2022年7月31日「RIZIN.37」さいたまスーパーアリーナ大会のメインイベント「RIZINスーパーアトム級(49kg)ワールドGP1回戦」で対戦した、伊澤星花(フリー)とブラジルのラーラ・フォントーラ(Constrictor Team)が、試合後の個別インタビューに応じた。
試合は、開始早々のフォントーラの引き込みからの三角絞めに、伊澤が両腕を入れて対応。首と腕を外した伊澤が、仕掛けの速いノーアームギロチンチョークでフォントーラの首を抱え、最後は下になってボディトライアングル(4の字ロック)に固定して首を絞めてタップを奪った。
自信の組み技で、1R 3分47秒で一本勝ちを決めた伊澤は試合後、フィニッシュの形を「COROさんに教えてもらってずっと練習して、得意技になったので “COROスペシャル”なんですけど “星花スペシャル” に改名しようかな」と、婚約者で練習仲間のCOROから受け継いだ技だとし、そのほかのGP勝ち上がり選手について、「今回、判定が多くなっちゃっていたので、全体的に極めに行く姿勢がもっと見たかったなって思います」と、GP中、唯一のフィニッシャーとして苦言も呈した。
試合後は、涙のマイクでプレッシャーがあったことや、練習がキツかったことなどを吐露したが、自身のYouTubeでは、リング上での号泣について、「そういうチャンピオンもいる。個性です。十人十色。でも泣こうと思って泣いてるわけじゃない!」と現DEEPバンタム級暫定王者のCOROに語り、その理由を「感極まって、それまでに積み重ねた過程でめっちゃキツいから。それがあってのこと。まだ試合をする前は、総合初めて1試合勝って泣いている選手を見て『いや、なんで泣いているの?』と思っていたけど、そこまでのストーリーがあるから泣いちゃうのは分かる。今回、すごいプレッシャーだった。動画とかインタビューではだいたいこんな感じでヘラヘラしてたけど、練習では2、3日前くらいに『打撃のやり方わかんない』って言ったくらい追い込まれて。試合まで来るとめっちゃ笑顔で。次は泣かないように頑張るのがテーマ」と、準決勝では涙無き勝利を宣言している。
また、9月25日(さいたまスーパーアリーナ)『RIZIN.38』でのGP準決勝の相手については、「RENA選手が前回会見の時に『やりたい』と言っていたので。で、結構ファンの方の声でもRENA選手とやっているのが見たいというのがあるので、望まれるならRENA選手とやってもいいかなと思います」と、指名を受けるつもりであることを語ると、「(RENAは)やっぱり打撃の打ち分けはすごい上手だなと思っていて、身体もすごい強いので、打撃でもバチバチになるし、逆に寝技に持っていって、寝技の攻防もできるし、面白い試合になるんじゃないかなって思います」と、アナスタシア・スヴェッキスカ(ウクライナ)からダウンを奪ったRENAを評価。
その上で「勝つ自信」を問われ、「あります」と即答している。現RIZINスーパーアトム級&現DEEP JEWELSストロー級王者・伊澤星花との一問一答全文は以下の通りだ。
[nextpage]
伊澤星花「2回戦もしっかりと極めて、完全決着で勝つ」
──試合後の率直な感想を。
「そうですね。すごい安心しました!」
──コスチュームがいつもと雰囲気が違うと思いましたが、その理由やコンセプトはありますか?
「はい。今回はやっぱりチャンピオンとして強さとカッコよさを──いつもヘラヘラしているんですけど──今回はカッコいい伊澤星花を見せたかったので、入場からバチ! っとキメたのですけど、やっぱり顔はヘラヘラになっちゃったので(笑)、それが伊澤星花だぞってことで、見ていただけたらと思います」
──RIZINという大舞台でメインを務め、オープニングの時から笑顔でしたが、メインカードをいざ迎えたときの心境は?
「あんまりメインの重要性を自分が理解していないのかもしれないのですが、そんなに普段の試合とは変わらず、いつも通り楽しく、早く試合したいというワクワクと、実際、(試合に)入った時の嬉しさや楽しさ、たくさんの声をもらえる喜びが強かったですね」
──試合までの時間が長く感じませんでしたか?
「めっちゃ長くて(笑)。だからほとんど、RIZINの一興行を楽しんだ後で自分が試合するみたいな感じだったので、しっかりと観戦も楽しませてもらいました」
──実際に対戦してみて、ラーラ選手の事前のイメージとの違いはありましたか。
「試合する前はそんなに動画が見れてなくて、(腕)十字で極めているシーンしか見ていなくて、極めが強い印象しかなかったのですけど、実際やってみたらすごい“長い”という印象が強くて、足のクラッチが全然取れず、怖いという印象が強くなりました」
──序盤の三角絞めは実際のところ危ないという感じはありましたか?
「実際、形は三角だったんですけど、手が両方入っていたので全然極まっているとかはなくて、ただそこから逃げ出すタイミングが全然来なくて、焦れったい時間がすごい続いていました」
──両腕が[「四角」の中に入っていて、相手がデッドオーチャードの形から腕を極めてくる気配はなかったですか?
「右の手をすごい引っ張ってきていたので、そこはしっかり対処して三角も入れられないように、両方入れておいたという感じです」
──トップを取って、上から固めずにいきなり首を取りに行ったのは、ああいう形を練習していた動きですか。
「今回の試合に向けての練習の中であのパターンは何回も練習して、ほとんど今回もあれしか練習していなかったくらいなので、体が勝手に練習通りに動いていった感じです」
──ハーフからパスのプレッシャーをかけながらのノーアームギロチン(相手の片腕を抱えないギロチン)の形は、得意なパターンでしたか。
「はい。COROさんに教えてもらってずっと練習して、得意技になったので “COROスペシャル”なのですけど “星花スペシャル” に改名しようかなと思います(笑)」
──ノーアームギロチンからしっかりクローズドの中に入れて、最後は下になって足を四の字に組み変えたのも、あの方が極めやすいですか?
「はい。普通のガードよりクローズド、4の字にした方がこう、幅というか丸が小さくなるので、相手を固定して極めやすくなります」
──試合後、勝利に跳ねて、泣きじゃくっている姿が印象的でした。安堵から来たものですか。
「そうですね、今回の試合、やっぱり自分がやってほしいと言って開いていただいたトーナメントで、やっぱり期待もされていて、チャンピオンだし、最後、魅せないといけないなと気負ってしまっていた部分もあったので、練習とかでもすごい泣くことも多くてナイーブな時期は毎回来るのですが、今回2、3日前とかまでずっとナイーブで。でもやっぱり試合になったら“楽しい”って気持ちが強かったんですけど。それでも始まった時に最初の3分間ずっと攻められなくて、我慢というシーンが多くなってしまったので、その解放感が一気にやってきました」
──メインまでに「他の選手の試合を見た」とのことですが、そんな余裕があったのですね。
「はい、試合は大体全部見ました」
──緊張もなく?
「はい、ただのお客さんとして『RIZIN.37』を楽しんでいました(笑)」
──2回戦に進んだ2名とすでに伊澤選手は戦っていますね。
「はい、浜崎選手も、パク・シウ選手とも対戦しています」
──RENA選手、浜崎朱加選手、パク・シウ選手ら勝ち上がった全選手を見て、どのように思いましたか? 今のご自身の実力と比べて。
「私が実際に戦っている選手が、浜崎選手とパク・シウ選手なので……、どんな強さかということですか? そうですね、今回、判定が多くなっちゃっていたので、全体的に極めに行く姿勢がもっと見たかったなって思います」
──それも含めて2回戦で戦いたい相手はいますか。
「ええと、RENA選手が前回会見の時に『やりたい』と言っていたので。で、結構ファンの方の声でもRENA選手とやっているのが見たいというのがあるので、望まれるならRENA選手とやってもいいかなと思います」
──そのRENA選手の試合を見て、自分と戦ったらどうなるかを考えましたか。
「今日見た感じだと、やっぱり打撃の打ち分けはすごい上手だなと思っていて、身体もすごい強いので、打撃でもバチバチになるし、逆に寝技に持っていって、寝技の攻防もできるし、面白い試合になるんじゃないかなって思います」
──勝つ自信はありますか?
「あります!」
──2回戦への意気込みをお願いします。
「1回戦、一本でしっかりと締めることができたので、2回戦もしっかりと極めて、完全決着で勝って、ジョシカクの面白さ、強さを見せたいと思います」
──最後泣きじゃくっていましたが、しっかりYouTubeの宣伝はしていました。前もって勝利後のコメントは決めていた?
「毎度、マイクで言うことは決めて、予行練習もしているので、どんなに泣いていてもしっかり言わせていただいています(笑)」
──次の大会もメインを任されたら是非という感じですか?
「はい、『いつでもメインやらせてください』という感じです」
[nextpage]
ラーラ・フォントーラ「間違いから学ぶことは多い」
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「勝てなかったのでもちろん嬉しくはありません。ですが全ての試合から習うべきことがあると思うのでこれをもとに改善するのみです」
──最初から引き込んでガードポジションからフィニッシュできそうでできなかった理由は?
「言い訳ではありませんが、早く試合を終わらせたいという焦りでナーバスになってしまいました。ああいう戦略ではなかったんです。ですが、ちょっとナーバスになってしまってできなかったことがたくさんありました。今日は単純に私の日ではなく彼女の方が上回っていました。なので帰って練習するのみです」
──当初の作戦はどのようなものでしたか。
「スタンディングで、打撃で打ち合うつもりでした。興奮して、作戦にはない、やってはいけないことをやってしまいました」
──初めての日本での試合はどのような印象でしたか?
「日本がとても好きになりました。このイベント自体もイベントの運営も全てとても素晴らしかった。今日は自分が失敗しました。問題は自分にあるので、帰って練習したいです」
──試合を終えたばかりですが、今後の目標を教えていただけますでしょうか。
「今後の目標は、顔を上げて試合をたくさん見て、またたくさん練習します。間違いから学ぶことは多い思っています」