MMA
インタビュー

【RIZIN】極真世界王者・上田幹雄を相手に「引退試合」に臨む高阪剛「感傷に浸っている暇は無い」「すべてを曝け出す」

2022/03/31 14:03
 2022年4月17日(日)『RIZIN.35』(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で、極真会館・2019年世界大会優勝の上田幹雄(BRAVE)を相手に「引退試合」に臨む高阪剛(ALLIANCE)が3月31日、自身のジムで貴賢神(フリー)を相手に公開練習を行った。  上田幹雄はMMAデビュー戦。高阪は2年4カ月ぶりの試合で最後のリングに上がる。  極真会館で世界を制した上田について、「すごい選手。自分たちの世代だったら、数見(肇)さん、八巻(建弐)さんのような、そういったような極真空手の逸材が、総合格闘技の道を歩もうとしてくれている、この事実、状況自体がすごく嬉しいです。自分が試合をするんですけどね(笑)。日本のヘビー級がもっと盛り上がる、何かの引き金になればと。それを試合でも出せればいいなと思います」と語った高阪。  上田の組み手は、フルコンタクト空手ながら、左右どちらでも蹴ることが可能で、前足の蹴り、テンカオ、ボディへの下突きと長い距離・短い距離でも戦えるスタイルはMMA向きといえる。未知数なのは、顔面への打撃、そして組みへの対応だ。  高阪は「そもそも空手の選手、とくにフルコンタクト空手系の選手は“構え”というものが存在しないですよね。だからもうほんとうに打撃を当てられる形が、本人に取っていい形という感覚の持ち主じゃないかなと思います。だから距離の設定も、いろんなレンジがあるでしょうし……そのレンジで自分が試合をやろうとは思っていないです。自分は自分の試合というか、ゴツゴツした試合をやりたいなと思います」と、上田の得意な距離で戦わず、「出来たらドツキ合いたいですね」と笑顔で語った。 [nextpage] 総合ってやっていい幅が広い。自分を全部出し切る、さらけだす戦い方もやっていいんだと気づいた  引退試合で、20代のトップアスリートとのマッチアップについて、「自分が望んでいたんです。相手が誰というリクエストはしていなかったんですけど、『日本人選手で総合格闘技と向き合っている若い選手と出来たら幸せです』と伝えていました」という。 「バトンタッチ」の試合になるか、と問われた“世界のTK”は、「そうですね……でも試合になったら自分はガチャガチャやりますんで、そんな感傷に浸っている暇は無いです。いま自分がやらなきゃいけないことで精一杯やるというのが自分のやり方なので。終わってからどういう風になっているのか、ということですね」と言い、MMA25年で作り上げた引き出しについて、「出るといいですね。いろいろやってきましたからね。全部出せればいいと思っています」と語った。  試合展開は、「よく分からない」という。 「その場で感じたことをそのままやっている、というのが正しい言い方で、たどり着いたのがここだった、というのはもしかしたらあるかもしれませんね。20代の頃は、ああいう技が生まれたとか、効果があるとか、いろいろ確かにやってきたこともあるし、勝つことも負けることもあった。最終的にたどりついたのが、総合ってやっていい幅が広い。自分を全部出し切る、さらけだす、そういった戦い方というのがやっていいんだ、と気付いたんですね。リングに上がって相手と向き合って、ゴングが鳴ったら、あとは自分の身体に任せる。それが打撃や組んでもテイクダウン、寝技になったり、その場で身体が勝手に判断するんじゃないかと思います」と、25年で身に着けた・身に沁みついた動きを「すべて出し切って」戦いたい、と語る。  ここまで現役を続けたモチベーションは、枯渇しない負けん気と、MMAへの探求心にあるという。 「戦うモチベーションは……やられて“あいつにもう一回、やり返さなきゃ”ですね。“クソーッ”って、それに尽きるんじゃないですかね。勝つことも負けることもあって、もし勝ってももっとこういうやり方があったんじゃないかとか、もしいかれた場合はもう一回、やり返してやるっていう。今回で、もう1回となったら? どうしますかね。嘘つきおじさんになっちゃう(苦笑)。10年後は60歳ですよ。でも今回はあらゆる意味で出し切る試合を絶対やりたいと思っています。引退試合ということになっていますが、試合は試合なので、いつも通りの出し切る試合をやりたいなと思います。それが観ている人の心に響けばいいと思います。最後の試合、最後のリング。全部出し切る試合をしたいと思います」  これまで積み重ねてきたもの、勝って、負けて得たもの。手放して残ったもの──それらを「ぜんぶさらけ出して」相手と戦うのがMMAという52歳の高阪は、26歳の上田を相手にどんな試合を見せるか。
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