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【K-1 KRUSH】無敵ピケオーが神保を圧倒して5度目の防衛に成功、江川優生は圧巻の初回KOで初防衛

2019/06/21 20:06
K-1 KRUSH FIGHT.1022019年6月21日(金)東京・後楽園ホール ▼ダブルメインイベント第2試合(第8試合)K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ウェルター級タイトルマッチ 3分3R・延長1R〇ジョーダン・ピケオー(王者/オランダ/マイクスジム)判定3-0 ※30-28×3●神保克哉(挑戦者/K-1ジム目黒TEAM TIGER)※ピケオーが5度目の防衛に成功。  ピケオーは2015年5月に初来日し、当時国内トップの実力者だった佐藤嘉洋をKOして注目を集めた。同年7月の『K-1 WORLD GP -70kg初代王座決定トーナメント』では決勝でマラット・グレゴリアンに敗れるも、1回戦と準決勝はKO勝ちして準優勝。その後は現在までチンギス・アラゾフに敗れたのみで、日菜太、木村“フィリップ”ミノル、野杁正明といった国内強豪たちを軒並み撃破し、日本人相手に無敗を誇る。今回が5度目の防衛戦。戦績は45勝(20KO)7敗1分。 挑戦者の神保は第4回K-1チャレンジAクラス -70kgで優勝して、2015年6月にプロデビュー。2018年1月に第3代K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ウェルター級王者の中島弘貴を破る金星を得て、昨年12月にはJ-NETWORKスーパー・ウェルター級王者の平塚洋二郎をKO、今年3月には4連勝と絶好調だった藤村大輔を破って連勝を飾った。戦績は8勝(4KO)3敗1分。 1R、じりじりと前に出るピケオーに神保は右へ回り込む。神保の右がピケオーの顔面を捉えるが、すぐにピケオーが3連打。ピケオーはジャブを突き、ヒザ蹴りやハイキックにつなげる。神保はピケオーの連打に左フックを打ち返し、場内がどっと沸いた。 2R、ピケオーのジャブに右ストレート、左フックを打ち返す神保。ピケオーが連打からのヒザ蹴りで詰めてくるとパンチで打ち合いを見せる。ピケオーはボディブローとヒザ蹴りを連打の中に交えてボディを攻める。ピケオーのフックをもらうと負けじと左右フックを打ち返す神保。右フックに腰が落ち、ピケオーの連打を浴びるが、それでも神保は打ち返す。ピンチに耐える神保は右ハイを返した。  3R、顔を真っ赤に腫らした神保へピケオーは容赦なくジャブを当てに行く。ピケオーの強烈な左フックからの右フックに崩れ落ちる神保だったが、しがみついてダウンを逃れる。パンチで必死の抵抗を見せる神保だが、もはやスピードがない。ピケオーはかわして逆にパンチを打っていく。神保はハイキックで逆転を狙ったが、ピケオーはその神保の攻撃をかわして試合終了。  判定3-0でピケオーが5度目の防衛に成功した。ピケオーはマイクを持つと「次は久保のベルトを狙いに行くので待っていてください」と、K-1 WORLD GPウェルター級王者・久保優太に挑戦宣言。  すると久保がリングに上がり、「防衛おめでとうございます。3月から練習していなくて、最近バタバタ忙しいので、いずれピケオー選手と組まれることがあると思うので、その時は僕も頑張ります」と事実上、挑戦を受けると承諾。  ピケオーも「試合が終わったばかりだが、久保選手が同じリングにいる。そして僕の挑戦を受けてくれるようですが、今すぐはできないのでお互いに練習してからやりたいと思います。久保選手は特別に凄い選手ではないので練習して必ずKOします」と、KOでK-1王座はいただくと言い放った。 試合後のインタビューで神保は「印象は拳が硬いくらい。もっと打ち合った方が勝機があったかと思います。でも行けなくて…。絶対にピケオーにはやり返します」とリベンジを誓った。 ピケオーは「スパーリングくらいの気持ちだった。もっとガンガン来ると思ったらリングを回るばかりでガッカリした。神保は判定で勝とうと打ち合う気はなかったので、打ち合ってくる試合をしてくれれば自分も前に出たが、結果的にそういう試合になることはなかった」と、神保の戦い方に不満を漏らす。  K-1王者・久保への挑戦については「次に挑戦できれば嬉しく思う。彼は強い、打てば打ち返す選手だ。神保は打たれるとすぐに逃げる、そういうスタイルだ。和島、木村、野杁は打ち合いをしてくれた。そういう試合をしてくれるとお客さんが喜ぶ激しい試合ができる。久保もそういう試合をしてくれると思うので楽しみだよ。次の目標は日本に来て久保をKOしてベルトを奪うことだ」と、改めて挑戦を熱望した。 [nextpage] ▼ダブルメインイベント第1試合(第7試合)K-1 KRUSH FIGHTフェザー級タイトルマッチ 3分3R・延長1R〇江川優生(王者/POWER OF DREAM)KO 1R2分14秒 ※3ノックダウン●TETSU(挑戦者/月心会チーム侍)※江川が初防衛に成功。 江川は幼少期からボクシングと空手を学び、2013年10月に高校生でプロデビュー。2014年10月からKRUSHを主戦場にし、今年1月の12戦目で西京春馬を破り王座を奪取した。戦績は10勝(6KO)2敗1分。 挑戦者のTETSUは2018年8月のKrush名古屋大会から参戦を果たし、その試合では敗れたものの、その後は3連勝。今年2月にキャリアで大きく上回る佐野天馬を破ると、4月にはタイトル挑戦に最も近い位置にいると見られていた伊澤波人に番狂わせの勝利を収めて今回のチャンスを得た。  1R、序盤から強打をさく裂させる江川。右フック、左右ボディでTETSUにコーナーを背負わせる。TETSUは江川の左フックで大きくグラつき、江川が詰めて右を放つとTETSUがダウン。TETSUはパンチとヒザ蹴りで反撃するが、右フックで2度目のダウン。飛びヒザ蹴りで逆転を狙ったTETSUだったが、左アッパーで3度目のダウン。江川が圧倒的な強さを見せつけ、KOで初防衛に成功した。  試合中は冷静そのもの、無表情だった江川だったが、KO勝ちが告げられると喜びを爆発させた。  江川はマイクを持つと「勝負の世界だから少し残酷な結果になってしまいましたが、TETSU選手はまだ若いので頑張ってまた挑戦してきてください」とTETSUにエールを送り、「次こそはK-1で試合を組んでください。次はウチのジムの武居由樹君が両国大会に出るので応援よろしくお願いします」と、K-1出撃を直訴した。  試合後のインタビューで江川は「3回倒されて立ってきたTETSU選手の根性は凄い。タイで準備してきた蹴りが出せなかった。会長からはもっと蹴りを出せと言われました」苦笑。そして「K-1に向けて大きな一歩になったと思います。K-1で村越選手とやりたい」と改めてK-1 WORLD GPフェザー級王者・村越優汰への挑戦をアピールしていた。 [nextpage] 6月30日 両国大会スペシャルデモンストレーションゲーオ・ウィラサクレック、安保瑠輝也 ミット打ち  6月30日(日)東京・両国国技館にてK-1 WORLD GPスーパー・ライト級タイトルマッチで対戦する王者ゲーオ・ウィラサクレックと挑戦者・安保瑠輝也が公開デモンストレーションを行った。  2分間のミット打ちを行った安保は「2分間のミット打ちに大阪からやってきました。絶好調なので、あとはゲーオをぶっ飛ばしてベルトを巻くだけです」とマイクアピール。  同じく2分間のミット打ちを行ったゲーオはミットを蹴る快音で場内をどよめかせ、ウィラサクレック会長のローキックを受けて1回転するパフォーマンスで場内は沸く。最後はなぜかゲーオのヒジ打ちでウィラサクレック会長がダウンして終了。  場内を温めたゲーオは「ファンの皆さん、私はこのためにタイから来ました(実際は台東区)。ミットを打って、あとは本人を蹴るだけです。応援よろしく」と笑顔で安保を一蹴するとアピールした。 中澤純(TEAM Aim high)引退セレモニー  第5代K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級王者として、K-1 WORLD GPでも活躍した中澤純の引退セレモニーが行われた。  花束贈呈を受けた中澤は「僕の格闘技キャリアを一言で表すと、現役生活はつらかったけれど楽しかった。今は間違いなく幸せだったと感じております。夢を本当に追いかけると、夢が叶うか叶わないかは分かりませんが、幸せには100%なれます。最後に、現役ファイターにひとこと。セカンドキャリアについて。俺には格闘技しかない、これしかやる時間がないと思っているでしょうが、1日30分、時間は作るものだと思うので、外の世界を勉強して好きな格闘技を続けられるファイターになってくれることを祈っています」と語った。  最後には10カウントゴングを聞き、中澤はリングから降りた。 ▼第6試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級 3分3R・延長1R〇瑠久(K-1 GYM横浜infinity)判定3-0 ※30-29、30-28、30-28×堀井 翼(ネクサスジム)  瑠久はK-1甲子園2017-65kg準優勝の実績を持ち、プロデビューから5連勝を記録。今年3月の『K'FESTA.2』にて、K-1甲子園の決勝で敗れた近藤魁成と再戦を行ったがKO負け。プロ初黒星を期した。これまでウェルター級で戦ってきたが、今回はスーパー・ライト級に階級を落としての再起戦に臨む。戦績は5勝(2KO)1敗。  対する堀井は3月にKRUSHデビューし、試合開始前に相手に背中を向けつつ身体をそらしてメンチを切るというパフォーマンスを見せ、試合でも倒し倒されのシーソーゲームの末に劇的なKO勝利を収めた。K-1公式YouTubeチャンネルで公開された試合動画は短期間に驚異の再生回数60万回を記録している。戦績は5勝(4KO)3分。 両者は前日会見で乱闘騒ぎを起こし、会見が中止になるという事態に。因縁は最高潮に達している。  堀井はエビ反りメンチ切りを封印。1R、瑠久は右へ回り込みながら右ローを蹴っていく。堀井の左フックにはさらに強い右フックを返し、右ローへつなぐ。堀井は2度のローブローに苦しむが、左のパンチを狙う。瑠久はロングの距離から右を連続ヒット。左ボディも決めた。  2Rも右ローを蹴っていく瑠久。左ミドルから打ち合いに行くと堀井も左右フックで打ち合う。瑠久の入り際に左フックを合わせる堀井だが、瑠久のスピードについていけない様子。瑠久はバックスピンキックも繰り出した。  3Rもスピードを活かして攻めていく瑠久。打ち合いになると堀井もフックを当てに行くが、手数に差がある。堀井は思い切って左右フックを振り回すが、瑠久も右を打ち返す。最後は打ち合った両者、試合終了するとお互いの健闘を称えて抱き合った。瑠久が判定勝ちで因縁の対決を制した。 [nextpage] ▼第5試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級 3分3R・延長1R×FUMIYA(ポゴナ・クラブジム)TKO 2R1分57秒 ※セコンドからのタオル投入〇近藤拳成(大成会館)  昨年、王座決定トーナメントにも抜擢されたFUMIYAだが現在は3連敗中。今回は再びスーパー・ライト級のベルトを目指すべく、再起を賭けた一戦となる。対する近藤は昨年5月の『KHAOS.5』以来、約1年ぶりの復帰戦。これまでライト級で戦ってきたが、スーパーライト級に階級を上げて、ひさびさの戦いに臨む。  FUMIYAは前日計量をクリアーすることができず、減点2からのスタート、FUMIYAは10オンス、近藤は8オンス着用のグローブハンデ戦となった。  1R、笑顔を浮かべながら前へ出て圧をかけるのはFUMIYA。近藤は前蹴りと三日月蹴り気味の左ミドルでボディを攻めていき、ラウンド終了間際、近藤が右ストレートを真正面から叩き込んでダウンを奪う。  2R序盤、近藤が右フックでFUMIYAを吹っ飛ばす。FUMIYAは鼻から出血。近藤はボディへのフェイントから左フック、右ストレートで鮮やかにダウンを奪い、右の連打でFUMIYAが座り込んだところでFUMIYAのセコンドがタオルを投入。近藤が豪快なTKO勝ちを飾った。  近藤はマイクを持つと「仕事がある中で減量が大変なのは少し分かるのでありがとうございました。兄弟でやってきたのでK-1の大阪大会に弟の魁成と一緒に出たいです。あと今日は妹が誕生日なので誕生日おめでとう」と、兄弟の仲の良さを示した。 ▼第4試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ウェルター級 3分3R・延長1R〇小鉄(K-1ジム目黒TEAM TIGER)判定3-0 ※30-28、30-28、30-27●平塚洋二郎(チーム・タイガーホーク/大道塾仙南支部) 小鉄は昨年5月のKHAOSで平山迅にKO負けを喫して以来の1年振りの復帰戦。破壊力のあるパンチを持ち、山本優弥やK-JeeをKOで葬っているが、現在は6連敗と絶不調。戦績は12勝(8KO)15敗。 対する平塚は総合武道・空道の選手で、2013年『北斗旗全日本空道体力別選手権大会』の-260クラスで優勝している。近年はキックボクシングに挑戦し、2018年10月にはJ-NETWORKスーパーウェルター級王者に。昨年12月のKRUSH初参戦では神保克哉にKO負け。小鉄同様に今回が再起戦となる。戦績は4勝(1KO)3敗。  1Rはお互いに慎重な出足。時折、強い右ボディストレートを放つ小鉄。平塚は小鉄の打ち終わりを狙って左右フック。2Rは前蹴りを多用して小鉄が入ってくる際にパンチを狙う平塚。小鉄は右ロー、左ミドルを蹴って右のパンチへつなげる。小鉄の細かい連打からの右ローに平塚は身体を折り曲げる。  3R、小鉄のパンチからの右ローに足が泳ぐ平塚。パンチと右ローで抵抗する平塚だったが、小鉄のローで痛めつけられる。判定3-0で小鉄が勝利を収めた。 [nextpage] ▼第3試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・バンタム級 3分3R・延長1R×龍斗(K-1 GYM横浜infinity)判定0-3 ※29-30、28-30、28-30〇黒田勇斗(隆拳塾)  1R、黒田が左ミドルと右ストレートでボディを攻めていき、龍斗は先手を取る黒田に右ストレート、右ローを返していく展開。2Rも龍斗がパンチ、ヒザ、左ミドルでボディ責め。終盤には攻撃をまとめて優勢を印象付ける。  3R、龍斗は手数が足りなく後手に回る場面が多く、黒田が攻めてくると右ストレート、左フックをリターンで当てに行くが、黒田が手数多く積極的に攻めて判定勝ちした。 ▼第2試合 K-1 KRUSH FIGHTフェザー級 3分3R・延長1R〇森坂 陸(エスジム)判定3-0 ※29-28、30-28、30-28×髙橋直輝(若獅子会館)  1R、高橋は強い右ローを蹴りつつワンツー、左フックとパンチを狙っていき、森坂は右ローと左ミドルで様子見。2Rは前に出る森坂にフットワークを使って距離を取り、パンチを当てていった高橋だが、中盤を過ぎると森坂のボディ攻めに苦しそうな表情を浮かべる。  3R、高橋はパンチを繰り出して森坂の左ミドルに対抗。ボディが苦しそうだが顔面へパンチを放っていく。森坂の連打をもらった高橋がワンツーを放つと、その勢いで前に倒れ込みこれがダウンと判断された。高橋は挽回しようとパンチを打つが、ダウンが決め手となって森坂の勝利となった。 ▼第1試合/K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R×川口拓真(K-1ジム総本部チームペガサス)KO 3R3分03秒 ※右ストレート〇佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST) プロではライト級を主戦場に戦ってきたK-1カレッジ2017 -65kg王者・佐野がスーパー・フェザー級に転向。毎回タフファイトを見せる川口との対戦が決まった。川口は「K'FESTA.2」で友鷹にKO負けを喫し、現在4連敗中。佐野も昨年11月の塚本拓真との試合はドローに終わり、怪我を乗り越え、階級を変更して出直しの一戦となる。戦績は川口が5勝(3KO)7敗、佐野が1勝(1KO)1敗2分。  1R、ローの蹴り合いで佐野がより強い右ローを蹴っていき、川口は顔面ガードを固める佐野に左ボディを命中させる。川口が左ボディフックからの右フック、そして右ストレートで佐野を大きくグラつかせた。  2Rは佐野がジャブを多用して持ち直し、3Rはジャブに加えて右ストレートを何度も当てていく。右ストレート3連打で佐野がダウンを奪い、右ストレートで2度目のダウンを追加したところでレフェリーが試合を止めた。 ▼プレリミナリーファイト第3試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ライト級 3分3R〇斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)TKO 1R1分32秒 ※カットによるレフェリーストップ×竹腰一麻(Club TOSHI) ▼プレリミナリーファイト第2試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・ウェルター級 3分3R×渡邊俊樹(優弥道場)KO 1R1分17秒 ※3ノックダウン〇EITO(HALEO TOP TEAM) ▼プレリミナリーファイト第1試合 K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級 3分3R〇秀樹(レンジャージム)KO 2R1分51秒 ※左ストレート×提髪和希(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
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