武尊は試合後、各団体の代表に「未来の格闘技を絶対にいま以上に盛り上げてください」って頭下げていた
「俺が一緒になってから、武尊の負け姿を見たことなかった。今回、初めて見て悔しいというか、初めての感覚で……試合直後、武尊に何も声をかけられないくらい、言葉が出なくて。ほんと、ただ近くに座っているだけというか。身の周りのことを手伝っているだけというか。ずっとそこにいるだけというのも悔しかった」と、試合直後のバックステージでの動揺を吐露した大岩。
しかし、そんな大岩に声をかけたのは武尊だったという。
「そんなときに逆に武尊から声をかけてきて、『ごめんな、ほんとありがとう』って言われたときに……そこで僕も泣いちゃったんだけど、スゲー強ぇなって。自分が辛いときに。絶対、自分が悔しいのに、ずーっとみんなに謝っているし、感謝してるし、それぞれの団体の代表に『未来の格闘技を絶対にいま以上に盛り上げてください』って頭下げていたし、あんな状況で先のこと、未来のことを言っていて、自分のためじゃなく戦ってるんだなって。格闘技全体のために戦っているんだなってあらためて思った」と、最も悔しいであろう武尊が、周囲に敗北の謝罪と感謝の言葉を伝え、さらに、今回、この試合のために大同団結した各代表の一人ひとりに「未来の格闘技への橋渡し」をお願いしていたという。
試合終了のゴング後から、零れ落ちる涙。四方に頭を下げての退場、控え室でのまるでバトンタッチするかのような言葉もあり、大きな敗北を抱えて帰る武尊を心配する声が後を絶たなかった。その声は、親友である大岩のもとにも多く、届いていた。
「ずっと続いた物語が終わって、ぽっかり穴が開いた人がたくさんいると思うけど、『武尊くんが死んじゃうんで、そばにいてあげてください』というメールがめっちゃ来るけど、いやいや、死なないから。マジで心配しなくていいです。俺が思ってた以上に前向きで、強いなって思ったよ」と、大岩は驚くべき事実を明かす。