恐怖心をコントロールすることが塩漬け
「いや、小学校でキックを始めた時から僕はサウスポーも練習していたので。K-1時代もサウスポーで試合したことがあります。MMAに来て、空間を作るということに対して、岩崎先生とやっていて右手前の構え、右利きのオーソのほうが、土壇場の喧嘩強さみたいなのが出るんですよ。テクニックの部分では、自分はサウスポーの方がテクニックが豊富にあるというか。懐をコントロールしてというのが今回の作戦だったので。今回はサウスポーでMMAのニュースタイルで、平本蓮はこんなんもできるんだよとお披露目したかったというか、それが結果としていい形になってよかったと思いますね」
──サウスポーでやったことで冷静にできた?
「コナー・マクレガーが憑依しました(笑)」
──蹴りがほとんどなかったのは怪我の影響?
「そうです。蹴ってまた痛くなるのも嫌だったので。今回は自分がやってきたボクシングと空手を信じて。とにかくやってきたことを信じました。前回の試合で出しきれてなかった空手の部分、自分の新しいスタイルをより今回は完成に近付けたというか。試合前から岩崎先生には距離感さえミスらなければ、3R徹底的に弥益の顔をボコボコにできる試合になるだろうとずっと言っていたので。そういう試合の展開になったという感じですね」
「そうです。あれがストライカーの塩漬けです。流行るんじゃないですかね(笑)」
──ストライカーの塩漬けは、MMAファイター平本蓮の軸になるスタイル?
「自分の軸となるスタイルというか、グラップラーは密着した状態でグラウンドのコントールをしますが、打撃は距離をコントロールするのが一番の武器というか。レスラーの塩漬けと違ってストライカーの塩漬けは怖さがあるので、恐怖心をコントロールすることが塩漬けというか。もうやりたくねえなって試合中に思わせるような。武道ですね。武術空手。スポーツ的なテクニカルな部分ではなく武道の恐怖心を相手に与え付ける。そういうのを少しずつ自分のMMAを通して表現できるようになってきた、出せるようになってきたのかなと。空間の怖さというか、駆け引きですね」
──手の位置の低さもタックル対策というよりも空手の構え?
「基本の空手の突きを意識しているんですけれど、テイクダウンにもすぐ対応できるようになるのと、上のパンチは全部目で見えると思っていたので。新しいスタイルですね。自分はキックの時はガードがすごい高くて全然違う。いつまでもキックの打撃にこだわってなく、新しいことを俺はやろうとしている。今日の試合はそういうふうに世間を見返せるいいきっかけになったんじゃないかな」
──「これからは平本蓮の時代です」って、以前に魔裟斗さんが同じセリフを言っていたと思うが意識していた?
「はい、K-1リスペクトです」