MMA
インタビュー

【RIZIN】44歳、所英男が男泣きした理由「やり残したことを、やって終わりたい」=7月31日(日)フライ級で神龍誠と対戦

2022/07/25 18:07
 2022年7月31日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『RIZIN.36』第13試合のフライ級(57kg)で、DEEPフライ級王者・神龍誠(神龍ワールドジム)と対戦する所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)が25日、所属ジムにて公開練習を行った。  44歳の所は、2020年大晦日に61kg契約で太田忍に2R 腕十字で一本勝ちして以来の試合。7連勝中、21歳の神龍は、2022年5月にDEEP同級暫定王者の藤田大和に3R ニンジャチョークで一本勝ち。統一王者になっている。  カード決定会見時に所は、フライ級に落として戦うことを決意した気持ちを問われ、それが「対世界」のなかでやり残したことだと語っていた。 「フライ級に落とすの9年ぶりなんですけど、自分のなかで格闘技でやり残したことは何だろうと思って、やっぱりVTJで、(ウィル)カンプザーノに判定負けして、アメリカでBellatorで判定負け、やっぱりその2つの試合にちょっと、自分のなかではっきりしたいというか、やり切りたいなという気持ちがあります」と、その想いを吐露していた。  2013年10月の「VTJ 3rd」で126ポンド(57.2kg)で、ウィル・カンプザーノと対戦した所は、スプリット判定負け。試合後、所陣営は修斗コミッション及びVTJに判定結果について抗議するも、結果は覆らず、この試合後にカンプザーノはUFCと契約している。  また、2015年3月にはBellatorに参戦。L.C.デイビスとバンタム級で対戦し、目まぐるしく攻守が入れ替わる激闘の末、これも所がスプリット判定負け。「対世界」で行く手を阻まれた経験を持つ。フライ級でUFC出場を目指している神龍と戦うことは、所にとって、叶わなかった夢に決着をつけるような試合になる。  練習後の囲み取材では、「記事を読んで、燃えるものがありましたね。やり残したことを……やって終わりたい」と男泣きした。  今回の公開練習では、須藤拓真や寒河江寿泰、高橋“SUBMISSION”雄己、伊藤健一らグラップラーが集うプロ練習後、所プラスの萩原一貴を相手にミット打ち、長野将大らを相手に、サドルロック、シートベルトのそれぞれの状態からの極め・エスケープを披露。ランニングの疲労がたまるなか、タップも喫し、ミット打ちでは手首を傷めるなど、「強さを誇示する公開練習」とは異なる、ありのままの姿を見せた。 「いま自分で勝手に好きにやっていて、若い選手とキツいこともこんなにやれて、自画自賛の毎日です」と苦笑しながらも、DEEP王者神龍との戦いに向け、「やることは一つなんで、それを貫けたらチャンスがあると思いますし、やっぱり試合中に強いなとか考えちゃったらもう無理だと思いますし、やっぱりそこの覚悟は決めてリングに上がりたいです」と、自身のスタイル、強みを貫いて勝つことを語っている。  半分の年齢、1/4の試合数ながら7連勝中の神龍を相手に、所は逆境を跳ねのけ、過去の自身に落とし前をつけて、勝利を掴むことが出来るか。所との一問一答は以下の通りだ。 [nextpage] 肩を組んでの入場? (金原と勝村の)2人が嫌がらなければ(笑) 【写真】サウナスーツを着込んでのランニングから戻って来た所。 ──今回の神龍誠選手との試合まであと6日、この真夏の試合に向かう日々をどう過ごされていますか。 「もう試合が決まって2カ月半くらい準備してきて、ほんとうに楽しくて、ご飯も美味しく感じるし、人のありがたみを感じて、ほんとうに充実して、ほんと素晴らしい日々で、やっぱ格闘技いいなあって思いますね。楽しいです」 ──今回の試合はフライ級の57kg契約。減量はいかがですか。 「フライ級の57kgは、いまのところ減量トレーナーの方についていただき、順調です。砂辺光久さんにKJ(Koji Mikubo)さんをご紹介いただき、砂辺さんの身体が見違えるように変わったからどうしているんですかと聞いたら、『この人とトレーニングしている』と聞いて、そこでやったら減量のスペシャリストだと聞いて。そういうのもあります。  僕が9年前にフライ級に挑戦したときと比べて、やっぱりちょっと時代が変わってきてるんだなと感じます。食事も家族とは別に自分でやって、そういうのも楽しいです。食べながら減量が出来ています。最終的に(水抜きで)どうなるか分からないですけど、いまのところ楽しくやっています。力が漲る形で落とせています。元気です、何より元気ですね。それが奥さんが一番喜んでいます」 ──公開練習のシチュエーションスパーリングでは、サドルロックの状態から、あるいはバッググラブの状態から互いに極め、エスケープを狙うという形でした。これはいつもの練習でしょうか。 「自分たちの練習はそういった部分スパー、サドルとかバックからとか、特にグラップリングに特化したいんで、そういう練習をしていて、いま若い子が強くなって、取ったり取られたりになって、みんな強い、ほんとうにいい練習が出来ています」 ──走り込み直後の限定スパーということもあり、所選手が一本を取られたり、ミット打ちでは手首を痛めたり、通常の「強さを見せる公開練習」とは趣が異なりました。 「あー(苦笑)。その時の体調とか、相手のやりたいことにハマってしまったりとかはあるんですけど……ちょっとミットは意外でした(苦笑)。(手首が曲がり)こんなんになってしまって、途中から強く打つのを止めました。ちゃんと(バンテージを)巻いてやらないと危ない、というのを、この歳になって分かりましたね(苦笑)」 ──出稽古の選手には、須藤拓真選手や寒河江寿泰選手、高橋“SUBMISSION”雄己選手らの姿も見られました。グラップリングの強豪も集まる環境は、所選手にとっていい練習が出来ている状況でしょうか。 「自分たちから何か教えたりということは出来ないんですけど、来ていただいて、一緒に練習していただいて、『いまのどうやるんですか?』とか教えていただくことが、すごく自分にとってもジムのみんなにとってもいい練習になっていてありがたいです」 ──みな所選手より年下の選手ばかりですね。減量もあり、キツそうな環境です。 「若いときはキツいことをやっていても、“あーキツいな”とか、自分は当時のジム(パワー・オブ・ドリーム)がすぐ無くなっちゃったから“やらされる練習”というのはあんまり無かったんですけど、いま自分で勝手に好きにやっていて、キツいこともこんなにやれて、自画自賛の毎日ですよね(苦笑)。こんなに身体疲れているのに、若い子と練習してるって。まあ、やられるんですけど、普通やれないよなって自画自賛しています」 ──パートパートの練習のほかにぜんたいを見る人もいるのですか。 「総合(格闘技)の練習は総合の練習でやっていて……それはまあちょっと多くは言えないんですけど、僕が作戦というのは考えられなくて、僕がやることは一つで、作戦というかこういうことは相手がしてくる、というのを金原(正徳)さんに話してもらって、それを練習で勝村(周一朗)さんとも共有してまとめてもらって……ほんとうに信頼できる2人と嫁さんがいるんで、まあ大丈夫です」 ──となること今回もその熟練コンビがセコンドにつくことになりそうでしょうか。 「そうですね。最後まで面倒をみてくれる、言ってくれているので(笑)。出来ればいっぱいやりたいですけどね。こっから3人で、金原さんも試合があるから大変ですけど。ほんとうにありがたいです。昔から自分のことを知ってますし、何だったら、格闘技のことのみならず私生活のことも知ってるくらいの2人なので、もう全信用を置けます。一緒にやってきて、金原さんも頑張った(4月に摩嶋一整に3R TKO勝ち)から僕もやっぱり頑張ろうと思いますし、小見川(道大)さんが引退試合で素晴らしい試合をされていたので、僕もやんなきゃなと思いましたし、ほんとう同世代の活躍は来るものがあります」 ──今回も前回の大晦日のように、立川ALPHAの金原選手とグランドスラムの勝村代表と、肩を組んで入場することになりそうですか。 「肩を組んでの入場? やーどうですかね。2人が嫌がらなければ(笑)、はい。もうなんか、みんなで行こうぜって、行きたいですよね。金原選手のいいところを5つ? 5つも思いつかないですけど(笑)、気持ちがいいですよね。裏表も無く、最高の男です」 ──あらためて動画などもご覧になった上で、神龍誠選手をどのようにとらえていますか。 「身体もすごいし、スピードも速いし、技もいまのMMAっていうんですか、自然と出来ちゃっているんだろうなって。ほんとうに本人も言ってましたけど、天才なんだろうなって思います。羨ましいです」 ──かつての天才としては……。 「天才なんて言われたことないですけど、誰も知らないんで、言われていたということにして(笑)。いや、でも(神龍は)楽しいだろうなあって思います。僕もほんとうにこの歳(44歳)になって、格闘技が好きになりましたし、いま日本で一番強いと言われているフライ級の人と試合をさせてもらえるというのは、フライでやっていた方には申し訳ないですけど、心が躍るというか、みんなに納得してもらえるような試合をしたいですし、自分がそうしたいです」 ──神龍選手の動きは「いまのMMA」だと。では所選手がやっているのは? 「僕はやっぱり“総合格闘技”ですよね。矢野(卓見)さん、今成(正和)さんに憧れて総合格闘技を始めて、強くなりたいからスポセン(新宿スポーツセンター)に行って…………(涙ぐみながら)その、続きをやっているだけで……桜庭(和志)さんらが来てくれて、めちゃくちゃ楽しいです」 ──サウスポー構えの打撃、レスリングが強くて、頭が下げればギロチンチョークやニンジャチョーク、ネルソンもある。そういった神龍選手に対して一泡ふかせて勝利する手ごたえは得られていますか。 「まあ、やることは一つなんで、それを貫けたらチャンスがあると思いますし、やっぱり試合中に強いなとか考えちゃったらもう無理だと思いますし、やっぱりそこの覚悟は決めてリングに上がりたいです」 ──フライ級という階級についてはどうとらえていますか。 「DEEPでフライ級のトーナメントをやるということで、いきなり“飛び級”でチャンピオンとやらせてもらうので、面白く思っている人はいないですよね。フライでRIZINで活躍していた選手もたくさんいるなかでやらせてもらえるというのは、ほんとうに感謝の気持ちと申し訳ない気持ちがあるので、だからこそ、そういう負けない気持ちもありますし、認めてもらいたい気持ちもありますし、そういう(フライ級GPに出る)選手に認めてもらえるような試合をしたいですね。こっから僕もフライでやりたいので」 ──今回からあまり間を空けずに出たいと? 「間を開けちゃうと、1年、2年休んじゃうんで……でもほんとうにいま、金原さんだけじゃなく同世代の活躍で、ほんとうに僕も頑張らなきゃいけないと思いますし、いろんな刺激を若い子からもいただいているので、やりたい気持ちはすごくあります」 ──ウィル・カンプノーザに勝てば、UFCの可能性が高かった。勝ったカンプザーノはUFCに上がりました。あの試合でスプリット判定で勝てなくて、今回、UFCを目指す神龍選手との試合に臨むことは、忘れ物を取りに行くような気持ちでしょうか。 「最初はそう思っていなかったですけど(涙を流し)……記事を読んで、燃えるものがありましたね。やり残したことを……やって終わりたいですね」 ──キツいことを思い出させてしまってすみません。 「いえ、減量が激しいと感情的になっちゃうんで、普段イラッとしないことも言っちゃったりとか、ウルっと来ちゃったりとか、ヤバいです、情緒が(苦笑)」 ──今回、インスタライブで神龍選手も見ていたようで、「俺に一本取られる準備、出来ているようですね」と。アンサーはありますか。 「まあ、誰からも取られるんで別にびっくりしないですけど(苦笑)、取られたくないですね。頑張るんで、よろしくお願いします、とお伝えください」
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