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インタビュー

【RIZIN】朝倉未来の「『BreakingDown』には学ぶべきことがある」と榊原CEOが語った理由──9月25日(日)RIZINさいたま昼夜2部大会はどうなる?

2022/08/01 05:08
 2022年7月31日にさいたまスーパーアリーナにて『RIZIN.37』が開催され、全試合終了後に榊原信行CEOが、9月25日(日)のRIZINさいたま大会について、世界に向けたライブPPV配信で100万件を目指す大会にすること、昼夜2部制(一部・5試合、二部・9試合を予定)になること、そのためのPRで『Breaking Down』を参考にすることなどを明かした。 「9月25日はビッグサプライズになるようなカード編成で準備を進めています。新しい形での世界戦略の第一歩になると考えていまして、早い時間から北米マーケットに届くように、一部・二部制にすることも含めて野心的な大会、そしてスケール感もナンバーシリーズプラスアルファでお届けできるようにしたいと思います」と、昼夜二部制のプランを語った榊原CEO。 「ナンバーシリーズプラスアルファ」というのは、北米ファンに向けた、日本時間の昼に行われる第一部のことだ。 「いま考えているのは、二部の『RIZIN.38』の前に“スーパーRIZIN”みたいな形で5試合を海外向けにしようと思っています。午後3時くらいまでにそれが終わり、ハーフタイムでスペシャルなショー、エンターテインメントを含めてミックスして、『RIZIN.38』が出来るといいなと。今回はお昼から通してのチケット販売を一部・二部制みたい感じで考えています。一部の5試合、二部の9試合というような1日2興行でコンセプトを決めてやろうと、二部の『RIZIN.38』でもサプライズを考えています」と、北米向けの5試合のみならず、夜大会でも「サブライズ」があるとした。 世界市場のなかで、ライブ配信のPPVをいかに「売る」か  また、会場が当初、噂に上がった東京ドームではなく、さいたまスーパーアリーナになったことも、PPVライブ配信大会であることが影響しているという。  榊原CEOは、「今後のビジネス的な戦略を鑑みると、一番いいのはさいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンがいいけど、それが前後の興行の調整で難しいので、アリーナバージョンでやります。2万5千人くらいは入ります。  それは、観客のゲート収入というよりも、ライブPPVの“BUY”をどこまで伸ばすか。『THE MATCH』を超えて、ワールドワイドなライブ配信で、メイウェザーという“PPVキング”のポテンシャルをもって、世界規模で100万人を目指すので」と、世界市場のなかで、ライブ配信のPPVをいかに獲得するかを目指す大会になると語った。  では、北米のプライムタイムに配信される「一部」では、朝倉未来vs.メイウェザーのほかに、北米向けの海外選手のさらなる起用もありうるのか。2019年12月29日には、「Bellator」と「RIZIN」が「Bellator JAPAN」を共同開催し、その2日後の大晦日に同所で「RIZIN.20」も行れているが、榊原CEOは今回の9月25日大会での海外選手の起用についても「PPVが売れること」を第一に考えていきたいという。  その上で、榊原CEOが参考にしたいと語ったのが、ABEMA配信の朝倉未来の1分間大会『BreakingDown』だという。 [nextpage] 『BreakingDown』には刺激を受ける(榊原CEO) 「『BreakingDown』には刺激を受けるし、学ぶこともある。僕らが極論で『茶番は止めません』って言っていたけど、リアルな試合でみんなが感情移入するところでは、プロなのでリップサービスはあっていいだろうし、観たいと思うものをどう作るか、ということでは、国内も海外も含めて、いままでのRIZINのPPVのアプローチとは違う形で、PPVで見てもらいたくなるような戦略をちょっと考えて、そのために必要な選手たちをラインナップする。  海外選手もいろいろ考えたいと思っていますが、外国勢の選手でも、ランペイジとかジョシュとかいろいろアプローチはありますが、名前だけでPPVで売れる選手は早々いない。昔の名前で出ています、というだけではいまの若い人たちがPPVを買ってくれない。いまの時代のなかでどういうものが求められているのかというのは、いろいろ考えてまとめているところですけど、マスコスの皆さんとかが『そんな選手、知らないよ』という選手でも、みんなが見たくなる選手をラインナップしたいと思います」  試合自体が1分間というショートクリップしやすい現代向きで、そこにたどり着くまでのストーリーを“劇場型”で連続配信し、興味をつないでいく『BreakingDown』。朝倉はこの「1分間」大会をパッケージとして世界に“売る”ことも視野に入れている。  現在、世界最高峰のUFCが、経営に苦しんでいた2005年当時に、起死回生の一手として制作した、合宿所で共同生活をしながらUFCとの6桁契約を賭けて競う『The Ultimate Fighter(TUF)』は、本物のファイターを使ってのリアリティ番組で、毎回、ハプニングが用意されている。『BreakingDown』は、これを選手の代替が可能な「1分間のフォーマット」に落とし込み、登場人物のキャラクターづけをより明確に分かりやすくして、視聴者に届けている。 [nextpage] 通常の発生型の会見には「乗ってこない」  榊原CEOは、「いまネットやSNSが普及するなかで、通常の発生型の会見をしてひな壇に座って頑張りますとか、どちらかというのいまの僕ら(RIZIN)の会見がテンプレートになってしまっていて、なかなかファンの人たちは乗ってこない。映像も拡散しない。結果、『THE MATCH』でも、拡散されたのはYA-MAN選手と芦澤(竜誠)選手の乱闘騒ぎで、そういうものがファンの人たちのTikTokとかも含めて拡散される時代。かといってそこにやらせをするわけにはいかんし、選手たちが“必然的にそうなるようなシチュエーション”を僕らがいろいろなプロモーションの機会を作り出せるようなアクションがあったらいいかなと思います。いろいろなトライアルをしたい。プロモーションのあり方を格闘技のコンテンツを作る我々が少し変えていく必要があるなと。 『BreakingDown』を見てて、彼らのやり方って、ある意味時代をとらえている。選手が戦ううえでの勝負論とか遺恨とかいろんなものが──当然、我々がやっているレギュラーシーズンでも結果を積み上げてきた選手同士が戦うスタイルは変わらないけど──SNSの使い方とかインフルエンサーの使い方とか、僕らももっと情報の拡散に関しては仕掛けようがあるし、やらなくてはいけない」と、今回のRIZIN・2部大会に向け、SNS時代の、コンテンツとしての格闘技の見せ方を見直していくと語った。  果たして、9月25日のRIZINは、どうなるか。すでにさいたまでの戦いに向けて、幕は落とされている。
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