2022年10月1日(土)シンガポール・インドアスタジアムにて『ONE Fight Night 2』(ABEMA/ONE Super App配信)が開催された。なお、前日計量およびハイドレーションテスト結果で、スーパーボンとジャマールマール・ユスポフが「体調不良」により欠場がアナウンスされ、マラット・グレゴリアンとタイフンオズカンが対戦している。▼ONE世界女子ストロー級選手権試合 5分5R〇ション・ジンナン(中国)125.00 lbs, 1.0005[判定3-0]×アンジェラ・リー(米国)123.75 lbs, 1.0005※ジンナンが7度目の王座防衛に成功
ONE世界女子ストロー級王者のション・ジンナン(中国)に、現 ONE女子世界アトム級王者のアンジェラ・リー(シンガポール)が、二階級制覇をかけて挑戦する。同大会は、北米のゴールデンタイムでも生中継される。
両者は2019年3月の東京大会「A NEW ERA 新時代」で初対戦。このときは、リーが1階級上のジンナンに、MMA無敗記録キープをかけてストロー級で挑戦し、ONE史上初の二階級女王の座を狙った。試合は、4Rにリーが腕十字を極めかけたものの、ジンナンが最終5RにKO勝ち。ストロー級のベルトを防衛した。
2019年10月の東京大会「CENTURY 世紀」では、今度はジンナンがアトム級に階級を下げて、二階級女王の座を目指し、リーに挑戦。打撃で攻勢に立ったものの、凌いだリーが最終ラウンド残り12秒でリアネイキド・チョークで劇的な一本勝ちを収めている。
この試合以降、両者とも完璧な戦いぶりを披露している。出産を経てリーは、2022年3月の「ONE X」で、ONEアトム級世界GP優勝者で元ONEムエタイ&キック世界王者のスタンプ・フェアテックス(タイ)に一本勝ち。
ジンナンはティファニー・テオ(シンガポール)、ミッシェル・ニコリニ(ブラジル)、三浦彩佳を相手に3連勝とし、タイトルを保持し続けている。ここまでアンジェラとジンナンは1勝1敗。決着戦となる3度目の戦いで、最後にケージに立っているのはジンナンか、リーか。
1R、先に中央を取るアンジェラ。ワンツーの右を振る。左回りでかわすジンナン。さらに右を伸ばすと、ジンナンも右を返し、ボディストレート。左右で前進し距離を詰めるアンジェラに左フック、さらに右を当てるジンナン!
ダウンしたアンジェラは亀も立ち上がる。右ロングフックを当てるジンナン、さらに詰めてヒザ、右で尻餅を着かせるが、まだ止めないハーブ・ディーン。アンジェラは足を手繰るが、はがすジンナンが鉄槌! 止められてもおかしくないが、アンジェラはシングルレッグで立ち上がり。残り1分40秒。
右で差してクラッチして投げるアンジェラに潰して上になるのはジンナン! 下に付き合わないジンナンは立たせる。アンジェラも左右で左前蹴り、ジンナンは左ボディを返す。アンジェラは組んでヒザ突きゴング。ジンナンのビッグラウンドに。
2R、詰めるアンジェラは右のスーパーマンパンチからダブルレッグも切るジンナンが左右を突き、右フックを当てる。詰めて右で差して前方に振って、後方に投げたアンジェラ! ジンナンの立ち際にヒザを突き、がぶりからダースチョーク!
しかし前転して立ち上がるジンナン。アンジェラはさらにがぶりからヒザを突き、後方に回すが、首を抜くジンナン。
スタンド。ペースを落とす両者。右を振り、右前蹴りで詰めて金網に押し込んで右で差してシングルレッグはアンジェラ。足を抜くジンナンに今度は左で差すアンジェラ。金網背に四つはジンナン。押し込むアンジェラは肩パンチを突く。
接近戦でパンチイを突くアンジェラに右フックを当てるジンナン。左ボディ打ちも。拍子木に両者見合ってゴング。
3R、先にプレスをかえるアンジェラ。しかしジンナンも右を当てて前に。ヒザ蹴りもつくが凌ぐアンジェラ。左ボディ打ちから右ストレートと対角を突くジンナン。アンジェラも左の蹴りから左右で金網まで押し込み首相撲ヒザ、右ヒジ! しかしジンナンも「来い」と手招きし左を振る。ジンナンの左目尻をカット。
左右のハンドスピードはジンナン。アンジェラはヒザ着きのダブルレッグもここは深追いせず。ボディ打ちを当てるジンナン。詰めて掴みにいくアンジェラを切る。
アンジェラの前進を右に回ってかわすジンナン。左ミドルのアンジェラにカウンター狙うジンナン。蹴り足をつかんで放して左ボディも、前進を止めないアンジェラは右ハイ! ここも打ち返すジンナン。頭が下がるとアンジェラはヒザ蹴りを突く。消耗戦に持ち込むアンジェラ。
4R、ジンナンの左フックに、左ミドルを当てるアンジェラ! 詰めて首相撲ヒザを連打。離れて右フックをガード上に当てるジンナン。アンジェラの入りに左をかぶせるジンナン。蹴りを混ぜて近づく。頭を下げて左フックのジンナンに左ミドルを当てる。
右のスーパーマンパンチを左で迎撃するジンナン。アンジェラは片足を掴んで押し込むが切るジンナン。右オーバーハンドはジンナン! 受けながら前に出るアンジェラも右から左で応戦。さらに右ローを当ててすぐに組みに。詰めて首相撲ヒザ! 嫌ったジンナンにダブルレッグもゴング。
最終5R、グローブタッチ。前に詰めるアンジェラは右ストレート。見るジンナンも右を返す。勝負所を待つ両者。右ストレートから深く右で差したアンジェラはボディロックら大内刈でテイクダウン! 後ろ手でリストコントロールしてジンナンの立ち際にスタンドバックに。
着地して正対したジンナン。右フックを振る。ワンツーから右スーパーマンパンチはアンジェラ。かわすジンナンはサークリング。右前蹴りで詰めるアンジェラは右から左もかわすジンナン。
残り1分。ワンツー右ハイのアンジェラに右ストレートを返して流す。左回りで、ムエタイの5Rのようにカウンターだけ狙う。両手を広げるアンジェラは左フックで飛び込むが、さばいたジンナン。
ゴングに両者ともに両手を挙げる。判定は3-0で2度のダウンを奪ったジンナンが勝利。ストロー級王座7度目の防衛に成功した。
試合後、ジンナンは「シンガポールで判定にブーイングもあったけど、しっかり準備してきたことを出したから、何を言われても気にしない。アンジェラは素晴らしい試合をしてくれた。彼女とはキックボクシングでもMMAでも関係ない、4度目もチャンスがあれば戦っても構わない。そして、今日10月1日は、中国の国慶節。ハッピーバースデーと言いたい。この日に勝てて嬉しい。進化したアンジェラを戦えて幸せだった。この試合をほんとうに楽みました」と語った。
敗れたアンジェラにもインタビューがあり、「この試合を楽しんでくれたら嬉しいです。1Rにジンナンはパワフルな攻撃をして、でも以降は私が前に出て、押し込み、キックもヒジも、重い打撃を当てたと思う。判定は分からないけど……みんなにありがとうと言いたい。ジンナンは強い選手だった。(4度目を問われ)接戦だけど勝ったと思っています。なるようになると思います」と語っている。
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▼ONE世界フライ級サブミッション・グラップリング選手権試合 1R12分〇マイキー・ムスメシ(米国)134.50 lbs, 1.0233[判定]×クレベル・ソウザ(ブラジル)135.00 lbs, 1.0191
ONE初のサブミッション・グラップリングの王座戦。
25歳のマイキーは、アメリカ人として4人目のムンジアル覇者。2000年にBJ・ペン、2005年にロバート・ドリスデール、2007年にハファエル・ロバト・Jrが制して以降、10年間、ブラジル人が占めていた表彰台に2017年にライトフェザー級(64kg)で頂点に立つと、2018年にも同級を連覇。
2019年はルースター級(57kg)、新型コロナウイルスの影響でで中止となった2020年を経て、2021年にもルースター級で優勝するなど、競技柔術における最軽量級世界最強の選手といっていい。4月にはケージグラップリングで今成正和をリアネイキドチョークで極めている。ソウザは2017年にムスメシと柔術で2度対戦しており、1勝1敗の戦績。
1R、先にガードで下になるムスメシ。ソウザの右足をつかむムスメシだが足を抜くソウザ。両足をさばこうとするソウザ。ムスメシは左足を掴んでヒザを伸ばそうとするが右足で蹴って抜くソウザ。
側転パス狙いからムスメシの足を掴むソウザ。ソウザの足を掴んでバックテイクを狙うが、スクランブルで正対し離れるソウザ。
ムスメシは下から右足オーバーフックから右足をかけるが、中腰で抜くシウバ。さらに左足にサドルロックのムスメシに、足を抜くシウバ。上からアタックのソウザに下から足を手繰るムスメシ。両足をさばこうとするシウバ。片足をたぐるムスメシ。抜くソウザ。互いに足関節ヒザの取り合いから、外ヒールを狙うムスメシ。
パスを狙うシウバの腕を狙うムスメシ。腕を抜くと、ムスメシは下からニースライサー気味に「キャッチ」獲得。極まっていないという表情のシウバ。側転パスで場内を沸かすソウザに、最後にムスメシが上になってゴング。
ジャッジは下から仕掛け、キャッチを取ったムスメシを支持。ベルトを肩に眼鏡をかけたムスメシは、「とてもタフな試合で10分間の戦争のような試合だった。嬉しいです。攻撃を続けてキャッチを取ったので自分が勝ったとは思った。(次は誰と?)リスペクトを込めてデメトリアス・ジョンソンの名前を挙げさせてもらいます」と語った。
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▼アトム級→54.77kg契約 5分3R〇スタンプ・フェアテックス(タイ)115.00 lbs, 1.0107[判定3-0]×ジヒン・ラズワン(マレーシア)120.25 lbs, 1.0053 ※体重超過
アトム級1位のスタンプと5位のラズワンの対戦。ラズワンの体重超過により120.5ポンド契約戦に。スタンプは女子アトム級GPでリトゥ・フォガットを腕十字で下して優勝し、2022年3月にアンジェラ・リーのタイトルに挑戦したが、2Rリアネイキドチョークで一本負け。今回が再起戦になる。
ラズワンはビー・ニューイェン、V.V Mei・平田樹に判定勝ちし、3連勝中。
1R、先に詰めるラズワンは右から左のダブルで詰めてダブルレッグ。差し上げるスタンプに左差しに変える。両脇を差すラズワンはボディロック。スタンプは顔を剥がしに行く。
右で差して払い腰はラズワンも、その気岩でマウントはスタンプ、ヒジ打ち。右で差して立ってバックを狙うラズワンは、シングルレッグからダブルレッグテイクダウンで尻を着かせる。
腰を抱くラズワンに右手をスイッチで差し込もうとするが、両足を束ねて押し込むラズワン。スタンプは座ってしがみつくラズワンに左ヒジ。金網使い立ち上がり、突き放し。力を使ったラズワンだが、ここで下がらず前に出てゴング。
2R、右ローを連打するスタンプ。さらに右ミドルハイをガード上に当てる。しかしラズワンも右ロー。左フックを合わせる。ラズワンは低いダブルレッグも着られる。
さらにシングルレッグもここは切るスタンプがバックに。リアネイキドチョークを組むが、後ろ手を剥がしたラズワン。スタンプはパームトゥパームに切り替え、4の字ロックする。
背後からパウンドするスタンプの脇を潜り、正対するラズワン! 足を組んでいたスタンプはそのままクローズドガードで下に。ラズワンはスタンプの右腕をヒザで殺して殴ろうとするがゴング。立ち上がるスタンプはダンスを見せる。
3R、グローブタッチ。前蹴り&ジャブのラズワンに、鋭い左フック、左ヒジでダウンを奪うスタンプ! ハーフガードでしがみつくラズワンを剥がし、ヒジを落とすスタンプ!
出血のラズワンはクローズドガード。ケージまで押し込み、頭を潰してから左ヒジ。背中を着いてクローズドガードのラズワンは下から腕十字!
うつ伏せにさせられるスタンプは腕を抜くとスクランブルのなかでヒザ十字に。足を抜き最後に上になったのはラズワンだがゴング。判定は3-0でスタンプが激闘を勝利。再起を遂げた。
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▼フェザー級×マーティン・ニューイェン(豪州)155.00 lbs, 1.0083[1R 3分33秒 TKO] ※パウンド〇イリヤ・フレイマノフ(ロシア)154.50 lbs, 1.0091
フェザー級3位のニューイェン。フェザー級とライト級で二冠を制した戦績を持つ。ライト級王座返上後、フェザー級王座はクリスチャン・リーに敗れ陥落。タン・リー、キム・ジェウォンに連敗も、2022年3月の前戦でキリル・ゴロベッツに3R TKO勝利し再起を遂げた。
対するロシアのフレイマノフはONEデビュー戦。MMA10勝2敗。PACRASEで大橋悠一に敗れたディションバイ・バキトベックに2021年4月にギロチンチョークで敗れている。
1R、ともにオーソドックス構え。フレイマノフは左ミドルをヒット。詰めるニューイェンはダブルレッグへ。金網に詰めて右で差すも突き放すフレイマノフ。右ミドル、首相撲さらにスイッチしての左ミドルを当てる。
近距離で戦うニューイェン、ワンツーから右ハイを当てるフレイマノフ。さらに左ジャブを当てると右ローも3連続ヒット。左ヒザを当てて前に出るフレイマノフ。
右にカウンターの右ヒザ、さらに歩いて右ストレートを当てたフレイマノフ。後方にダウンしたニューイェンは金網まで下がるが、首を押さえてのヒザ蹴り連打、右のパウンド連打で動けず。猛攻にレフェリーが間に入った。
フェザー級3位のニューイェンを下したフレイマノフは、これで4連勝。MMA11勝2敗とした。
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▼ライト級 5分3R〇ハリル・アミール(トルコ)169.50 lbs, 1.0214[2R 0分58秒 TKO] ※パウンド×ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)170.00 lbs, 1.0183
ライト級。エディ・アルバレスにKO勝ちし、ピーター・バウシュトに判定勝ちで2連勝も、2021年4月に王者クリスチャン・リーに1RKO負け。12月の前戦ではザイード・フセイン・アサラナリエフに3R KO負けして2連敗中。対するトルコのアミールは、ロシア、セルビア、トルコなどのMMA7戦全勝で、ONEデビュー戦。
1R、サウスポー構えのアミールは鋭い右ジャブ。左右で詰めるナシューヒンは右で差して金網に詰めるが、アミールは体を入れ替え、互いにヒザを突き離れる。
頭を下げて左を振って飛び込むナシューヒン。さらに右ストレートもさばいたアミールにナシューヒンは金網に突っ込む。
インサイドの右ジャブを刺すアミール。さらにワンツーがかすめる。アミールのヒザ蹴りに右フックを合わせるナシューヒン。左ローでバランスを崩したアミールはすぐに立つ。ナシューヒンは右フックをブロック上に当てて組むも、アミールは組ませず。左インローを当てる。左ミドルを当てるアミール。
ナシューヒンはシングルレッグテイクダウンもすぐに腕を差し入れて立つアミール。スイッチしての左後ろ蹴りを腹にヒットさせる。
2R、サウスポー構えから右ハイをブロック上に当てるアミール。圧力をかけるナシューヒン。アミールの左ローにカウンターの右を突く。しかし、アミールはナシューヒンの右のダブルに、右フックをダブルを当てると、さらに左も効かせると足が泳ぐナシューヒン!
一気にラッシュしたアミールは首相撲ヒザ。足にしがみつくナシューヒンにヒザを突き、倒れたナシューヒンにさらに右のパウンド連打。打たれ続けるナシューヒンに、ハーブ・ディーレフェリーは遅めのストップに入った。
3位のナシューヒンを衝撃TKOで下したアミールについて、解説席の青木も「すごい、強いですね。全部ロシア人じゃないですか。やりがいがある相手ですね。魂を燃やすのに、最後、強いやつとやるのにいい相手」と高く評価した。
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【リードカード】
▼キックボクシング フェザー級 3分3R〇マラット・グレゴリアン(アルメニア)154.00 lbs, 1.0172[判定3-0]×タイフン・オズカン(トルコ/オランダ)154.75 lbs, 1.0087
※チンギス・アラゾフが負傷の為、スーパーボンの対戦相手がタイフン・オズカンに変更されたが、スーパーボンが「体調不良」のため欠場。さらにジャマール・ユスポフも「体調不良」のため、オズカンはグレゴリアンと対戦に。 2015年のK-1 WORLD GP -70kg王者であるグレゴリアンは、当時1回戦で山崎陽一、準決勝で牧平圭太、決勝でジョーダン・ピケオーにKO勝ちと、3試合連続KO勝ちで優勝。2018年2月には、「Kunlun Fight 69 World MAX 2017」の準決勝でジニアス・ズエフに判定勝ち、決勝でスーパーボーン・バンチャメークにKO勝ちして優勝した。そして、2019年5月「Glory 65」において、シッティチャイ・シッソンピーノンと5度目の対戦。グレゴリアンが判定勝ちでライト級王座を獲得している。2020年12月のONE初参戦ではイヴァン・コンドラチェフに先制のダウンを奪われるも2RでKO勝ちした。
2021年10月の「ONEフェザー級キックボクシング ワールドGP」1回戦では、S-cup4度王者、K-1 WORLD MAX2度王者のアンディ・サワーにTKO勝ち。GP準決勝進出を決めていたものの、コロナで欠場。2022年3月にONEキックボクシング世界フェザー級王者スーパーボンに挑むも判定負け。今回が再起戦となる。
オズカンは2016年にEnfusion 70kg MAXトーナメントで優勝した。2018年にはアンディ・サワーを4RでKOしてEnfusion 72.5kg世界王座を獲得。2006年にはダビッド・キリアからも勝利を収めている。2021年10月の「ONEフェザー級キックボクシング・ワールドグランプリ」でONEに初参戦すると準々決勝でシッティチャイと対戦したが判定2-1で惜敗した。
当初、チンギス・アラゾフの欠場によりオズカンが王者スーパーボンとのタイトルマッチに繰り上がったが、スーパーボンの欠場によって元通りグレゴリアンと対戦することになった。
1R、オズカンは上体を左右に振って左右ロー、前蹴りを出していく。グレゴリアンはジャブを突いてのワンツー、左右フックとほぼパンチ。両者ともガードを高く上げてガッチリと固めており、グレゴリアンも右ローを蹴っていく。両者とも相手のガードの固さを見てパンチからローだ。グレゴリアンの右ローで早くもオズカンの足が流れ始める。グレゴリアンは右ローを蹴りつつ、ボディもしっかり攻めていく。さらに両者ともガードの隙間を縫うような右アッパー。
2R、前に出るグレゴリアンは左アッパー、右ストレートをオズカンのガードの隙間からねじ込む。さらに右ローを蹴られるオズカン。ジャブ、前蹴りで距離を作ろうとするオズカンだが、グレゴリアンはガードをガッチリと固めて接近すると声を出しながらフックからのアッパー。オズカンも右アッパーで対抗する。グレゴリアンはジャブでガードを固めさせると、左ボディと右ローで攻める。オズカンも左ボディ、右アッパーで対抗してグレゴリアンのアゴを跳ね上げる。近距離で互いにパンチを回転させ合う両者。
3Rも前に出るのはグレゴリアン。パンチの回転を上げてボディから顔面へのシャトルブロー、そして右ロー。オズカンも負けじと右アッパーを放って飛びヒザ蹴りを発射する。グレゴリアンは左インローと左ローも蹴り、徹底してボディへパンチをまとめる。オズカンは潜り込んでの右アッパー、前蹴りを見せるが、グレゴリアンが上下へ散らす攻撃の回転力で上回る。
判定3-0でグレゴリアンが勝利したが、オズカンの健闘も光った。
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▼フェザー級 5分3R×髙橋遼伍(日本/KRAZY BEE)154.75 lbs, 1.0074[判定1-2]〇オ・ホテク(韓国/Extreme Combat)154.00 lbs, 1.0036
元修斗環太平洋フェザー級王者の高橋は、14勝6敗。2020年11月にユン・チャンミンに2R TKO勝ちも、2021年3月にタン・カイ、2022年3月にアミール・カーンにスプリット判定負けで2連敗中。
8勝2敗のオ・ホテクは、ONEデビュー戦。TFC、AFCで活躍後、UAE Warriorsで三角絞めで一本勝ち、2022年4月の前戦では「BRAVE CF 58」でロランド・デイに1R リアネイキドチョークで一本勝ち。6連勝中だ。
1R、ともにオーソドックス構え。遠間から構える高橋。ワンツーの右ストレートを伸ばすホテク。左ロー、右ハイもつく。徐々に詰める高橋、金網背にするホテクは右の蹴りで押し戻す。右カーフを蹴る高橋は右をかわして右。右を振るホテクをかわして右カーフを蹴る高橋。
組むホテクを切る。右オーバーハンド気味にかするホテク。下がる高橋。左右の蹴りを連続するホテク。高橋の右ローに左前手フックを狙う。詰めて右カーフは高橋! さらにカーフを2発。ワンツーをかわして右フック、右ミドルを返す。
2R、先に中央を取るホテク。左で飛び込むホテクにカウンターの右は高橋! ダウンしたもののすぐに組むホテクだが切る高橋。右前蹴りで前に出るホテク。そこに左フックを合わせる高橋。なおも右前蹴りはホテク。さらに左前蹴りも。高橋に「積極的に攻めろ」と「注意」が入る。
詰めて首相撲ヒザはホテク。下がる高橋。ホテクの入りに左前手フックを狙う。高橋に消極的としてイエローカード(20%減点)が出される。
詰めるホテクのダブルレッグを切って右手首をリストコントロールしようとするホテク。正対して離れて左前蹴りはホテク。組みはホテク。右で差して前に出る高橋は離れる。ホテクのステップインに、その分ステップバックする高橋。
3R、前に出て前蹴り、二段蹴りはホテク。高橋は手数が欲しい。モハメド・スレイマンレフェリーが2度目のイエローカードを出す。右前蹴りを当てる。
ホテクはダブルレッグもそこにヒザ蹴りを合わせて切ろうとするが、ホテクはスタンドバックに! 着地させて正対し離れる高橋。右ローのホテクに右アッパーを突く高橋。左ミドルはホテク。しかし高橋は右カーフ!
「アクション」の声。ホテクの左右にカウンターを狙う高橋は右カーフを効かせる! しかし蹴られた左足を赤く腫らせながらもその左足で蹴るホテク。右オーバーハンドの高橋に組みに行くホテク。差し上げる高橋。
カウンター中心ながら有効打は高橋も、イエローカード2枚が響き、高橋がスプリット判定2-1で敗れ、3連敗となった。
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▼ムエタイ アトム級 3分3R〇アニッサ・メクセン(アルジェリア)114.75 lbs, 1.0095[判定3-0]×ダオコンファー・バンチャメーク(タイ)115.25 lbs, 1.0066
メクセンはこれまでISKA世界K-1ルールバンタム級王座、WAKO世界K-1ルール同級王座、GLORYスーパーバンタム級王座(2度)、WPMF世界フライ級王座など合計16本のベルトを獲得し、戦績は驚異の100勝(32KO)5敗という女子キックボクシングの生ける伝説(現在33歳)。サバットでもフランス王者、ヨーロッパ王者、世界王者になっている。ONEとは2020年8月に契約し、2021年9月に念願の初登場。クリスティーナ・モラレスを2RでKOした。
ONE初登場のダオコンファーはWBCムエタイ世界王者で、ONE女子アトム級ムエタイ世界女王のアリシア・ヘレン・ロドリゲス(ブラジル)に2度勝利している。所属はブアカーオ率いるバンチャメークジム。
この試合はアトム級で行われるはずだったが、52.28kgキャッチウエイトに変更された。
1R、先に仕掛けていくのはメクセン。前に出てワンツー&ロー。その後も右ローを蹴りながら左フック、ワンツーを狙う。ダオコンファーは待ちの姿勢でローは左スネでカットするが、ジャブを始めとするパンチをもらう。しっかりと攻撃を散らしていくメクセン。
2R、いきなり首相撲の展開となるが、ブレイクになるとメクセンがストレートの連打。ダオコンファーも打ち合いに応じるが、右フックでヒットを奪うのはメクセンだ。ダオコンファーは打ち負けると首相撲に持ち込む。メクセンがパンチ&ローで攻める→ダオコンファーが首相撲に持ち込む→ブレイクという展開が続く。ダオコンファーはヒザを上げるが有効的なヒザ蹴りはない。
3Rは前に出てくるダオコンファー。メクセンは下がりながらも右カーフ、左ミドルを蹴り、ジャブを突く。ステップでダオコンファーの前進をかわし、ほぼ一方的に攻撃を当てていく。ダオコンファーは組み付いてのヒザに活路を求めるが、すぐにブレイクとなり離れるとメクセンが面白いようにパンチを当てていく。二段蹴りも放つ余裕が見えるメクセン。
最後までメクセンのペースは変わらず、判定3-0でメクセンが完勝した。
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▼キックボクシング ヘビー級 3分3R〇ラーデ・オパチッチ(セルビア)245.00 lbs, 1.0036[2R 1分52秒 KO]×ヤニス・ストフォリディス(ギリシャ)238.75 lbs, 1.0009
一昨日開催されたヘビー級GP、そのリザーバーを決める「交代試合」を争う。
オパチッチはテコンドー、キックボクシングを学び18歳までアマチュアで戦い2015年にはWAKO欧州ジュニア選手権で優勝。2016年2月にプロデビューすると、2戦目でK-1 GLOBAL WORLD GPに出場して準決勝へ進出。2019年のKunlun Fightヘビー級トーナメントと2019年のEnfusionヘビー級トーナメントでも準決勝へ進出している。2020年12月のONE初登場ではエロール・ジマーマンを2Rに後ろ廻し蹴り一発でKOし、大きなインパクトを残した。その後も全て2RでKO勝ちし、ONEで4戦全勝だったが。6月にグート・イノセンテにまさかの初回KO負けを喫した。
ストフォリディスは21勝5敗、4年間負けなしという戦績を引っ提げて2022年1月にONE初参戦、初回KOで初陣を勝利で飾った。
1R、両者ともガードを高く上げてガッチリと固めながらローを蹴り合う。オパチッチはサウスポーのストフォリディスに右ミドル、右ヒザ。オパチッチはジャブを繰り出して距離を取りながらパンチ&ヒザを多用、ストフォリディスはサウスポーのセオリーである相手の前足外側にポジショニングしながら左ミドル、奥足への左ローを蹴る。オパチッチは左ボディと右ヒザでブロックの固いストフォリディスのボディ狙いのようだ。
2R、オパチッチは右ストレートを顔面とボディへねじ込んでいく。ストフォリディスは左右ローにワンツー・スリー。両者ともガードが固く、なかなか顔面にヒットがない中、オパチッチが左ボディを決める。下がるストフォリディスにオパチッチは左ハイから左右フックの4連打で4発目を当て、ガードの隙間から右ストレートをフォロー。
オパチッチが復活のKO勝ちを飾り、トーナメントのリザーバーとなった。