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インタビュー

【Bellator】“決戦”直前・緊急インタビュー! RIZIN海外事業担当・柏木信吾氏が語る「堀口恭司vsコールドウェルは『真の世界一』を決める戦いの始まりに──」

2019/06/15 08:06
いよいよ6月15日(土)に迫った「Bellator 222」マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)大会。ニューヨークで堀口恭司をRIZIN海外事業担当としてサポートする柏木信吾氏は、現地のメディアから異様な熱を感じているという。その流れは、1週間前のUFCで史上4人目の同時二階級制覇を達成したヘンリー・セフードへの記者陣の問いかけから繋がっている。それはすなわち、『真の世界一は誰か?』──このシンプルにして難解な質問への回答のひとつが、MSGのサークルケージのなかで明らかになる。 再戦にして、Bellator世界バンタム級タイトルマッチ──RIZIN王者の堀口が勝てば、2団体のベルトを獲得することになる。そして、その先に見据えるものとは? 前戦とは違う王者コールドウェルのコンディション、公開練習での驚き、変わるオッズ──RIZINウェブでの「チャーリーガイド」でも知られる柏木氏に、現地直前の状況と“決戦”の真実を聞いた。 米国メディアは「ホリグチが勝ったら、近代MMAにおける初の快挙になるんじゃないか」とザワついています ――本日は、6月15日(土)米国ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催される「Bellator 222」に、RIZINから出場する堀口恭司(アメリカントップチーム)選手らを現地でサポートしているRIZIN海外事業担当の柏木信吾さんに急遽、直前のお話をうかがわせていただきます。というのも、日本で想像する以上に、現地での格闘技関係者の熱が凄い、と。 「そうなんです。私がニューヨーク入りする前から、その兆候はあったのですが……」 ――柏木さんが現地入りしたのは? 「僕がニューヨークに入ったのが9日の日曜日です。RENA選手が土曜日に現地入りして、堀口選手が9日に入ったんです。僕はそこに合流しました」 ――さきほど行われた計量まで振り返って、現地の熱をどのように感じていますか。 「もう本当に現地に入る前からなんですが、Bellatorニューヨーク大会が近づくにつれて、まずは榊原(信行)社長に対する海外からのインタビュー、特に大御所のMMA媒体からの依頼が多かったんです。そして、現地入りした堀口選手へのインタビューの問い合わせが殺到しました。普段だったら、あまり連絡がないような媒体からもリクエストがあって。ですから、ニューヨークに入る前から、今回の堀口選手の参戦がかなり注目されているなというのはずっと感じていたんです。そして、その内容がいつもとちょっと違うんです」 ――内容が違う? 柏木さんは堀口選手の通訳もされたわけですよね。 「今回の試合はどうですか? という単純なものではなく──失礼な言い方ですが、ちゃんとしたジャーナリストの人たちって自分でどんな記事を書きたいか、その方向性・テーマを定めて質問をしてきます。それが、今回は、BellatorとRIZINの両現役王者が団体の垣根を越えて戦う。『真の世界一とはどういうことだと思いますか』と、今回の戦いで、団体の壁を越えたチャンピオンが決まるんだ、ということにすごく興味を持っていました。堀口選手が勝ったら、近代MMAにおける初の快挙を成し遂げるんじゃないか、と。RIZINは団体ではなくフェデレーションですが、堀口選手はRIZINのチャンピオンで、今回の試合にはBellatorのベルトがかかっていますからね」 ――日本にいる人たちが思う以上に、前回、Bellator王者のダリオン・コールドウェルが日本に乗り込んでRIZIN王座に挑戦し、堀口選手に一本負けし、今度はホームで自身の世界王座をかけて、RIZIN王者と戦うことに大きな意味を感じていると。 「そういうことです。タイミング的にも、先週シカゴでUFC世界フライ級王者のヘンリー・セフードがバンタム級王座も獲得し同時二階級制覇を果たした。その際にも、アメリカのメディアはセフードにも同じ質問を聞いているんです。『来週、コールドウェルと堀口がBellatorで対戦しますが、そこで勝った相手についてどうとらえますか? 真の世界一についてどう考えますか』と」 ――プロモーションは異なれど、BellatorとRIZINの現役王者が現実に交わることで、ワールドシリーズ的な統一戦が行われる期待感を抱き始めている? 「明らかにそういう動きを煽っています。RIZINとBellatorがチャンピオンvsチャンピオンをやることによって、いまある程度確立されたMMA業界を壊して、その先があるんじゃないかという期待感をジャーナリストたちは持っていると、すごく感じました。今回の取材は会見ではなかったので、メディア毎に質問を用意してきていますが、どのメディアもその部分に集中していました」 ――ということは、その周囲の期待感をコールドウェルも感じているということですね。 「もちろんです。コールドウェルもセフードがマルロン・モラエスと対戦する前から、この話題についてメディアから問われています。米国ではこの堀口対コールドウェルというのは、UFC以外で行える世界最高のレベルの試合だと言われている中で、あなたはUFCについて意識をしていますか、と。この機運は団体の中に留まらないという時代がもしかしたらあるかもしれない、と思わせるものがあります」 ――独占契約が常ですが、コールドウェルと堀口選手はBellatorの王座をかけて戦う。昨日、堀口選手がインタビューで、「初めて2つの団体のベルトをとることによって格闘技界に新しい流れができてくるのではないかと。例えばUFCのチャンピオンと戦うとか、いろんなことが可能になってくるのかなと思います」と語ったことに驚きました。 「そうですね。本当に要はやらなきゃわからないじゃないですか。だから『もしも勝者があの王者とやったら』という状態がずっと続くと思うんです。もしも堀口選手が勝って、UFCの現役王者とやったらどっちが強いのか──当然そこに行き着くわけじゃないですか。その議論を現実のものとして考える、そういう動きが起きているのだと思います」 コールドウェルの公開練習後にオッズが動いた ――なるほど。という中で、柏木さんもご覧になったとおり、編集部もインスタライブで見ていたんですけど、公開練習でのコールドウェルの動きには驚かされました。堀口選手はいつもどおりの動きを見せながら、コールドウェルは自国で一大デモンストレーションを行った。 「すごかったですよね……。そもそもニューヨーク入りした日曜日にコールドウェルとたまたま廊下ですれ違ったときに、これは全然日本のときと体調が違うな、というのが第一印象でした。日本にいたときのコールドウェルは、調整が厳しかったように思います。計量のときもだいぶしんどそうでしたし。当日は体調を戻していましたが、今回のように自国で、しかも事前に多くのメディアから期待をかけられている状況で迎える堀口戦は、前戦とは全く異なる状態だと思います」 ――そして動いてみたら……。 「あの公開練習のキレッキレの動きを見て、うわあ、やべえと。実はあの公開練習でオッズが変わったんです」 ――公開練習後にオッズが動いたんですか。 「オッズって最初にオープニングが出るんですけど、そこからクロージングまで時間があります。元々コールドウェルがちょっと優勢なオッズでしたが、公開練習が終わってから動いて、クロージングでは差が開いていました。それでもコールドウェルが-175(1.57倍)、堀口選手が+145(2.45倍)ですから、大差ではないんですけど、その公開練習が影響しているといわれています」 ――あの公開練習を見て、コンディションの良さもさることながら、見せ技的な動きが多いなかで、足関節などの動きは少し気になりました。堀口選手はそういった動きはきっちり潰してくるでしょうけど、そのトランジッションのなかで背中を見せることがあれば、コールドウェルは今度は逃したくない。 「やっぱりバックを取れるかどうかは大きなポイントになるでしょうね。その流れのなかでアンクルピック(踵すくい)からそのままバックを取るとか、相手が防御をする先の動きですよね。コールドウェルは左のアンクルピックと見せかけて、実は本命が右でした、でも本当の目的はそこからのバックを取るという、2段階、3段階のコンビネーションになっている」 ――アンクルピックからの動きは日本でもやっていましたね。しかも、今回はリングではなくケージです。 「詳しい技術的なことは話せないですけど、これは堀口選手自身が言っていたのと僕は同意で、ケージは立ちやすくなる。確かにケージレスリングで押し込んで、時間をかけてテイクダウンするというのは可能なんですが、逆にその分、金網によっかかって、バックを取らさずに立ち上がるというのは、堀口選手はUFC時代からすごく上手で、ATTに行ってさらに進化している。だからそこに関してはまったく不安要素を見せていないですし、僕もそこは納得するんです。ですから、最初のコンタクトに注目したいです。コールドウェルが最初にテイクダウンに行ったときの結果次第で流れが決まるかもしれない。あっさりテイクダウンできるのか、できないのか。そして、堀口選手が立てるのか、立てないのか」 ――なるほど。試合全体のトータルジャッジのRIZINと、基本はラウンドマストになるユニファイドルールでのジャッジが、そういった動きをどう判断するか。 「ニューヨークのコミッショナーのジャッジ基準はユニファイドの基準なので、やはりダメージが評価されます」 ――もしテイクダウンされても、互いにノーダメージの場合は、コントロールが評価されることも……。 「そうですね。互いにノーダメージの場合はダメージの評価をされていないので、前に出てテイクダウンし抑え込んでいる、そこは全然評価されると思います。だからコントロールよりも、打撃、ダメージを与えなきゃいけない」 ――それはスタンド、そして圧力をかけられた側においても、ということですよね。そして、今回は5Rの王座戦です。 「すごくダリオンも調子が良さそうなので、ペースを飛ばしてくるんじゃないかと思いながらも、元々コールドウェルってスタミナを重視するタイプじゃないので、調子がいいからといって25分やり続けるかといったら、また全然違う。5Rを両者がどんなペースで戦うのかも見どころですね」 [nextpage] 米国レスリング界でコールドウェルは、化け物 ――もう一つ、ダリオン・コールドウェルという選手のレスリング力について、日本人には実感しにくいところがありますが、オールアメリカンに2度選出されているというコールドウェルですが、NCAAディビジョン1で2度の優勝を果たしている。この凄さが……。 「NCAAでは、ダニエル・コーミエー、ジョン・ジョーンズも頂点に立ったことはないですからね。MMAファイターでは数少ないトップ中のトップのレスラーです。ベン・アスクレン、ジョニー・ヘンドリックスが2度優勝。今度、7月12日のBellator224に出るストラッサー起一選手の相手のエド・ルースがNCAAで3度優勝は快挙ですからね。大学一部リーグのエリート中のエリートが出るところでしのぎを削っている連中の中で、優勝している」 ――つまり化け物であると。その化け物と堀口選手は、日本人としてマディソン・スクエア・ガーデンでタイトルマッチを戦う。 「たぶんこういう答えは聞きたくないと思うんですが、個人的にはMSGのすごさってあんまりピンとこないんです(笑)。堀口選手も同様でそこにまったく気負いがない。それが何? という感じで(笑)。ただ、それでもニューヨークで、さらにMSGという大きな会場で戦えることは非常に光栄なことだと思います」 ――ああ、たしかにそこは日本の世代的なものかもしれません(苦笑)。柏木さんは米国生活も長かったから。でも堀口選手が公開練習でRIZINのオープンフィンガーグローブを着けていたのには、少し感じ入るものがありました。 「そうですね。堀口選手もいろいろなインタビューを受けてきましたが、本人が言っていることは本当に一貫してブレていなくて、『格闘技をもっと広めたい』と。そして、自分が勝って注目されることが、日本の格闘技界が注目されて良くなることに繋がってほしい、自分が世界で注目されることが日本の活力になる──この思いで一貫しています。だから、会場がMSGであることとかに特別な気負いはない。ただ、ひとつだけ、この試合に向けて意識しはじめたのかなと僕が感じたのが、『世界一って何なんだ』ということ。堀口選手は『自分が2団体のチャンピオンになることが、格闘技界にとっていい方向に進める力になる』と言っていたんです。本当に団体の垣根を越えて、ファンが望み、選手同士がやりたいとなったときに、その夢を実現させる。このスポーツを次のステップに持っていくための自分がきっかけになれればいいかなと、という思いを堀口選手から感じるんです」 ――団体、放送局……様々なしがらみがあるなか、統一王者が生まれるように。 「はい。スコット・コーカー代表と話したときにも、『チャンピオンvsチャンピオンというのは、本当になかなかできないことだから』と、今回の実現の奇跡を語っていました。堀口選手とコールドウェルはペーパーチャンピオンじゃないじゃないですからね。本物のチャンピオン同士が戦う」 ――現役の王者同士。団体の威信も、その後の興行にもかかわってきます。 「名誉あるBellatorの王座を賭けてやるという、そこに榊原社長とコーカー代表のプロモーター同士の思いもありますし、今までになかったひりひり感を現場で感じています。RIZINで1戦目をやったことも当然大きかったですけど、今度はスコット・コーカー代表にとっては、自分のベルトですからね。前回は、RIZINのベルトを取りに行くという感覚だった。負けてもさほど失うものはなかったと思います。いろいろな環境のことも言えますし。でも、今度はスコット代表が自分の団体のチャンピオンに、アウェーで負けた相手をホームに呼んだ。そこのガチンコさは、皆さんが思う以上に、現場にいて感じます。だからこそ、メディアでもすごく話題になっているのかなと思います」 堀口選手が勝ったら「ヘンリー、やろうよ」を聞きたい ――そういった期待のなか、コールドウェルはどのようにこの試合を語っているのでしょうか。 「コールドウェルとも話したんですけど、母国で自分のルールで迎え撃つ立場になるので、絶対負けられないと。言い訳もできない。いま、彼はBellatorの王者で、Bellatorのベルトを守るということに関してはものすごいモチベーションを高く持っています。前回の敗因については、『3ラウンド目になって疲れてしまい、休もうと気を抜いたときにあのポジショニングの隙間が空いてしまった。普段だったらあんなポジショニングは絶対しなかった』と言っていました」 ――確かにあのとき、あっさりと堀口選手に頭を流されていましたね。 「『今回はそういうことが起きないように調整もしてきているし、自分がテイクダウンを取った後のポジショニングもしっかりやってきた。同じ間違いは絶対に繰り返さないし、ベルトも絶対に手離さない』と、けっこう力強い口調で語っていましたね。だから……堀口選手にとって、厳しい戦いになると思います」 ――いやあ、そういった話をうかがうと燃えてきます。しかし、この試合はメインカードの1発目なんですね。 「スコット代表の意図としては、日本のやり方にしたがって1発目から出し惜しみしないカードで、ドカンと注目されている試合を放送の1発目に持ってきた、と」――チームがどんな戦力を練ってきているのか。ATTのマイク・ブラウンは“仮想コールドウェル”のジョシュ・スミスを帯同させましたし、アライアンスMMAのエリック・デル・フィエロはドミニク・クルーズとも作戦を練っているなど、興味深いです。 「本当にそうですね。面白いと思います。裏でマイクとドミニクはやりとりして牽制していましたよ。面白かったですね」 ――日本のファンにも、DAZNでプレリムから生中継があるので、しっかり見てもらって、この大一番を楽しんでもらえるといいですね。 「そうですね。こういったヒリヒリする状況のなかで、きっと総合格闘技が始まって以来の偉業を、堀口選手が成し得るかもしれません。そこで勝って、2団体のチャンピオンになってもらって、僕は堀口選手が望むように……ヘンリー・セフードに、『ヘンリーやろうよ』って言ってほしい。世論が黙っていなかったら、セフードも応えるでしょう」 ――おおっ、「那須川くん、やろうよ」と言ったように、今度は「ヘンリーやろうよ」と! 「そうですね。『ヘンリーやろうよ』『榊原さん、スコットさんお願いします』という言葉を聞きたいです」 ――大会直前にありがとうございました。試合を楽しみにしています! Kashiwagi Shingo1982年、イリノイ州シカゴの北ウィルメット出身。小学4年生の時に日本へ、父の仕事の都合で帰国する。大学を退学し横浜は飲食業を始め、3年後の2005年に渡米。2006年、KOTCで仕事を始める。2010年から11年にかけて、シャークファイトで働き、帰国後はVTJ、UFC JAPAN、RIZINで渉外、マッチメイク等に関わっている。
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