『THE MATCH 2022」の余韻の残る中、ファイターたちの新たな挑戦は続く。6月25日(土)、国立代々木競技場第二体育館ではK-1史上初の女子大会『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~RING OF VENUS~』が開催される。
K-1女子の選手たちが世界の強豪選手を迎え撃つ試合を中心に、プレリミナリーファイト3試合、本戦17試合がラインナップ。K-1 WORLD GP女子フライ級(52kg)のタイトルマッチは高いKO率を誇る王者KANAと挑戦者スーリ・マンフレディの対戦。K-1 WORLD GP初代女子アトム級王座決定トーナメントは、MIO、パヤーフォン・アユタヤファイトジム、菅原美優、松谷綺がワンデートーナメントで初代女王戴冠を狙う。日本vs世界・3対3対抗戦には日本から山田真子、高梨knuckle美穂、☆SAHO☆が世界の強豪を迎え撃つ。またK-1 JAPAN GROUP育ちの選手たちが他団体でも活躍する選手たちを迎え撃つワンマッチが5試合組まれている。
事前の注目は、タイトルマッチやトーナメントに集まっているものの、大会が終わり「誰が一番印象に残ったか」となった時に、それ以外の選手名が挙げられる可能性も十分に考えられる。
というのも、同じ国立代々木競技場第二体育館で開催された大会で、事前の注目度に関係なく一気にスターダムに上り詰めた選手がいたからだ。
2014年11月3日の新生K-1旗揚げ大会のこと。約3年ぶりのK-1復活に当たって注目は「65kg」に集まっていた。当時はKrushで山崎秀晃や木村“フィリップ”ミノルらが激しく争って65kgが盛り上がっていたことと、階級的にも65kgは選手層が厚く「これからのK-1の中心は65kgだ」と思われていた。
事実、新生K-1旗揚げ大会の目玉として-65kg初代王座決定トーナメントが開催され、ゲーオ・ウィラサクレック(当時はフェアテックス)が圧倒的な強さで優勝。「ムエタイ最強伝説」を打ち立てたが「大会のベストバウト」として名前が挙がったのはスーパーファイトの武尊vs大雅だった。両者アグレッシブな攻防から、武尊がバックブロー一撃で衝撃的なKO勝利を収めて、絶大なインパクトを残したのだ。
65kgや70kgの試合が主に組まれた中、55kgの武尊が見せた劇的なKO勝利の意味は大きかった。「最軽量級だからKOも少ないだろう」という予想を覆し、一気に55kgに光を当て、武尊は「新生K-1のカリスマ」へと上り詰めていく。先日の「THE MATCH 2022」では武尊と那須川天心の7年に及ぶストーリーがクローズアップされたが、その発端は「同じ55kgで自分より輝いている武尊」に対する那須川天心の対抗心。つまり「那須川天心vs武尊」の始まりは、武尊が新生K-1旗揚げ大会で劇的なKO勝利を収め、中量級から軽量級にスポットライトを当てたことによるものだ。
今回のK-1女子「RING OF VENUS」は、かつての新生K-1旗揚げ大会によく似ている。事前の注目は、KANAや菅原美優、MIO、松谷綺に集まっているのは事実。だが、大会が終わった時に「これからのK-1女子を背負うのはあの選手だ」とノーマークの選手の名前が挙がることも十分に考えられる。
K-1女子のスタートに強烈なインパクトを残して名前を刻みつけて「K-1女子の武尊」になるのは誰か。要注目である。