RISE 1602022年7月29日(金)東京・後楽園ホール
▼第11試合 RISEスーパーフェザー級(-60kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R〇チャンヒョン・リー(韓国/RAON GYM/第5代RISEスーパーフェザー級王者)59.95kgKO 4R 2分54秒 ※3ノックダウン×一馬(MONSTAR GYM/RISEスーパーフェザー級暫定王者)59.85kg※リーが王座を統一し、初防衛に成功。
RISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーが2019年12月以来2年半ぶりに来日、暫定王者の一馬と王座統一戦を行う。
“韓国の鉄拳”チャンヒョンは強打を武器に数々の日本人ファイターを撃破。2017年には野辺広大を破りRISEスーパーフェザー級王座を戴冠。2018年KNOCK OUTで開催されたアジアトーナメント(ヒジあり)に出場すると町田光、森井洋介をTKOで下し決勝戦へ駒を進めたもののヨードレックペットに敗れ準優勝。2019年3月より開幕した「RISE WORLD SERIES -61kgトーナメント」では1回戦で裕樹に勝利したが、準決勝で梅野源治に敗れてトーナメントからは脱落した。同年12月にはBOMでRISEのトーナメントで同じく準決勝敗退となったスアキムと対戦(ヒジあり)。3Rにダウンを奪うも4R開始前に左目に異常を訴え、セコンドからのタオル投入でTKO負けを喫している。
一馬は中学時代に野球で日本代表になった経歴を持ち、海上自衛隊・航空士として体力測定で全隊員中トップの成績を収めたという身体能力を持つ。早くからYouTuberとしても活動していた選手で、2018年6月にはボクシングからキックボクシングにカムバックした白鳥大珠の復帰第一戦の相手を務めた(1Rで白鳥がKO勝ち)。その後は竹内皇貴を初回KO、前口太尊を3RでKO、ノラシンを初回KOと3連続KO勝ち。スーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーへの挑戦が決定していたが、コロナの影響で王者が来日できず、2021年10月に石月祐作との暫定王座決定戦が行われ、大激闘の末にTKO勝ちで一馬が王座に就いた。今年2月には元ボクシング世界王者テーパリットをKOしている。戦績は14勝(8KO)6敗3分。
1R、一馬はリーの堅いガードの上からでもお構いなしにパンチを叩きつけ、ガードを崩して左右フックと左ボディを打ち込む。1分半過ぎ、リーの左フックに一馬が右フックを被せるようにして打ちダウンを奪う。一馬はその後も右フックを狙い撃ち、さらに左フックも。リーは左右フックから左アッパーを突き上げて前に出ていくが一馬は左右フックで反撃。
2R、左右フックと右ローで前に出て来るリーに一馬は左フック。左アッパーから左右フックの連打でリーをロープへくぎ付けにする。一馬はリーにガードを固めさせておいての左ボディ。リーは左右フックから右アッパーのコンビネーションを回転させるが、一馬はガードの上からお構いなしに強打を叩きつける。リーは右ローを狙い撃ちにするが、リーの右ストレートには自分の頭を左に倒しながらの右カウンターを狙い撃ち。
3Rもリーのガードの隙間から右ストレートを打ち込む一馬へリーは左右ローを蹴っていく。一馬はリーの圧力に下がりながらも左フックから右アッパーでリーを仰け反らせる。リーはどんどん前へ出て左右フックを繰り出していき、一馬が固まると左右ローを蹴っていく。リーのローを左右の脚にもらい続ける一馬だが、ワンツーを繰り出す。右のカウンターも狙い続ける一馬だが、その後のローで足がもつれる場面も。
4R、リーのローをカットするようになった一馬だが、ローに気をとられてリーの右ストレートをもらう。さらに前へ出るリーが左右ローと左右フック。一馬はジャブ、右フックで対抗するがリーの右フック、左ボディをもらう。かなりの消耗が見える一馬はローにフラつき、逆に右のカウンターをもらってリーの連打でついに崩れるようにダウン。リーは左ロー、、右フックと左ボディの連打でダウンを追加。最後はリーがコーナーに詰めての連打で圧倒し、一馬が耐えきれず崩れ落ちたところでレフェリーがストップした。
逆転KOに成功したリーは「皆さんこんばんは、RISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーです。生まれて初めてダウンしたんですが、練習したことを活かして勝つことが出来たと思います。これからもRISE王者としてもっと強い姿をお見せできるようにします。8月に(同門の)イ・ソンヒョンの試合があります。皆さん楽しみにしてぜひ見に来てください」と笑顔でアピールした。
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▼第10試合 Super Fight!フライ級(?52kg) 3分3R延長1R〇小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/初代RISE QUEENフライ級王者)51.70kg判定3-0 ※30-26×3×イ・ドギョン(韓国/チームサイコピットブルス/MKF Queens Cupトーナメント優勝、KTKフェザー級王者)51.85kg
小林は2015年2月にプロデビューすると、2018年7月にシュートボクシングの試合で敗れるまで13戦無敗を誇った。同年12月には伊藤紗弥を判定で下し、2019年11月にはWPMF世界女子フライ級王座を奪取。2020年の「初代RISE QUEENフライ級王座決定トーナメント」で陣内まどかと決勝戦を戦う予定だったが陣内の負傷欠場により暫定王者に。12月に田渕涼香に敗れるも2021年4月の初防衛戦でリベンジを果たし、同時に正規王者となった。9月にはRISE QUEENミニフライ級王者・寺山日葵との女王対決に判定2-0で惜敗。2022年3月にはベルギーでGLORY女子スーパーバンタム級王者ティファニー・ヴァン・スースト(アメリカ)に挑戦。計4度のダウンを奪われKO負けとなったが、倒されても前に出る続け“大和魂“を見せつけ会場を沸かせた。戦績は16勝(3KO)5敗4分。
対するドギョンは空手をベースに持ち蹴りを得意とするMKF 52kg級の王者で、両者は2018年4月の『KNOCK OUT』で初対戦。小林が判定勝利を収めている。今回は約4年ぶりの再戦となった。
1R、近い距離でジャブとローを交換する両者。小林は左ボディも打つ。ドギョンは打たれながらも前に出ていくが、小林が左インロー&右カーフ。小林のジャブがドギョンのガードを突き破る。前蹴りで下がらせると左右のボディでドギョンをロープに釘付けに。さらに小林はジャブを打って右ストレートをガードの外側から入れる上手さを見せる。
2Rも小林はジャブで試合を作りながら左右ボディ、左インローに右ミドル。パンチを上下に打ち分けてのまとめ打ちも放つ。以前よりかなりパンチの上達を見せる小林は、ドギョンのガードの隙間をどんどん突いていく。ヒザ蹴りは連打してしまい口頭注意を受けるが、その後もジャブ、前蹴り、左右ミドルで崩して左ボディ、右ボディストレートを突き刺す。ドギョンは身体を丸める仕草も。よく見て相手の空いているところへパンチを当てていく小林にドギョンはほぼ手を出せずパンチを浴び続けた。
3R、左インローと左ミドルを混ぜながら至近距離で左ボディ、アッパー。右ボディストレートでドギョンをコーナーへ詰めるとパンチのコンビネーションで圧倒。さらにヒザも突き刺す。ドギョンも打ち返すがパワーは感じられない。小林は距離を保ちながらパンチを入れていき左ボディ、そして右ヒザを突き刺すとスタンディングダウンとなる。再開後もパンチとヒザを織り交ぜて攻める小林。
女子の試合にありがちな距離を詰めすぎてクリンチになる展開は全くなく、しっかりとパンチと蹴りの距離を保ちながら自分の攻撃を打ち込んでいった小林が大差の判定でドギョンを返り討ちにした。
小林はマイクを持つと「相手選手の気持ちが強かったのもありますが、倒しきれない自分の技術不足を痛感しました。でも、ここからちゃんと仕留められるようになって世界に登って行く愛三を見てくれると嬉しいです。一番はRISE女子の強さを見せて行きたいです。内容に説得力のある試合を続けていきたいと思います」と世界への再挑戦を宣言。
続けて「本当はKOして言いたかったんですが、同じジムの壽美選手がK-1で成り上がっています。壽美選手にはK-1でかけ上がって世界に行ってもらって、私はRISEで世界に駆け上がってトップで拳を交えられたらと思います。壽美は必ずリングに上がると思うので、私もそうですがこれから壽美選手にも注目してください」と、脳震盪後症候群(のうしんとう・ごしょうこうぐん=脳震盪の後にときおり起こる症状で、めまい・吐き気・頭痛などが長くて数週間後まで続く)でK-1を欠場中の同門の壽美へエールを送った。
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▼第9試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R―安本晴翔(橋本道場/WBCムエタイ日本統一フェザー級王者、KNOCK OUT-REDフェザー級王者)57.40kgノーコンテスト―メールダード・サヤディ(イラン/TEAMOTA/ICF)57.15kg
元KNOCK OUT-REDフェザー級王者・安本が注目の参戦。安本は少年時代からアマチュアで150戦以上を経験し、24冠王に輝くなど活躍。2016年6月に16歳でプロデビューを果たすと、6戦目でREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座、2018年12月にはINNOVATIONスーパーバンタム級王座を獲得した。2019年2月にシュートボクシングのリングで迎えた14戦目で初黒星を喫したが、6月のREBELSでは栗秋祥梧を破りKNOCK OUT-REDフェザー級王座を戴冠。そこからの快進撃でKNOCK OUTをホームに活躍し、2021年9月にはNJKFのリングに乗り込み、松本龍斗にTKO勝ちでWBCムエタイ日本統一フェザー級王座も獲得。今年は4月の『藤原祭』でヨーパースーを初回KOし、5月の『NO KICK NO LIFE』でも森井洋介をKOして怒涛の14連勝中。戦績は24勝(14KO)1敗2分。
6月19日に開催された『THE MATCH 2022』のリング上で参戦を表明し、RISEへの登場は2017年9月以来(当時、安本は17歳)実に5年ぶりとなる。
対するメールダードはパンチとヒザを得意とし、イランのアマチュアタイトルを総なめにしている実力者。2020年4月に開幕予定だった『RISE ASIA SERIES 55kgトーナメント』にて1回戦で志朗と対戦予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により大会が中止となりRISE参戦自体も延期となっていた。身長179cmとフェザー級としては長身で、戦績は16勝(8KO)3敗。
1R、安本はオーソドックスに構えてジャブと右ロー、サヤディも右ローとジャブを返す。安本は左フックから右ミドル、サウスポーに変えると左の三日月を蹴る。サヤディもサウスポーになると安本はオーソドックスに戻すが、サヤディは伸びるジャブを突き刺す。安本はワンツーをバックステップでかわして右ストレート。安本は右カーフを蹴ってジャブ。鞭のような左ミドル連打、そして左ローを蹴る。安本が左から右フックを打ち下ろすと、右ヒジが頭部に当たったかに見えたがサヤディがダウン。サヤディは立ち上がることが出来ず、1R2分44秒、安本のKO勝ちとなった。
マイクを持った安本は「安本晴翔と言います。今日は応援してくれた人、ありがとうございました。RISEのフェザー級が盛り上がっていないと思うのでもっともっと僕が盛り上げていくので毎試合注目して見ていただけるとありがたいです」と、フェザー級戦線に嵐を巻き起こすと宣言した。なお大会終了後、伊藤隆RISE代表は「映像を見て審議します」と話した。<追記>興行終了後の審判団のミーティングにおいて、右拳のパンチでは無く、前腕が当たったのではないかとの意見があり、ビデオ検証を行ったところ、有効打である右のパンチからの流れで前腕部分が当たってのダウンが確認された。「このダウンが、パンチのダメージによるものか、前腕部によるダメージによるものかの否かが判断、認識が難しくまた、故意による悪質性は認められませんでしたので、RISEオフィシャルルール第29条【合議による問題処理】の規定により、安本選手のKO勝ちを取消し、ノーコンテストとします」(プレスリリースより)と発表された。
▼第8試合 ヘビー級 3分3R延長1R〇カリュ・ギブレイン(ブラジル/ブラジリアン・タイ/GLADIATORヘビー級王者)108.95kg判定3-0 ※30-26×3×MAX吉田(BLUE DOG GYM/元インターナショナルマーシャルアーツ王者)96.70kg
▼第7試合 -56kg契約 3分3R延長1R〇大﨑孔稀(OISHI GYM/フェザー級10位)55.95kgKO 1R 1分35秒 ※3ノックダウン×Jyosei(誠至会/NJKF日本スーパーバンタム級2位)55.90kg
▼第6試合 ライト級(-63kg) 3分3R延長1R〇KENTA(HAYATO GYM/同級8位、第4代DEEP☆KICK -63kg王者)63.0kg判定2-0 ※29-29、30-29×2×木村“ケルベロス”颯太(心将塾/同級11位、第3代DEEP☆KICK -65kg王者)62.85kg
▼第5試合 スーパーフェザー級(-60kg) 3分3R延長1R×藤井重綺(Team +1/同級6位)59.95kg延長R 判定0-3 ※9-10×3〇奥平将太(FIGHT CLUB 428/Team Bull/同級8位)59.95kg※本戦の判定は30-30、28-29、29-29。
▼第4試合 スーパーフライ級(?53kg) 3分3R延長1R〇翼(TARGET/同級11位、第2代ジャパンキックボクシング協会バンタム級王者)52.90kgTKO 2R 0分31秒 ※レフェリーストップ×溜田蒼馬(FUTAMI FIGHT CLUB/第2代CMA KAISERバンタム級王者)52.85kg
▼第3試合 フライ級(-51.5kg) 3分3R×酒井柚樹(TEAM TEPPEN)51.45kg判定0−3 ※29-30、28-30×2〇松本天志(HAWK GYM/JAPAN CUP2021 -55kg準優勝)51.45kg
▼第2試合 -62.5kg 3分3R延長1R×森下祐樹(SUNNY GYM)62.15kgKO 1R 1分03秒 ※レフェリーストップ〇田中佑樹(HAWK GYM/King of Rookie 2021 -63kg級優勝)62.45kg
▼第1試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R〇星 拓海(IDEAL GYM)=52.70 kg判定 3-0 ※30-28×2、30-27×小野祥平(TARGET SHIBUYA/JAPAN CUP 2022 -55kg優勝)=52.85kg