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亀田興毅が那須川天心戦を終えて「亀田興毅ができる全てのことを出して終わることができた」ボクシングへの想いも熱弁

2019/06/23 02:06
亀田興毅が那須川天心戦を終えて「亀田興毅ができる全てのことを出して終わることができた」ボクシングへの想いも熱弁

那須川との試合後、亀田はやり切った表情でコメントした 撮影/安村発

 2019年6月22日(土)『1000万円シリーズスペシャルマッチ 那須川天心vs亀田興毅』(AbemaTV)で、RISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)がプロボクシング世界三階制覇・亀田興毅とAbemaボクシングルールで対戦した。

 試合後、亀田は報道陣に次のようにコメント。自身の最後の試合であること、那須川と戦った感想、そしてボクシングへの想いを語った。


「試合が終わって一番は清々しい気持ちですね。もう終わったな、という。去年の試合に出た時は次もちょっと頭の中に考えがあったけれど、今回に関してはもうないから終わったなっていう。戦いながらも楽しい気持ちもあるし、寂しい気持ちもあるし。でもこれからの格闘技界を引っ張っていく、格闘技界の中心でやっていくファイターと引退したボクサーと、拳を交えるということも凄い嬉しいことやし。

 こういう戦いってなかなか実現させるのが難しいんですよね。いろいろなものを乗り越えて、多少は批判もあるし、いろいろなものがある中で実現した。でも批判もあってその中でもこの試合を引き受けてやったというのは、自分なりに格闘技界に伝えたいものがあったし、これから格闘技界全体が盛り上がってきてくれればと思っているから。


 ボクシングだけが盛り上がったらいいってわけではないんですよね。ボクシングも、キックボクシングも、総合格闘技も、全てリングものがひとつになって戦って、それでも野球やサッカーには勝てないんですよね。だから今、これからの格闘技界っていうのは、もっと横のつながりをもってみんなで力を合わせて巨大な野球やサッカーと戦っていけるようなメジャーコンテンツに格闘技がなっていけばいいな、と。

 今日の戦いも自分なりのこれからの格闘技界に対して伝えたいことでもメッセージでもあるし、やっぱり今日の戦いをみんな注目して見てくれたわけで。ただ、元ボクサーとして世界チャンピオンとして、もうちょっといい戦いが見せられたらよかったんですけれど、さすがに衰えにはかなわないかな。そういうところもあります。


 でも凄く楽しかったし、天心君は戦っていて思ったんですが頭もいいし、勘もいい選手ですよ。だからこれからどういう風な格闘技の道を進んでいくのかわからないですけれど、未来は明るいんじゃないですか。

(那須川は)距離感がうまかったかな、というのがありますね。しっかり自分の距離を保って、その自分の距離を崩さずに戦い抜けるのが凄いと思いますよ。

 本来は1人で2つを追うのは難しいんですけれど、大谷選手とか投げながらバッターをやっている。ボクシングをやったりキックボクシングをやったりというのはひとつの身体なので難しいんですけれど、キックは小さい時からやってきているでしょうから、まずはキックでどのベルトを獲りたいのか分からないけれど、早い段階でボクシングをやった方がこれから先を考えたらそっちの方がプラスになるんじゃないかと個人的には思うんですけれどね。どっちも両方行き来をしてもいいと思うんですよね。でも両方行くのは天心君の身体が心配。本人がいけるというなら両方いくのもいいと思いますけれど。


(試合直前にあったJBCの表明について)JBCさんが言っている意味も分かるんですよ。競技を食い物にするなっていう風になってくるんですよね。ずっと守っているものがあるから。それを全く知らんところでこういうのを認めると、いろいろなところでボクシングというものを使ってイベントができるじゃないですか。JBCというものが必要ではなくなってくるし、ジムがバラバラになってくる。そうなると誰が責任とるんや、と。そういう風になるんです。それはわかっているんです。


 だから全部分かったうえで、ヘッドギアを着けてグローブも大きくして出ようよと。あくまでも見え方としてはスパーリング。これっていろいろなところで行われているんですよね、スパーリング大会って。おやじファイトっていうのもそうじゃないですか。あれはいいのか。なんで天心君と自分の試合はダメなのってなってくるじゃないですか。

 だから自分は間を取ってこれでやって。自分はボクシングの世界チャンピオンという誇りを持ってリングに上がりますよ。最後は興奮してヘッドギアを取ってしまいましたけれどね。それは申し訳ないと思いますけれど。でも本来はヘッドギアを着けて、大きいグローブを着けて、言わばボクシング風じゃないですか。あくまでもボクシングじゃないから。というところで、ギリギリのラインなんですよ。


 そのギリギリのラインで、自分は今ボクシングの競技人口が減っているから、そこに新規のファンを取り入れるためにやったつもりなんですけれどね。それがやっぱりボクシング界的にはよくないと言うのなら仕方がないし、そこに反論するつもりもない。だから自分としては個人的なそういう思いで、ボクシングというものをもっともっとこれから盛り上げていきたいなと。


 たまにこういう刺激的なものがあって新規を入れる。でも新規が入った時に、みんながボクシング面白いな、カッコいいなって来た時に中がしっかり体制がとれていなかったら、バラバラやったら、せっかく来た人間も離れていくじゃないですか。飲食店もそうですよね。ここ有名やおいしそうやって行って、まずかったり接客が悪かったら次に行かないじゃないですか。でもおいしかったらそこのファンになってリピーターになるのと一緒で、ボクシングだってこういう企画があって、亀田と天心の試合面白かった、楽しかった、僕もボクシングやってみようと入ってきた人たちが、今のボクシング業界の体制やったら続くのかなって不安はあります。だからまずは体制だけ作り上げた方がいいんじゃないかなって個人的には思います。


 もうさすがに戦わないですよ。亀田興毅劇場は終幕ですよ。よかったですよ、終わらすことができて。でもこれからいろいろなことを、今のボクシング界におる人たちともっと歩み寄って、みんなの意見を聞きたくて、気持ちをひとつに作っていかないといけないのかなって。自分一人で作るのはできないし、そんなに偉い人間でもないし、そんな立場もないし。だから皆さん、ボクシング界の重鎮と言われる方がいっぱいいてるじゃないですか。そういう人たちと力を合わせてみんなで意見を交換し合って、いいものを作っていけたらなと。

 自分が客観的に見てバラバラになってるじゃないですか。誰がこのピラミッドを作って誰がここにおってというものがないわけじゃないですか。そういうものをしっかり確立していかないと。みんなそれぞれが個々にやっている状況が自分はよくないと思います。


(父・史郎氏がセコンドに就いたこと)親父とちっちゃい頃からボクシングを始めてここまで来ましたからね。だから最後のリングも一緒に上がることができて凄く楽しかったです。いい思い出になりましたよ。試合の時は親父の声しか聞こえない。そういう耳になっているから。これが相手がめちゃめちゃ弱い相手だったらぱっとせえへんけれど、凄く強い選手で今格闘技界で一番注目されていてこれから背負っていく選手と、ああして一緒の場で戦えたのは嬉しいですよ。


 凄い楽しかったですね。今の自分、6月22日の亀田興毅ができる全てのことを出して終わることができたので、これだけ多くの人に見てもらえて嬉しい限りです。これからはもっともっと強い選手がいっぱいいてるんで、そういう人たちの応援をしてあげてもらえたら、と思います」

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