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【ONE】DJがモラエスを跳びヒザKOで新王者に!「36歳になってもまだ成長できると心から信じていた」。平田樹がダウンを奪う逆転勝ち、ノンオーがカーフTKOで王座防衛、パンパヤックが左ハイKO! ブシェシャが盟友に捧ぐ涙の一本勝ち、元RIZINアリアックバリが初勝利、スーパーレックが縦ヒジKO!

2022/08/27 10:08
 2022年8月27日(土)シンガポール・インドアスタジアムにて、ONE Championship『ONE Fight Night 1 : Moraes vs. Johnson』が開催された。前日の『ONE160:Le vs. Tang』に続く2日連続大会は、北米に向けて、27日の午前9時から、日本ではABEMEおよびONE Supper Appで配信された。 ▼ONE世界フライ級(※61.2kg)選手権試合 5分5R×アドリアーノ・モラエス(ブラジル)王者  134.5ポンド(61.0kg)1.0057[4R 3分50秒 KO] ※左跳びヒザ〇デメトリウス・ジョンソン(米国)挑戦者:134.75ポンド(61.12kf)1.0156※ジョンソンが新王者に  メインイベントでは、ONE世界フライ級王者アドリアーノ・モラエス(ブラジル)と、元UFC世界王者&ONEフライ級ワールドGP優勝者のデメトリアス・ジョンソン(米国)が再戦に臨む。  アメリカントップチーム(ATT)で堀口恭司と練習仲間でもあるモラエスと、UFC時代に堀口の挑戦を受けたジョンソン(DJ)は、2021年4月のONEで「フライ級世界タイトルマッチ」で対戦。2Rにモラエスが右アッパーを効かせてグラウンドでの左ヒザ蹴り、パウンドと畳みかけてKO勝ちで初防衛。  2022年3月には若松佑弥とも対戦し、テイクダウン狙いに合わせたカウンターのギロチンチョークで3R 一本勝ちし、2度目の王座防衛に成功している。  対するDJは、モラエス戦後、2022年3月にnロッタン・ジットムアンノンとミックスルールで対戦し、打撃でも渡り合った上で2R、リアネイキドチョークで一本勝ちし、再起を遂げている。  再戦に向け、王者モラエスは、「証明するものは何もないと思う。もちろん、僕はMMAファイターだ。僕は自分自身に挑戦することが好きだし、チャンピオンとして、誰が目の前に現れてもベルトを守るだけだ。王座を守るための準備は来ている」とコメント。  対する挑戦者DJは、「僕のスタイルは決して変わらない。僕のスタイルは常に前向きだ。そして、MMAは、僕がこのスポーツで育ってきたように、ぶつかり合うものなんだろう? 闘いだ。レスリングと同じようにね。人間同士の闘いは常にある。だから、僕はただそこに行って、ペースを掴んで、戦うだけさ」と、アグレッシブに戦うとした。  フェイスオフでは、「チャレンジャー」と紹介されたDJが先に壇上に上がり待ち構え、続けて「チャンピオン」のコールにベルトを右肩にかけたモラエスがガッツポーズとともに歩み寄り、近距離で視線を合わせると、あらためて13cmの身長差を感じさせる対峙となった。しかし、モラエスは初回計量でハイドレーションテストを通らず。再計量でパスしている。体調はいかに。 “ミキーニョ”ことアドリアーノ・モラエスと“DJ”デメトリアス・ジョンソンの王座戦。  1R、ともにオーソドックス構え。先に詰めるDJは左ミドル、右ローから。スイッチするDJに、詰め返すモラエスは左ミドルハイ。モラエスもスイッチする。  詰めて左ミドルを当てるジョンソン。左ストレートを放つモラエスにDJはいったん後ろ手に組み、ノーガードを見せる。  DJの左の蹴りを掴んで持ち上げテイクダウンはモラエス! フルガードのDJはケージまで這うと上体を立てようとするが、金網から剥がすモラエス。DJは下から腕十字狙い。すぐに外すモラエス。  DJが首にかけた足も外し、上からヒジ狙い。DJは蹴り上げを狙うが、立たせないモラエスがヒジを打ち込みニアマウントでゴング。しかしDJも下からのヒジでモラエスの左目上をカット、出血させる。  2R、サウスポー構えから入るDJは、オーソに戻して左右を振る。右ミドルを当てるモラエスは右ハイ! 後退したジョンソンの組みからのドライブも切って、がぶりヒザを顔面に!  しかし立ち上がるDJ! 金網に押し込み左の蹴りもそれを持ち上げてテイクダウンはモラエス! フルガードのDJから片足を抜く。  足を戻すDJにパスガードのプレッシャーをかけ続けるモラエス。草刈から蹴り上げを突くDJにいったん立ち上がるモラエスもゴング。  3R、左ミドルを打つモラエスに、DJもサウスポー構えから左ミドル、さらに出入りでワンツーを突く。かわすモラエスもステップも、DJは左ヒザ! キャッチするモラエスに足を抜くDJが詰める。右ジャブで圧力をかけるDJに、サークリングはモラエス。モラエスの右にカウンターの右をDJが当てる!  モラエスの左右ローをさばき、押し込んでの右ヒジはDJ! 打撃で攻勢に立つDJは左ボディから右! しかしモラエスも相打ちの右を狙う。  右から左でプレスをかけ直すモラエス。DJの詰めを体を入れ替え押し込むと、バックヒジ狙い。かわしたDJが右で飛び込むと左カウンター狙い。しかしDJは右の飛び込みを当てる。追い込まれた2RからDJが取り返したラウンドに。  4R、右ミドルハイはモラエス。ブロックするDJを押し込むモラエスだが、すぐに体を入れ替えるDJ。突き離すモラエス。「DJ」コールのなか、詰め続けるDJはモラエスの組みに右ヒザを突く。  右で差して押し込むモラエス。金網背にしたDJにヒザを突くが、ヒザを突き返すとヒジで離れる。すぐにプレスをかけすDJ。今度はモラエスが金網を背に。離れるモラエス。  モラエスの右の跳びヒザでバランスを崩したDJだが、すぐに立ち上がる。左縦ヒジで飛び込むモラエスはDJの入りに右アッパーも。  しかし詰めるDJは、モラエスの左フックをかわして、右のショート! 下がるモラエスを金網に詰めて左の跳びヒザ! ヒザから崩れ落ちてダウンしたモラエスにDJは勝利を確信し追撃せず、背を向けた「ウォークオフKO」で右手を挙げた。  4R 3分50秒、36歳のDJが見事なKO勝ちで王座を獲得。大きな黄金のベルトに肩にかけ、その重さに後方に倒れてみせた。ONE世界フライ級新王者となったDJは5万ドルボーナスを獲得。  ケージのなかでMCのミッチ・チルソンからインタビューを受けたDJは、「MMAは進化している。とにかく前に出て手を出すことがゲームプランだった。ハーフガードで彼はパスガードできず、それ以上のことはできないから、だから自分がいい感じで(下から)エルボーが出せるだろうと。で、ご覧の通りだ! よし、よし! とにかくめちゃくちゃ頑張ったんだから、めちゃくちゃ気分いいよ。 (フィニッシュシーンを見返して)ずっとジムでボコボコにされてきたんだよ、アドリアーノに負けてから、これって初めてなんだけど『俺はこれを取り返さなきゃいけないんだ!』って思ったんだ。だから自分を危険な状態に追い込んだ。受け入れ難いことだったから。ジムでめちゃくちゃやり合って、なんて言うか、もう練習を越えてこじ開けていくような、『ゾンビ』って呼んでたんだけど、とにかく前へ前へと進んで行くっていう。うん、もうとにかくジムでハードに練習したんだ。 (「フライングニーで倒されて、ウォークオフKOで取り返す、こんなことある?」と聞かれて)心から信じてた、それは36歳になってもまだ成長できるってことを、だ。それは自分の周りにはチームがいるから。ジェームズ、トニー、AMCのみんな、グラップルクラブのみんな、そしてプロフェッサー・ヤン。自分はまだまだ良くなってるって実感してる。アドリアーノ戦のあと、ロッタンとの試合後、手懐けられた飼い犬のように殊勝にジムで練習してきた。負ける時は、負ける。勝つときは、勝つ、さ。だから(アドリアーノの)あの様子を見た時……よっしゃ!って感じた。ありがたいことだよ。 (5万ドルボーナスを獲得し)それで税金を払って、子供達の大学資金にあてて、あとどれくらい残るかな、妻に渡して、あとはー、まあコーラでもちょっと飲めるかな」と笑顔、北米でも放送されたONEで戴冠を語った。 [nextpage] ▼ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合 3分5R〇ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)王者 144.5ポンド(65.54kg) 1. 0091[1R 2分10秒 TKO] ※右カーフキック×リアム・ハリソン(英国)挑戦者 145ポンド(65.77kg)1. 0091※ノンオーが王座防衛  ノンオーはシンガポールのメガジム「Evolve MMA」に所属する32歳。262勝54敗10分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムでライト級のベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ・バンタム級王者となり、5月のバンコク大会では元SB世界スーパーライト級王者の鈴木博昭を2Rに腓骨を骨折させるなど、セーマペッチやロドレックを相手に5度の防衛に成功している。強豪ぞろいのONEで8連勝と負けなし。  ハリソンは13歳でムエタイを始めると15歳でプロデビュー。瞬く間に頭角を表し、2004年にWAKO-PROで-62kg級世界王座に就くと、2006年にはWPMF世界スーパーライト級王座を獲得。2007年にWMC世界ライト級王座に就くと、2014年にはWBCムエタイ世界ウェルター級王座も獲得した。増田博正、宮越宗一郎、野杁正明、大和哲也ら日本人選手との対戦も多く日本にもその名を知られている。  長年トップ戦線とYOKKAOなどの国際大会で活躍し、ONEには2018年12月から参戦。ペットモラコット、ロドレックに連敗を喫したが、2020年1月にモハメド・ビン・マフムードから初回KOを収めると、2021年10月の「Road to ONE: ムエタイGP」でブライアン・マティアスに判定勝ち、2022年4月にはムアンタイと1R僅か2分19秒の間に両者合計5度のダウンを奪い合う大激闘の末にTKO勝ちした。戦績は90勝(50KO)24敗2分。  試合は1R、ともにオーソドックス構え。前蹴り、左右ローから入るノンオーに対し、足を上げチェックするハリソン。ノンオーは、ジャブ、強烈な左ミドルを腕上に当てると、右カーフを蹴るなど対角線で攻撃する。  そして、ハリソンの右の蹴りをブロックすると、右カーフキック! ハリソンもノンオーの右の蹴りをスウェイでかわす。  左ミドルハイを右腕に当てるノンオー! これを受け続けるとガードが上がらなくなるが、ノンオーはさらに右カーフキック! 足が流れるハリソンはいったんは体勢を戻したものの、なおもノンオーは右カーフキック! ダウンしたハリソンは立ち上がれず。ノンオーがKO勝ちでV6を達成した。  黄金のベルトを肩にかけたノンオーは、「シンガポールのみんなありがとう。相手がハイキックをブロックしてきたので、ローが当たると思って、セコンドからもローで倒せという指示もあったんだ」と語り、今大会4つ目の5万ドルボーナスを獲得した。 [nextpage] ▼ONEムエタイ・フライ級ワールドGP準決勝 3分3R〇パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)135ポンド(61.24kg)1.0099[KO 2R]※左ハイキック×サヴァス・マイケル(キプロス)134.25ポンド(60.89kg)1.0136  当初、マイケルとロッタンがグランプリ準決勝を争う予定だったが、ロッタンがハイドレーション・テストの検体を提出できず、計量が許可されなかった。このため欠場となり、グランプリからも外された。代わってロッタンに元トレーニングパートナーだったパンパヤックが補欠戦から繰り上がり、マイケルと対戦することとなった。  パンパヤックは16歳でラジャダムナンスタジアムのミニフライ級王者になると、ラジャダムナンのライトフライ級王座、ルンピニーのバンタム級とフェザー級王座を獲得して4階級制覇。2013年から2015年まで、タイ国スポーツマスコミ協会が選定するムエタイMVPを3年連続受賞という前人未到の記録を打ち立てた。  ワンチャローン、スアキム、プラジャンチャイ、サムエー、スーパーレック、ガオナー、スーパーバンク、ロドレック、セクサン、センマニーらトップ選手にことごとく勝利し、2018年12月からONEに参戦。ルイ・ボテーリョと工藤政英に勝利するも、2020年7月にスーパーレックに敗れた。その後はチャムアックトーンに勝ち、2021年10月のONEではロッタンの代打としてダニエル・プエルタスに勝利している。戦績は247勝(34KO)41敗3分。  マイケルはアマチュアで2012年から2014年まで世界ムエタイ連盟ジュニアワールド選手権3連覇、2016年はユース世界60kg王座にも就いた。プロデビューは2013年11月で、2014年にWKU欧州王座、2016年にISKAムエタイ欧州王者、2017年にはWMC世界ライト級王座、2019年にWBCムエタイ世界同級王座を獲得。2018年にはワンデートーナメントのトヨタムエマラソンでライト級とスーパーライト級の2階級を制覇している。  タイを主戦場としてラジャダムナンやランシットのリングに上がって活躍。2019年5月にONEへ初参戦を果たすとシントンノーイに勝利したが、2戦目でルーシラーにTKO負け、2020年2月には内藤大樹に判定負け。2021年10月にイギリスでオスカー・クレスポにTKO勝ちして再起を果たすと、2022年5月のグランプリ準々決勝でアミール・ナセリを判定に降した。  1R、サウスポーのパンパヤックは右前蹴りから左ロー、マイケルは右ミドルを返し、太ももへの前蹴りを放つ。パンパヤックの左ミドルがマイケルの左腕にヒットすると歓声が沸き起こり、首相撲で崩してのヒザ蹴りにも歓声。パンパヤックも太ももへの前蹴りからワンツー、さらに左ミドル。  パンパヤックの左ハイはマイケルが肩口で受け止める。首相撲で華麗にマイケルをコカしたパンパヤックは、次に組むとヒジ打ちを見舞う。左ミドルも面白いようにヒットさせ、ゴングが鳴るとパンパヤックは“どうだ”と言わんばかりのアピール。  2Rが始まってすぐ、マイケルの前蹴りをさばいたパンパヤックがその右手で右フックを打ち、左側に注意をひきつけておいての左ハイキック。マイケルは左ミドルと読んでいたのか両手を下げており、これが見事に決まってマイケルはバッタリと倒れた。  鮮やかすぎるKOでスーパーレックに続いての決勝進出を果たしたパンパヤックは5万ドルのファイトボーナスを受け取り、飛び上がって大喜び。「今回はノンオーと練習したことによって力を磨くことができた。今回の試合では変わった自分を見せたかった。左のキックばかりというところで右フックでやってみせたのが嬉しい」と、ONEムエタイファイターとして進化したところが見せられたと語った。 [nextpage] ▼ONEヘビー級(※102.01kg)5分3R〇マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)257.75ポンド(116.91kg)1.0214[1R 1分04秒 ヒールフック]×キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)253.5ポンド(114.98kg)1.0148 “ブシェシャ”のニックネームで知られる柔術世界王者マーカス・アルメイダ(ブラジル・30歳)がONEでMMAデビュー。2019年のムンジアル(IBJJF主催・ブラジリアン柔術世界選手権)ウルトラヘビー級&無差別級優勝など、13度ものムンジアル優勝を誇る。  2021年9月にONEデビューし、ストライカーのアンダーソン・シウバに1R、ノースサウスチョークを極めて一本勝ち。12月にカン・ジオンをリアネイキドチョークで極め、2022年6月にサイモン・カーソンをパウンドでTKOに下し、3連勝をマークしている。  グリシェンコは、MMA5勝1敗。グレコローマンレスリング出身でONEでは、オマー・ケインとジャスティン・ジョインソンに勝利したものの、2022年2月のONEヘビー級暫定世界王者決定戦では、アナトリー・マリキン(ロシア)に2R、右フックのダブルを受け、KO負けしている。  1R、ともにオーソドックス構え。ブシェシャは右カーフキックから。さらに右フックを強振。グリシェンコに低いダブルレッグに入ると、捨て身気味に引き込み。  グリシェンコの左足を掴んで外ヒールフックに! 左腕を差し込んで外がけを防ごうとするグリシェンコだが、ブシェシャは外ヒールフックで内側に捻ってグリシェンコを倒すと回転して極めた。  試合後、ブシェシャは捨て身気味となった引き込みに「正直、プランにはなかった。テイクダウンでバランスを崩して足を掴んだ。キリルが試合を受けてくれて感謝したい。ここ3週間は人生で最も辛かった。親友を亡くし(レアンドロ・ロ)、彼は天国で見守ってくれていると思っている。まだ次のことというより、この3週間、ハードにやってこれたことを思うよ。(5万ドルボーナスの発表に)これからもMMAファイターとして、柔術の良さを見せていきたい」と語った。 [nextpage] ▼ONEヘビー級(※102.01kg)5分3R〇アミール・アリアックバリ(イラン)258.75ポンド(117.36kg)1.0195[2R 4分02秒 TKO] ※パウンド×マウロ・チリリ(イタリア)259.5ポンド(117.7kg)1.0226  RIZINで4勝1敗の元グレコローマン・レスリング世界王者アミル・アリアックバリ(イラン)。MMA戦績は10勝3敗で、黒星のひとつは2016年の大晦日の「RIZIN無差別級トーナメント決勝」でミルコ・クロコップに1R KO負けした試合。そして、もうひとつは、2021年3月の前戦、ONEでカン・ジウォン(韓国)に左フックで逆転のKO負けを喫している。  2021年3月にONEデビューし、カン・ジオンに1R KO負けすると、9月にアナトリー・マルキンに1R TKO負けでまだONEで白星が無い状況。  対するチリリは、14勝4敗。チリリは、元ケージ・ウォリアーズヘビー級王者。柔道でイタリアの全国ユース選手権で優勝。BJJも学び、2012年にプロデビューし、MMA13勝4敗。2015年にONEデビュー後は、圧巻の5連勝も、ブランドン・ヴェラが持つヘビー級世界タイトルへの最初の挑戦は失敗。2019年3月のンガラニ戦で1R TKOで再起を果たし、10月のアルジャン・ブラー戦では判定負けを喫した。2021年1月の前戦では、アブルバシール・バガボフ(ロシア)を2R TKOに下している。  1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るアリアックバリ。チリリの右ローにカウンターの右を狙う。チリリ左の打ち終わりに右を当てるアリアックバリ。  チリリは右カーフキック! アリアックバリはその2発目をキャッチしてテイクダウン、バックテイク。立ち上がるチリリのスタンドバックにつき崩して両手を着かせてパウンドしつつ、立ち上がると再三崩していく。  後方に崩してパウンドするアリアックバリに、離れるチリリを追って背中を着かせるアリアックバリはサイド奪い、クルスフィックスでパウンド、アメリカーナ狙い。さらに右腕を外してヒジ打ち! チリリが亀になったところでゴング。  2R、息が上がる両者。左ジャブから左右フックのアリアックバリに、チリリは左をヒット! アリアックバリはマウスピースを吐き出す。再開。右で前に出るチリリ。アリアックバリの右を左にかわして右を当てる。  しかしアリアックバリがダブルレッグテイクダウン! ハーフガードで押さえて左ヒジ。キムラを狙いながらボディにパンチ。再び右腕を左足で押さえつけてヒジを打ち下ろすと、ハーブ・ディーンレフェリーが間に入った。アリアックバリはONE初勝利を挙げた。 [nextpage] ▼ONEムエタイ・フライ級ワールドGP準決勝 3分3R〇スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)135ポンド(61.24kg)1.014[1R 1分35秒 KO] ※左縦ヒジ×ボルター・ゴンサルベス(ブラジル)135ポンド(61.24kg)1.0226  スーパーレックは、ルンピニーのフライ&バンタム級王座、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座のほか数多くのタイトルを獲得した名選手。2012年にはタイのスポーツ省が認定するムエタイMVPにも選ばれている。2017年6月、2018年8月と2度来日経験があり、ヤスユキにハイキックでKO勝ち、小川翔にヒジによるカットでTKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけた。 ONEでは2020年7月大会でONEムエタイ世界フライ級1位にいたパンパヤックを判定3-0に破り、変わらぬ実力を発揮。9月にはファディ・カレッドにも難なく勝利して2連勝で、2021年2月にイリアス・エナッシが保持するONEフライ級 キックボクシング世界タイトルに挑んだが、判定3-0で敗れている。2022年5月のグランプリ準々決勝では内藤大樹を判定3-0で退けた。戦績は129勝29敗4分でKO数は不明。  ゴンサルベスは2016年頃からタイを主戦場とし、MAXMUAYTHAIやエクストリームムエタイで活躍。2017年にP-1トーナメントで優勝すると、2018年3月にはWPMF世界ライト級王座を獲得。2018年6月にはエクストリームムエタイ-60kg王座も獲得した。 2019年10月にONE初参戦を果たすといきなりロッタンのONEムエタイ世界フライ級王座に挑戦したがスプリット判定負け、2020年12月にはMOMOTAROにTKO負けと連敗。しかし、2022年5月のグランプリ準々決勝ではホセ・クルスを初回TKOに破って準決勝へ進出した。戦績は72勝(36KO)6敗。  1R、サウスポーのゴンサルベスにスーパーレックは右インロー、ゴンサルベスはオーソになって右カーフを蹴ってスーパーレックを転倒させる。今度は右ローを蹴るスーパーレックに右縦ヒジを打ち、右のボディ。  入り込んで左縦ヒジを打ってきたゴンサルベスにスーパーレックは左縦ヒジを合わせ、ダウンするゴンサルベスだがすぐに立ち上がり“効いてないよ”のポーズ。しかし、一気に詰めるスーパーレック。ゴンサルベスは左右ロングフックで対抗するが、一度右の縦ヒジを打ったスーパーレックはゴンサルベスのガードの隙間を縫うような左縦ヒジでダウンを奪い、ゴンサルベスは立つことが出来ず。スーパーレックの圧勝に終わった。 「相手がストイックなファイターだと知っていたので対応する準備をしてきました」というスーパーレックは5万ドルのファイトボーナスを獲得。満面の笑みを浮かべた。 [nextpage] ▼ONEムエタイ58kg契約 3分3R〇ディアンドラ・マーティン(豪州)127.5ポンド(57.83kg)1.0148[判定3-0]×アンバー・キッチン(英国)127.5ポンド(57.83kg)1.014 [nextpage]  柔道出身の平田樹は、2019年にONEでプロデビューを果たし、MMA5戦無敗から、2022年3月の『ONE X』で、ジヒン・ラズワンと対戦し、スプリット判定で敗北。プロ初の黒星後、今回は初めて試合直前まで米国で調整を行い、セラBJJ、ロンゴ&ワイドマンMMA、アルティメット・ジム等でファイトキャンプを敢行した。  初回計量では平田、ホーチンともにパスできず再計量へ。ホーチンは体重と尿比重値の両方をパスも、平田がまさかの計量ミス。  試合は両者の合意により、119ポンド契約のキャッチウェイト戦での実施が決定。平田の報酬の50%がホーチンに渡されることになった。  対するホーチンは散打出身、プロMMA15勝3敗1分で、ONEのMMAでは2勝1敗。2022年3月にはONEキックボクシングルールにも挑戦し、ミラグロス・ロペスに遠間からの左の打点の高い前蹴り、右ストレートを当てて判定勝ちを収めている。  ONE MMAではジョマリー・トーレスに三角絞めで一本勝ちと、ビー・ニューイェンに判定勝ちも、レスラーのリトゥ・フォガットにはテイクダウンを許し判定負けを喫している。 ▼ONE女子アトム級(※52.2kg)→119ポンド契約 5分3R〇平田 樹(日本)119ポンド(53.97kg)1.0124 ※体重超過[判定3-0]×リン・ホーチン(中国)114.75ポンド(52.05キロ)1.016   平田のセコンドにはアルティメットジムのネスタコーチ。アーセン、平田直樹がつく。  1R、身長差10cm、ともにオーソドックス構え。左ローから入るホーチンはジャブ&右ローも。遠間に立つ平田にワンツーを伸ばすホーチン。右ローを打つが平田はチェックせず。ホーチンはジャブ。平田は右を振ってシングルレッグで尻餅を着かせるが、ホーチンはすぐに立つ。  ホーチンの左の打ち終わりに組もうとする平田。そこは察知するホーチン。右ローをかわす平田。打ち終わりに胴に組む形になった平田はボディロックから右で差して腰に乗せて投げようとするが、片ヒザを着かせてゴング。  2R、ジャブ&右ローで圧力をかけるホーチン。右ローを2発ヒット。平田の左前足が赤くなる。右の後ろ廻し蹴りも見せるホーチン。右でいきなり飛び込む平田だが、かわすホーチン。飛び込み引き手をつかんだ平田に右ヒジはホーチン! 引き手も外して距離を取る。  前足に左右からローを当てるホーチンは左ジャブ。平田は右を伸ばすも単発。左インローはホーチン。低いタックルも差し上げるホーチンは金網背に。内股から小内でテイクダウンは平田! すぐに立ち、バックを狙うホーチンに平田はキムラクラッチから回してストレートアームバーからキムラロックに。下になるホーチンだがゴング。ニアフィニッシュと取れるか。平田は両手を広げてアピールする。  3R、長い左ジャブを上下に突くホーチン。さらに左インロー。ホーチンはヒザ蹴りのフェイントも見せる。右ローを突くホーチンに遠間から足を手繰り金網まで押し込み、右で差して前方に振ってバックを狙う平田。正対したホーチンに首を抱える平田だが、体を入れ替えるホーチンは首を抱えられながらも右ヒザ!  片腕で首を抱え、払い腰テイクダウンは平田! しかし押さえ込めず立ち上がりがぶりのホーチンは離れる。  再び組み付く平田だが、切るホーチンはジャブ&ロー。さらに右を振るが、そこに平田はカウンターの右をヒット! ダウンしたホーチンに、一瞬両手を広げてアピールする平田。亀になるホーチンにパウンド連打し、ハーフガードになるホーチンに平田はなおもパウンド連打。ゴングが鳴ると、マウスピースを飛ばして咆哮した。  判定は3-0で平田が勝利。最後の最後で勝利を手繰り寄せた平田は、ケージの中で、「5分3Rに絶対になると思っていました。『最後1分』と聞いていままでの練習の成果を出そうと思いました。コーチとチームメイトと対策を練ってきました。(最後の右は)来ると分かっていて、得意な右をいっぱい練習しました。(次は?)前回、めちゃくちゃ悔しい思いをした、ジヒン、もう1回やろう!」と、前戦で敗れたジヒン・ラズワンとのリマッチを希望した。 [nextpage] ▼ONEウェルター級(※83.9kg)5分3R〇ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)188.5ポンド(85.5kg)1.0241 ※体重超過[1R 0分57秒 KO] ※右アッパー×ユーリ・ラピクス(モルドバ)185ポンド(83.91kg)1.0244
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