MMA
インタビュー

【UFC】11戦無敗のチマエフvs.“脱力”ネイト「新しいチマエフを出さないとディアスには勝てない!?」(髙坂)=9.10『UFC279』

2022/09/08 19:09

5R戦でスタミナ抜群のネイトに、野性のチマエフの新たな面が見られるか

――一方、ネイト・ディアスは、前半どんなにボコボコにやられても最終的に盛り返して勝てばいいという戦い方を信条としています。

「だから今回は、そのスタミナ抜群のネイト・ディアスとチマエフが、5分5R制で戦うというのがいちばんのポイントですよね。で、ひとつ疑問に思うのは“ネイイトって、なんであんなにスタミナがあるの?”ってことだと思うんですよ。ネイトには悪いですけど、そこまで追い込んで、スタミナを向上させるための特別なトレーニングをしているように見えないじゃないですか(笑)」

――昔からトライアスロンに取り組んでいるのは知られていますけど、一方でいろんな葉っぱを吸ってたりしますしね(笑)。

「だからあのスタミナの秘密は、ネイトの戦い方にあると思うんですよ。注意深く見ると、ネイトは攻撃も防御もほぼ“いなし”を使ってるんです。もちろんネイト最大の武器であるパンチのワンツーを入れるときは体重を乗せて、出力も使っているんだけど、他の動きに関しては脱力してなるべく体に負荷がかからないようにしている。ネイトがよく見せる、距離を取るための軽い蹴りの時、両腕をブランブランにさせているのなんて、まさにそれですよね。ネイトの中には“身体に負荷がかからないように動く”ということが、おそらく主題としてあるんだと思います。だから5Rまでいっても動きは変わらないし、逆に相手はどんどん消耗しているので、ちょっとしたフェイントに引っかかって、ネイトのパンチや寝技の餌食になってしまう」

――無駄な力を使わず、フィジカルで勝る相手を時間をかけて仕留めるというのは、かつてのヒクソン・グレイシー、ホイス・グレイシーなんかにも通じるものがありますよね。

「だからネイトはMMAの試合の中で、自分なりの“柔術”で戦っているような気がします」

――あのネイトの戦い方こそが“ディアス柔術”だという。

「それに対して、これまで1Rからフィジカルを全開で使って短時間で圧倒する戦い方をしてきたチマエフが、5R制でネイトとどう戦うのか。ネイトというこれまでとはまったく違うタイプの選手とやってスタミナを消耗した時、どんな技を持っていてどんな動きができるのか、それを見るのがすごく楽しみですね。おそらくバーンズ戦を踏まえて“これじゃいかんぞ”と思って、自分なりに新たに取り組んだものもあるだろうし。どちらにしても、新しいチマエフを出さないとネイト・ディアスには勝てないと思うんですよ。もしかしたら、その力を引き出すのは、他ならぬ対戦相手のネイトかもしれない」

──ネイト・ディアスは相手の心理を弄ぶようなところがありますよね。

「相手をイライラさせて、平常心でいられなくする、それもネイトの技術ですから。あの粛々と任務を遂行するような戦いをするレオン・エドワーズが、ネイト戦では試合中に中指を立てたんですよね。あれは相当、フラストレーションを溜めさせられたんだと思うんですよ」

――そのイライラもあって、最終5Rに反撃を許してしまったのかもしれないですよね。

「そうやって心理的に追い込んでいく術をネイトは持っているので、それが野性のチマエフにどこまで働くのか。逆にネイトの揺さぶりを簡単に凌駕するほどの力をチマエフが見せるのか。単に技術やフィジカルの攻防だけでなく、心理面も含めていろんな角度で楽しめる試合になると思いますね」(取材・文/堀江ガンツ)

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