含めて、弥益選手と相談して組ませていいただきたいなと思います」
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地上波で生放送という形は考えていない。格闘技がしっかり市民権を得られるように
──大晦日も見たいと思った選手は?
「僕の個人的な思いもそうですが、ファンの人たちが何を求めるかが一番大きい。今大会で勝利を収めた平本蓮選手や元谷友貴選手、鈴木千裕選手などはぜひ見たいと思うファンは多いと思いますね。でもそれを全部マッチアップしていたら20試合を超えてしまうので、それは叶わない。体調の問題も含め──今日、朝倉海選手も来ていましたが、大晦日にどうするということでは、全く出ない、ということでもないので、今日まで結果を受けて、選手たちとも相談して、並べるだけで、すでに発表しているカード以外に、たぶん10試合強の試合が追加されると思いますので、最終決定を急ぎたいと思います」
──当初、朝倉海選手と戦う予定だったヤン・ジヨン選手が魚井フルスイングをTKOに下し、元谷友貴選手も倉本選手に勝利して朝倉海選手の名前を出しました。朝倉海選手の試合は年末は微妙かもしれなくても、ほかの大会でも彼らとの試合の可能性は?
「年末にカードを並べたなかで朝倉海の試合を組むか、本人の意思と我々のカード編成、そして年明けのタイミングの大会も含め、最終決めたいと思いますが、ジヨン選手とは、前回、海がすかしていることもあるので、昇侍選手、魚井選手に勝っていることもあるので、海としてはそこをクリアする必要があるかなと流れからすればあるので、本人サイドとしっかり話してタイミングと相手を早急に決めていきたいと思います」
──大晦日では、すでにはRIZINとBellatorの5対5の対抗戦が決定していますが、そのほかも含め意気込みを。
「今年は地上波で生放送という形は考えていないのですが、年末という日で言うと、紅白もあって、いろんな大晦日の過ごし方が風物詩的にあって、その中で格闘技を見ることが大晦日のルーティンになっている人が全国ににたくさんいると思います。地上波は無いけど、『今年も格闘技を観て年を越そう』と思ってもらえるような、バラエティに富んだラインナップ、そして我々が大切している勝負論のある、レベルの高い最高峰の戦いはもちろんこと、それだけに終わらないカード編成をしっかり考えて、世間の中で格闘技がしっかり市民権を変わらず得られるように精進していきたいと思います」