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RIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)が、 朝倉未来の1分間大会「Breaking Down」について、「チンピラとチンピラの戦いとして面白い。でも、生徒たちに勧められない」と語った。
9.25『超RIZIN/RIZIN.38』に向けて、自身のYouTubeを更新したサトシは、「Breaking Down」について問われ、「Breaking Down? 知ってる。朝倉兄弟のイベントね。Breaking Downはほんとうに面白い。あまり有名な選手がいないけど面白いね。チンピラとチンピラが戦うから(笑)」と、そのオーディションも含めた荒々しさがエンターテインメントとして「面白い」と表現。
さらに、「Breaking Downのルールも面白いね。1分間の打撃だけ。これはグラウンドをやる人には良くない。1分だけで極めるのは難しい。私も今までRIZINで1分で勝ったことは無いから」と、1分間のキックルールが多くなったBreaking DownのなかのMMAルールで、極め切ることは難しいとした。
朝倉未来がスペシャルアドバイザーを務める1分間ルールの『Breaking Down 6』は、次回11月3日(木・祝)大会に向け、8月31日に申し込み締め切りとなり、過去最大の応募総数2千名に達したという。
ABEMAの本格参入により、オーディションからキャラクターアピールで煽り、乱闘やその場でスパーリングも行われる同大会では、強烈な個性や肩書き、目を見張る格闘技の実績などが無いと本戦出場が難しくなっているのが現状だ。また、本格派が参入した場合のマッチメークも難しく、実力差があると事故の可能性は高まる。そのとき、世間は簡単に手のひら返しをするだろう。その狭き門を潜り抜けた出演者たちは同大会を通じて知名度を増し、人生を切り拓いていくという。その「成功」は、ほかバラエティー番組同様に、一時的なものか、継続するかは、取り組み次第だ。
しかし、そこに格闘技にとって当たり前の「強さ」を求める選手にとっては、結局のところ、ジムに通ってトレーニングし、たしかな技術を磨かない限り、それを獲得することは出来ない。これまで朝倉兄弟がそうしてきたように。「Breaking Down」を広めることで格闘技の層を広げたい、と語る朝倉兄弟の言葉通り、このブームの後に、さらに格闘家としてプロを目指す者、より質の高い格闘技を応援するファンはどれだけ残るか。より強くなるためではなく、より有名になるための道具として使った格闘技は、どのような広がり方をするのか。
指導者でもあるサトシは言う。
「みんなKOとか、打撃が好きな人には面白い。でも……1分で1Rだけでしょう? たぶんもっと面白いのは、1分3Rか2Rくらい? もっと強い人と戦うなら長い方が面白いと思うけど……まあいいかな、チンピラとチンピラでやっているけど、審判がいてルールがあるから(安全面は)大丈夫。でも、外の喧嘩はあまり好きじゃないけどね。それは生徒たちに教えない」
お茶の間は約束された「不良の喧嘩」を好む。そして試合が終わればノーサイドの、敷居が低い1分間の殴り合いを「格闘技的」なものとしてとらえる。分かりやすいキャラクターを与えられた選手が、消費されるか、生き残るかは本人次第だが、それがファイターとして生き残るためには、獲得しなければならないものがあることだけはたしかだ。