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【THE MATCH】那須川天心と拳を交えた京口紘人が語る“世紀の一戦”「天心が1枚も2枚も上手だった」、ボクシング転向は「楽しみ」と「茨の道」

2022/06/21 19:06

モンスター井上尚弥が君臨する場に神童が来るけど──

 1、2Rまでがオープンスコで、3R開始前時点で武尊の不利は陣営にも場内に伝わっている。最終R、武尊はパンチをもらっても笑みを浮かべ、ノーガードで“来い”と手招き、リスクを冒した誘いも、那須川は動じることはなかった。

 試合後、那須川は「ここで乗ったらいけないなっていう風に思いました。全部研究して、笑ったらこのパンチが来るとか。そういう対策もしていたので。笑ったらこのパンチが来るとか、笑ったらこういう動きをするって癖とかも全部やってきたので、だから落ち着いて出来たと思います」と振り返っている。

 京口は、全体的に那須川の方が「1枚も2枚も上手だった」と評価する。

「武尊選手も玉砕覚悟だったけど、全体的には天心の方が1枚も2枚も上手だったかなという印象。最終3R目は少し天心の疲れも見えたけど、武尊選手がもらっても笑顔で打って来いとやっていたけど、あれも効かないわけじゃないから。そうでもして誘い込んでカウンターという、最後の切り札の玉砕の覚悟が見えた。天心は自分が勝つ道筋をイメージしていた通り、やりたいことをやっていた。武尊選手はやりたいことをしようとしていたけど、やらせてもらえなかった。天心の完勝だったけど、武尊選手も評価は落としていない。ホンマに命を賭けて戦った試合だと思う。精神的にも肉体的にもダメージはあったと思うし、少しゆっくりしてほしい」と、敗者の覚悟も讃え、労った。

 この試合を最後に那須川は、キックボクシングを引退。ボクサーへと転向する。

 身体の筋肉の付き方が異なるボクサーとキックボクサー。蹴りのあるキックで必要な足の太さは、ボクシングではさほど必要とされない。ボクシング転向を考え、直近の風音戦、鈴木真彦戦、志朗戦をいずれも55kgで戦い、身体を大きくしすぎないようにしていた那須川は、ボクシングでは、スーパーバンタムもしくは、バンタム級以下も視野に入っており、今回の62kgまでの戻しが許された「58kg契約」で武尊と戦うことは、“回り道”でもあった。

 京口は、ボクサー那須川天心について「楽しみ」と「茨の道」と2つの言葉で期待を寄せた。

「ボクシングで天心は、55.3kgのスーパーバンタムになると思うけど、やっぱり蹴りがない、拳二つだけの世界で、世界戦は12Rあるなかで駆け引きがある、全く違う競技なので、そこでの活躍は楽しみだし、茨の道だと思う」と語り、あの“モンスター”の名前を口にした。

「井上尚弥──日本の宝、モンスターが君臨する場に来るけど、もっともっと困難な道のりになると思うけど、ほんとうに漫画の主人公みたいな感じで、総合格闘技もやって、無敗でキックボクシングを引退して、こんなの出来る格闘家はいない。“武尊に勝った那須川天心”のネームはすさまじいプレッシャーだと思うから、いちからボクシングにチャレンジするのはすごい。同じ格闘家として尊敬ですね。キャリアが楽しみだし、応援したいです」

 那須川とのスパーリング後、京口は、「天心は時間軸が違う。スピードが速い選手の──例えば、電車の中から外を見た時の風景ってめっちゃ遅く感じるのと、外から見ている電車がブワーッて行くスピードってめっちゃ違うじゃないですか。天心はそんな感じ」と評している。

 プロキックボクシング42勝、MMA4勝、ミックスルール1勝、その試合のすべてで負け無しの那須川は試合後、武尊と戦い終わってどんな存在だったかを問われ、「悟空とルフィでしたね。同じ世界に存在しなかったわけですから。違う世界の主人公同士というか、そういう戦いだったのかな」と語っている。

 これから那須川はボクシングという世界で、新たな主人公との戦いを挑むだろう。そこでも“神童”は異次元の戦いを見せることができるか。

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